食品業向けERP(企業資源計画)の機能・導入事例を紹介

食品業向けERP(企業資源計画)の機能・導入事例を紹介

ERP(企業資源計画)とは?

ERPとはEnterprise Resource Planningの頭文字を取った略語で、日本語で企業資源計画を意味します。

企業全体の資源とは主に人材・物資・資金・情報などを指しますが、それらを無駄なく適切に管理することがERPの目的です。ERPによって企業の資源を一元的に管理することで、企業資源に即した経営戦略の立案が可能です。

ERP製品には、財務会計・販売・顧客などのサブシステムを実装しているのが一般的です。これらの業務をスムーズに遂行できるため、ERP製品を導入する企業は少なくありません。たとえば食品業なども、ERP製品を積極的に導入しています。ERPは実現できることが数多くあります。

ERPでできること

ERPではさまざまなことができ、食品業などで導入が進んでいます。

ERPでできることは、業務効率の向上やコスト削減などです。ERPでできることについて詳しく紹介します。

業務効率アップ

ERPはあらゆる業界で導入された実績を活かし、業務の効率化を実現できる設計となっています。
つまり、ERPを導入すれば食品業の問題点が解消し、業務を効率化できる可能性が高いです。

しかも、ERPは一元管理システムなので、システムに情報を重複登録したり、業務ごとに情報を抽出する手間が省けます。業務分野ごとにシステムを分ける必要はありません。業務効率が飛躍的に向上することを期待できます。古いシステムのままでは非効率的ですので、食品業などでERPの導入が進んでいます。

属人化の防止

ERPは業務の標準化ができます。業務が標準化されることで、属人化の問題を解消できます。
食品業は特に属人化の傾向が強いため、以前から問題視されてきました。業務が属人化している場合、異動や退職によって担当者がいなくなると途端に業務に不都合が生じます。最悪の場合業務の継続ができなくなることもあるため、属人化しないように改善しなければいけません。

また、ERPは業務の標準化ができるほか、スムーズな権限の委譲や代理による処理機能なども備わっています。病気やケガなどで担当者が突然休職しても業務を継続できるため、担当者不在によるダメージを最小限に抑えられます。

リアルタイムで随時状況を確認

今のビジネスは状況を随時確認してスピーディーに処理するのが、当たり前になってきています。
ERPはデータベースが一元化されているので、すべてのデータを単一で管理できます。そのためリアルタイムで状況を把握することも不可能ではありません。たとえばこれまでは月ごとに締めて確認していた商品の販売実績も、リアルタイムですぐに確認できます。

また、商品の受発注処理や在庫の補充などもタイムラグがないため、一切無駄がない最適な判断を常に下せるようになります。

コスト削減

初期費用とランニングコストが高くないERPを導入すれば、企業全体のコスト削減効果を見込めます。
もし業務ごとにシステムが分かれていたら、メンテナンスなどでそれぞれの管理工数を確保しなければいけません。ERPの導入によってすべてのシステムを統合すれば、メンテナンスなどの管理工数を大幅に削減できます。

ERPはパッケージを導入すれば、スクラッチ開発と比べて安いです。そのためライセンス費用がそれほど高くないパッケージを導入し、企業全体のコスト削減を目指す企業が多いです。

内部統制

内部統制は、企業がシステムを利用する上で無視できません。
一般的なERPのパッケージは、システムの利用状況や処理状況を記録に残します。記録が残るので、万が一不正が発覚してもERPの記録をたどれば不正の証拠が残ります。つまり、不正の証拠を簡単につかめるということです。

また、ERPは各処理の制御が可能で、権限者の承認がなければ作業できないように制限をかけられます。ですから企業の大事なお金を取り扱う経理業務などをERPで制御すれば、内部統制しやすくなるのは間違いありません。ERPは内部統制にも役立つシステムです。

食品業界向けERPの機能

ERPの導入を検討している食品業界の企業に向け、ERPの機能について紹介します。

紹介するのは一元管理・荷姿管理・出荷ロット逆転防止・在庫引当の4つの機能です。どんな機能なのかを把握しておきましょう。

一元管理機能

一元管理機能は、各業務のデータをまとめて管理できる便利な機能です。
これまでは別々に管理することが多かったため、一元管理によって情報を可視化できます。食品の販売情報をいち早く把握できますので、管理面だけでなく経営面のメリットもあります。また、作業が効率化される点も一元管理機能ならではです。

食品業界といえば製造・販売・店舗・通販・在庫が関係する業界ですが、ERPはそれらの管理システムがすべて備わっています。たった1つのパッケージで、それらの一元管理ができます。

荷姿管理機能

荷姿管理機能は、食品業界特有のERPの機能だといえるでしょう。
なぜなら食品は流通の状況次第で、荷姿が異なることがめずらしくないからです。
たとえば「みかん10」と入力した場合、10箱・10個・10キロなどの荷姿が存在します。このままでは処理の誤りを誘発しますし、何より非効率的です。荷姿管理機能を有効活用すれば正確に計算できますし、無駄な手間も省けます。

出荷ロット逆転防止機能

食品には賞味期限や消費期限がつきもので、これらの期限を考慮した在庫管理をしなければなりません。
もしも古い食品の出荷を後回しにして新しい食品の出荷をしたら、古い食品を廃棄することになりかねないです。そこで、食品の期限を適切に管理するため、ERPに出荷ロット逆転防止機能が実装されています。これにより出荷の処理誤りを未然に防止します。

在庫引当機能

食品業界は、企業規模が大きくなればなるほど引当在庫の管理が大変です。
実在庫・引当在庫・有効在庫の数を、正確に調整しなければなりません。もし有効在庫よりも多く受注したら、トラブルは避けられないでしょう。食品のERPは在庫引当機能をつけて、在庫のトラブルが起こらないようにしています。

食品業向けERPの導入事例

最後に食品業界向けERPの導入事例について紹介します。

3つの事例を紹介しますので、ERPの導入を検討している企業担当者の方は参考にしてみてください。さまざまな事例があります。

スーパーカクテルCoreFOODs

スーパーカクテルCore FOODsは、株式会社内田洋行が提供する食品業向けのERPパッケージです。
調達・生産・販売と食品に欠かせない工程を、すべて一元管理できます。製品は販売・生産・原価の3種類の体系に分かれていて、業務にマッチする製品をそれぞれ選べます。

期限管理など食品業特有の商習慣に対応していますし、各業務を統合して管理できます。また、過去データを分析して販売戦略を立案したり現場の判断に役立てられるなど、全体的な生産性の向上に期待できます。

食品業界向けERPソリューション(SAP)

株式会社NTTデータウェーブが提供するERPは、SAPをもとにしているのが特徴です。
日本ならではの商習慣や業務のテンプレート機能を追加するなど、他にはない独自性を打ち出しています。テーブルマークや赤城乳業などで導入されています。

mcframe食品製造業向けソリューション

mcframe食品製造業向けソリューションは、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社が提供しているERPです。
品質の徹底管理・生産性向上・ミス防止・食品ロス削減・採算性の向上・グローバル体制の確立など、食品業にとってさまざまなメリットを見込めるのが魅力です。キッコーマンや敷島製パンなど、大手食品メーカーで導入されています。

まとめ

食品業向けERPのさまざまな機能や、導入事例についてそれぞれ紹介しました。

食品業は品質の徹底管理・業務効率の向上・コスト削減などが求められる業種なので、ERPの導入が欠かせなくなってきています。ERPの導入事例でも紹介しましたが、すでに大手食品メーカーが率先して導入しています。これからもERPの導入は積極的に進む見込みです。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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