画像認識技術で実現できること・活用事例を紹介

画像認識技術で実現できること・活用事例を紹介

画像認識技術とは

画像認識技術とは、対象とする画像を解析して、意味を理解する技術です。目的として画像の「分類」と「検出」の2種類があります。

画像認識技術1:分類(認識)

まずは画像を分類(認識)する必要があります。その分類(認識)の中でも更に「物体認識」と「シーン認識」に分類できます。

物体認識というのは、モノや人といった物体を認識させることですが、例えば、画像が人か否かを判別することです。AIにおいてはその年齢、性別などを判別したりすることを可能にすることもできます。

また、手書きの文字をPDFやテキストに電子データとして、変換することもできるようになります。シーン分析とは、例えばボール・バット・ベース・異なるユニフォームを着る人など一定の条件から「野球」と認識するという技術です。SNSやブログなどにあげられている写真から、自動的に場所や人を分別する機能として使われる技術です。

画像認識技術2:検出

検出も「物体検出」と「領域検出」の2つに分けられます。物体検出とは、目的となる物体を検出して、位置を特定するという技術です。

例えば、カメラで被写体が動いたとしても、カメラのピントを自動的に合わせてくれるという機能があります。それは、カメラの画像から対象物を検出して、位置を把握しているからこそ可能にしているのです。

領域検出とは、画像内の物体に境界線を見つけ出す技術です。クレジットカードを登録する際に、カード番号をわざわざ入力しなくても、写真を撮るだけで自動的に切り取ってくれる機能があります。自動的に境界線を切り取って、検出することが可能になりました。

 

画像認識技術で実現できること

次に画像認識で実現できる・されていることを紹介していきます。

異常検出・異常検知

大量のデータから、一定のパターンや特徴を記憶させることで、それをもとに異常の検知、検出することが可能です。生産工場の検品の現場では、人の手で行うよりも時間も精密さも改善できることから活用が勧められています。

医療の現場においても、レントゲンやCTなどで健常な状態と比べることで異常の検出が可能になり、早期発見、治療に繋がります。また、癌の診断にも使われ、人の目では見落としてしまう可能性が高い、些細な部分も発見することができます。

精度向上・品質向上

AIが画像認識をすることによって、人間が本来行う作業がさらにスピーディーに精度が向上します。その分野の専門家しかわからない欠陥や異常においても、一度正常な状態を学習させておけば、それを自動的に検出できるようになります。

医療や建設の分野などの専門的な見方が必要な分野では、特に今後も需要が高まってくるでしょう。

業務効率化

業務の効率化と聞くと、AIの導入で多くの方が期待している部分ではないでしょうか。もし、今後ディープラーニングの精度が上がり、人間と同等かそれ以上の精度になれば、我々が行っている仕事はAIに任せ、別の仕事に時間を割くことができるようになります。

人間にしかできないことは人間で行い、それ以外でAIでもできる仕事は人員コストや時間短縮のためにAIに任せるという時代もそう遠くない未来にあるはずです。

画像認識技術の活用事例

次に、画像認識技術において我々の生活や仕事でどのように活用されているのかを紹介していきます。

倉庫の検品と出荷の自動化

今ではネットショップで買い物する人も増えてきて、各企業がオンラインでも販売できるように大規模な倉庫に商品を保管し、そこから出荷するという形が増えてきています。その際に、画像認識によって、注文された商品を正しく発送できるように検知したり、出荷までの検品作業などを自動的に検出できるようになったりと、我々が求めているものをより安全に正しく、手元に届けることが可能になりました。

ドローンを使った低農薬農法

AIによって、無人飛行機(ドローン)での作業も増えてきました。特に農業では広い農地の中で人の手で農薬や農作物の確認をしていましたが、ドローンにカメラと農薬を搭載し、操縦することで業務の効率化や人員の削減が可能になりました。

また、農作物の状態の確認を画像認識で行い、ピンポイントで農薬の散布ができるようになりました。このピンポイントの農薬散布の方法は、近年、健康志向の人が増え、無農薬やできるだけ農薬を使用しない野菜が好まれるようになったからという声があり、

最低限必要な農薬だけで、農作物を育てたいという農家さんや消費者の思いを実現したものでもあります。

医療支援

感染症による肺炎やがん細胞の早期発見においても画像認識は活用されています。最近では、コロナウイルスをはじめとする感染症に対して、多くの方が逼迫する状況が続き、医療界ではより診断や病気の早期発見に力を入れるようになりました。

それで画像認識によるレントゲン写真やCTなどの撮影の際に細かい異常を見つけるためにも画像認識技術が活用されており、技師や医師たちの業務への負担を軽減させるということに大きく貢献しています。

カメラによる来客分析

企業にとって、売上向上のためには既存のお客さんの特徴やパターンをデータとして集め、それを分析して、企画を立案していかなければいけません。その時に必要になってくるのが画像認識技術です。

来客するお客さんの特徴や購入パターンから分析することが可能になり、より精密なデータから企画を考えることができます。また、来客数の変動や時間帯を予測することから、それをもとにスタッフの人員性を効率化したり、陳列場所などを改善することができるようになりました。

近年では、スマートフォンやネットでも簡単に買い物ができるようになり、各アカウントの情報から、一人一人に合った商品を提示することも可能になりました。

スマート農業

スマート農業とは、IOTやIT技術を活用した農業のことを指します。ドローンに搭載したカメラで作物の状態を確認し、害虫や作物の状態を確認して、ピンポイントに農薬の散布を可能にすることができます。

画像検索(Alibaba)

画像検索においては中国勢の発展が著しいものとなっています。大手「Alibaba」の通販サイトである「淘宝(タオバオ)」や「天猫(Tmall)」ではそれぞれが欲しい商品の画像をサイト内でアップロードすることで、大量の商品の中から類似する商品を見つけてくれます。

現在はモノが溢れている時代と言われており、モノが多すぎて、欲しい商品があっても、そもそも見つけられないという問題があります。

そんな問題に対して、直接的に解決してくれるという点では、画像検索は我々の生活をさらに豊かにしてくれるでしょう。

顔認証(センスタイム)

今では銀行の口座やクレジットカードといった金銭的な管理がスマホ一台でできるようになりました。そんな時に心配されるのがセキュリティ面です。そんなセキュリティ面で問題を解決するべく、画像認識の技術は必要不可欠です。

特に顔認証技術の研究を進めている上で注目されているのが、拠点を香港においているAI・人工知能企業「センスタイム(商湯科技)」です。

様々な世界的な企業と提携しており、アリババから18年にはやく6億米ドルの投資を受けて、AIや人工知能の研究を進めています。日本のホンダとも自動運転の分野で提携しており、セキュリティ面以外でも顔認識技術を強化していくことでしょう。

 

まとめ

今回は画像認識技術で実現できること・活用事例を紹介してきました。AIにおける、画像認識の技術は精度を上げてきています。精度が上がったことで、できることが増え、我々の生活を安全面や生活面でも支えてくれています。

AI研究機関の多くは企業と提携し、商品やサービスにAIや人工知能を導入することが今後増えてくるでしょう。今後もAIや人工知能の進化には目が離せませんね。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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