コロナ禍を踏まえた観光・旅行業界の現状
コロナ禍により観光・旅行業界は大きな打撃を受けましたが、徐々に回復傾向にあります。
出典:第3次産業活動指数(経済産業省)
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この状況下でAIの活用が注目されています。AI技術は、感染症拡大のリスクを管理しながら、顧客体験を向上させる方法を提供しています。
AIによるチャットボットが24時間対応の顧客サービスを実現し、旅行計画のサポートを行うことが可能になったり、データ分析を活用して旅行者の嗜好を把握し、パーソナライズされた旅行提案ができるようになっています。これにより、業界全体のサービスの質が向上し、顧客満足度が高まることが期待されます。
観光・旅行業界が抱える課題とは
観光・旅行業界が抱える課題として、顧客の変化するニーズへの対応が挙げられます。ニーズには、個々の体験に対する期待やデジタル化に伴うサービスの利便性などが含まれます。課題の要因は下記の通りになります。
1、人手不足
ホテルや観光施設の予約、顧客対応、観光地案内などの情報提供業務が十分に行えない。
2、インバウンド対応の遅れ
インバウンド観光は、外国からの観光客が国内を訪れることを指し、多くの国々によって重要な経済的資源となっていますが、多くの観光地や施設では、外国語での案内やサービスが不十分となっています。
これらの課題に対して、AI技術が効果的な解決策を提供する可能性があります。
課題解決のためにAIができること
上述の課題を解決するために、AI技術が有効になります。
予約システムの導入に加え、生成AIのチャットボット導入などで人手不足によるサービスの品質低下を防ぐことができます。
また、AIによるパーソナライズされた旅行プランの提案や、顧客の好みや履歴を分析し、最適な宿泊施設やアクティビティを提案するシステムを導入することで、顧客満足度もアップします。
インバウンド対応においては、カメラで撮った文字を自動翻訳するアプリや多数の言語に対応した音声翻訳アプリなどAIを活用した通訳ツール導入により、外国人観光客の利便性を大幅に向上させることができます。
大手企業から学ぶ、AI活用の事例
1、旅行プラン提案型の一例
◾️旅行に特化したAIが旅行をサポートする「AVA Travel」
旅行先が決まっていなくても使える、目的や条件から探せる旅行検索 サイト。
AIがインターネット上から旅行先に関する様々な情報を自動収集し、 観光スポットやホテル・ご当地グルメ・体験・航空券など旅行情報から、あなたの好みや条件など、旅の目的から旅行先が探せるサービス。
◾️生成AIを活用した、旅行プラン提案機能「NAVITIME Travel AI」
ユーザーが、出発地点と目的地点を指定し、興味のある「テーマ」を 選択すると、生成AIがその間で立ち寄れるおすすめの観光スポットを 最適な順番で巡れる1日分のプランを提案。
2、ホテル・旅館の一例
◾️エイチ・アイ・エスグループ「変なホテル」
メインスタッフをロボットと考えるサービス方針でホテル運営。 受付からチェックイン、客室の案内まで、多くの業務がロボットに よって行われています。これにより、人件費の削減、顧客満足度の 向上、人手不足問題の解消を実現。
◾️ホテルオークラJRハウステンボス
朝食会場の混雑状況を利用者のスマートフォンから遠隔確認できる AIツールを導入。同ホテルでは、朝食のピークタイムにレストラン が満席となり、お客様を待たせてしまうことが課題となっていまし たが、混雑状況検知システムを導入することで、朝食会場の混雑状 況をリアルタイムで確認できることで、混雑時を避け、混雑の緩和 を促すことになり、スムーズな案内を実現。
これらの事例から、AIが旅行業界のサービス品質向上や人件費の削減、人手不足問題の解消などに寄与していることが見て取れます。
AIがサステナビリティツーリズムにもつながる?
AIの活用は、サステナビリティツーリズムへの道も開く可能性があります。
・AIによるビッグデータ分析の活用
観光地の人出を分析し過密を防ぐことや、環境に優しいルートを提案するナビゲーションシステムの開発が進んでいます。
・A Iを利用した交通システムの導入
効果的な交通システムの導入により、観光地へのアクセス最適化やCO2排出量の削減にもつながります。
これにより、観光地の自然環境への負担が減少し、持続可能な観光が実現可能になります。また、AIを活用したデータ収集は、観光地の保護政策や施策の策定に役立ち、環境への配慮を考慮した観光が促進されることでしょう。
こうした技術は、観光業界におけるエコツーリズムの推進に寄与し、旅の新たな価値を生み出すことが期待されています。
まとめ
AI技術が観光・旅行業界にもたらす可能性は計り知れません。パーソナライズされた旅行体験の提供、運用コストの削減、効率的な顧客サービスの実現など、AIは業界全体の変革を推進しています。
特に生成AIの活用により、ユーザーのニーズに応じたリアルタイムでの情報提供や、言語の障壁を超えたコミュニケーションが可能になることで、よりアクセスしやすく、個々の旅行者に合わせた提案が実現しています。
これからの観光業界は、AI技術を積極的に取り入れることで、さらなる価値創出が期待されています。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。