深層学習(DeepLearning)と人工知能(AI)の違いについて紹介

深層学習(DeepLearning)と人工知能(AI)の違いについて紹介

AIとは?

昨今のコンピュータの進化には目覚ましいものがあります。会社や家、学校や公共施設にもコンピュータが用いられている今、AIといった言葉を耳にすることもしばしば増えてきたのではないでしょうか。ここでは、そんなAIの基本的な概念についてご紹介します。

AIとはそもそもArtificial Intelligenceを略したもので、日本語では人工知能とも呼ばれています。その言葉の通り、人間によって作られた知能のことで、人間の脳を模倣する形で作られています。

AIは最近になって登場したといったイメージが強いと思いますが、実は1950年代から作られており、現在は三回目のAIのブーム到来ということで第三次AIブームなんて言われたりしています。

また、最近のAIは「自ら学ぶ」といった特徴があり、人間が指示を行い、それに従うだけでなく、いろいろなデータから推測して機械自身が判断を行えるようになりました。こういったAIがいろいろな分野で活躍しており、現在では私たちの身の回りにもたくさんのAIが存在しています。

 

AIの分類

一口にAIといっても、さまざまな種類のものがあります。以下で、大きく分けて二つの分類法について説明します。

強いAIと弱いAI

まず一つ目の分類法が強いAIと弱いAIです。

強いAIとは、人間があらかじめある状況に対する処理を行っていなくても、他のデータからその状況に応じて自ら判断できるようなAIのことです。要するに自ら判断を下すわけですから、人間により近いAIなわけです。このようなAIは、人間が想定していない状況やあまり起こりえない状況が実際に起こった時に、適切な処理を行ってくれるといった点で様々なところに応用できそうです。しかし、強いAIに関しては、まだまだ導入には至らず現在研究が繰り返されています。

その一方で弱いAIとは、事前に人間が搭載した処理しか行えないAIのことです。要するに人間が想定していない事態が起こってしまうと、対応できずに固まってしまいます。現在では、強いAIの実用化が難しいのでこちらのAIのほうが多く使われています。

また、この弱いAIでよく引き合いに出されるのが、「中国語の部屋」といった例え話です。中国語を全く知らないAさんがいたとします。このAさんは膨大な中国語のマニュアルを持っており、それに従って中国語でBさんと会話します。このマニュアルには例文がいくつも載っており、それのみで会話が成り立つような便利なものばかりです。これを使ってBさんとの会話がきちんと成立したとします。では、Aさんは中国語を理解しているといえるのでしょうか?

答えはもちろん「No」ですよね。Aさんはマニュアルに載っている文章をそのまま用いただけで、中国語について全くの初心者ですからこのマニュアルを取り上げたとたんBさんとの会話を成立させることは不可能になってしまいます。これでは、Aさんが中国語を理解しているとは言えません。

この例は、人間をもとに考えていますが、機械に置き換えるとどうでしょう。マニュアルに沿った返答しかできず、マニュアルに載っていない返しが来ると困惑してしまう、答えられなくなってしまう。これは先ほどの分類でいうと弱いAIにあたることがわかると思います。

汎用的AIと特化型AI

先ほど、強いAIと弱いAIといった分類方法を紹介しましたが、また別の分類方法として汎用的AIと特化型AIというものがあります。

汎用的AIとは、汎用的に使えるAIのことで、さまざまな種類の課題に対して処理を行うことが出来ます。つまり、人間と同じような処理能力を持つAIのことです。人間も計算したり、言語を発したり、また相手の言葉を理解したりいろいろなことが出来ますよね。私たちにとっては当たり前のことでも、これを機械で実装しようとすると非常に難しいものがあります。

現在汎用型AIは、強いAI同様実用化には至っておらず、将来の実用に向けて研究が進められている段階です。

その一方で特化型AIとは、何か一つの分野の処理に特化したAIのことです。先ほど人間と同じような処理能力を持つAIのことを汎用型AIと呼びましたが、こちらはそれとは少し違います。人間を超える能力をある一定の分野で発揮するのです。

例えば、「アルファ碁」をご存じでしょうか。アルファ碁とは、2016年に世界のトップ棋士相手に勝利を収めたことで一躍話題になった、囲碁プログラムが組み込まれたAIのことです。こちらは、囲碁という一分野に特化した特化型AIといえるでしょう。もちろん、それ以外の機能は持ち合わせていませんから、Siriのような自然言語処理や、スマホカメラのような画像認識は行えません。けれども、囲碁という一分野に関しては人間を超えたといってもよいのではないでしょうか。

現在では、汎用化AIよりもこちらの特化型AIのほうが実用化が容易であり、実際にデータ入力を自動化するなどといった実績もあります。

 

AIは人間から仕事を奪うのか?

最近のAIの急速な普及に伴い、「AIが人間の職を奪うのではないか」といった意見を目にしたことはないでしょうか。AI技術の発展は喜ばしい反面不安な気持ちが残るのも確かです。しかし、AIによって完全に人間の職がなくなってしまう、失業率が大きく増加してしまうといった心配は必要ありません。なぜなら、「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIによって仕事内容が変わる」からです。

AIによって仕事が奪われてしまうのかを考える前に、人間と比べた時のAIの長所や短所を考えてみましょう。

AIには、先ほど少し述べた通り、特化型AIというものがあり、人間よりも優れた能力を発揮することが出来ます。具体的には、「多言語を相互に翻訳可能なAI」や「複雑な計算をほんの数秒で解いてしまうAI」、「エクセルやワードなどのソフトを用いたデータ入力を人間の数十倍の速さで終わらせてしまうAI」など、ある分野に限っては人間には到底追いつけないラインにいるのが、AIです。

また、AIには体力や感情という概念がありません。365日24時間作業を続けることも可能ですし、もし人員が増えてしまい不要になったらすぐに数を減らすことも出来ます。もちろん、数を増やすことも容易です。

さらにAIには給料を支払う必要がないので、AIを用いると人件費が削減できます。これも会社にとっては大きなメリットです。

ここまで見るとAIはいいところだらけですが、もちろんAIを導入するうえで懸念しなくてはならないこともいくつかあります。

まず一つ目が、AIはいつ暴走するかわからないといったことです。AIは機械なので不慮の故障や制御できない状態になってしまうといったことが少なからず起こります。それを考えると、企業のほとんどがAIで構成されているなどといった事態は少し危なく感じますよね。

また、AIには感情がありません。これには数を減らしたり増やしたりするのが容易といったメリットもあるのですが、デメリットもあります。感情がないということは、セールスマンやカウンセラー、教師や介護士などといった人と関わる職業に努めるのが難しいです。

例えば、カウンセラーをAIで置き換えるとすると、確かに最適解を出すことはできるかもしれませんが、どうしても受ける側は機械的な作業をおこなっている感覚に陥ってしまうため、人間のほうが適切であることがわかります。また、機械ですと、最適解のみしか出せません。要するに、心を許すための雑談や世間話を行うことが難しいです。さらに表情などもないため、人間のような温かさはそこにはありません。

さらに、AIは与えられたデータから学習し、予測しない事態にも対応することが出来るようになってきました。しかし、過去に与えられたデータから推測できない、クリエイティブな思考は持ち合わせていません。そのため、経営者や事業の責任者のような役割はAIには行えないことがわかります。

以上、AIのメリット・デメリットを紹介してきましたが、結論を言うと、「カウンセラーや教師などの人間とコミュニケーションをとるような職業」や「経営者や事業責任者のようなクリエイティブな思考が求められる職業」ではAIを導入することが難しい、また、AIを制御するために人間が必要であるため、企業の大半をAIに置き換えてしまうことは危険であるということがわかるかと思います。よって、AIが人間を支配し、社会の大半の職を奪うといったことは現状あり得ません。

 

まとめ

ここまで、AIの種類やメリットを紹介してきましたが、AIに関する理解は深まったでしょうか。先ほど、AIが大半の職を奪うことはないと述べましたが、AIの社会参入率は今後大幅に増加すると考えられます。AIの進歩が怖い、AIは急に故障する可能性があるため必要ないといった思考は捨てて、今後はAIと人間の共存が求められる世の中になってきます。お互いの良いところを理解し、役割分担をするといったことがこれからの未来を生き抜く中で必要な考え方になってくるのではないでしょうか。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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