建築物の省エネ対策が脱炭素を加速させる理由とは?

建築物の省エネ対策が脱炭素を加速させる理由とは?

環境問題への対策として、脱炭素という目標があるが、どういう意味なのだろうか。脱炭素とは、温室効果ガスの排出量をなくすことを目標にした取り組みです。脱炭素が必要な理由、カーボンニュートラルの取り組み、建築業界における環境対策などを紹介します。

 

脱炭素について

脱炭素の意味

脱炭素とは、温室効果ガスの排出量をなくすことを目標にした取り組みです。技術が進歩するに伴って、二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料によるエネルギー率の上昇が懸念されています。温室効果ガスのほとんどはCO2であり、主な出所は化石燃料によるものです。運輸業や製鉄業などもCO2の排出量が高いです。

海面上昇、豪雨による洪水、山火事など、温室効果ガスによる地球温暖化で様々な問題が起こっています。早急に取り組むべき課題であり、脱炭素を目標としています。

目標にする脱炭素社会とは

脱炭素社会は、脱炭素が実現した社会のことです。目指す理由としては、温室効果ガスによる地球温暖化を防ぐこと、化石燃料の資源に限りがあるのが主な理由です。例として、化石燃料に石油があるが、これがなくなると様々な困難が起こります。車や船の燃料、プラスチックや塗料などの石油製品などが作れないです。

船による物流に影響が出れば、商品が店に並ばないなど身近にも悪影響はあります。プラスチック製品は、テレビやスマホ、包装、注射器など、多くの製品に石油が関わっています。脱炭素社会を目指すことで、経済を発展させる要因にもなります。

自動車業界では、車をハイブリッドや電気自動車に切り替え、ガソリン車を減らしていくなどの取り組みがあります。環境問題を意識しながら経済も発展していく流れが理想的です。

 

国内目標2050年カーボンニュートラル実現

2020年10月26日の国会で菅総理が、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするという内容を表明しました。その中でカーボンニュートラルという温暖化対策に関するワードが出てきました。

カーボンニュートラルとは

温室効果ガスの排出量に対して、吸収量・除去量を合わせてプラマイゼロにする取り組みです。脱炭素と共通する言葉だが、目標と手段の違いと考えられます。脱炭素は温室効果ガスをゼロにする目標であり、カーボンニュートラルは、排出量と吸収・除去する量を差し引いてゼロにする手段です。カーボンニュートラルは脱炭素を行うために必要な取り組みです。

実現に向けての考え方

実現に向けて、バイオマス発電や植林活動などの取り組みがあります。バイオマス発電は、生ごみや木の廃材などの生物資源を燃料として発電します。バイオマス発電で燃焼してもCO2は出るが、化石燃料よりも少なく、自然に吸収してもらう目的があります。

発生したCO2は植物が吸収して成長し、その植物を再びバイオマス発電で活用する仕組みなので、排出量と吸収量を均衡させています。まさしくカーボンニュートラルです。

植林活動では、様々な企業が森林の再生に取り組んでいます。CO2を吸収する森林は貴重なので、減少は環境問題の原因の1つです。事例として三菱商事は、マレーシアで植林活動を行いました。

1990年に開始して18年経過した結果、20mほどの樹木に育ちました。バイオマス発電や植林活動が発展することで、カーボンニュートラルの実現に繋がります。

建築業界における現状

建築業界においても、脱炭素を目標とした取り組みを行っています。建築業の現場におけるCO2排出量は、国内排出量の0.6%ほどと少ないが、建築で使う材料の製造、建てた家やオフィスで発生するなど、周りが主な原因になっています。建てる建物の気密性の向上、再生可能エネルギーの導入、LED照明など、建築業での取り組みは様々です。

 

 

脱炭素化実現にむけての法律改正

背景

2050年までに脱炭素を実現させる目標などで、環境問題の取り組みが加速しました。それに伴い、地球温暖化対策推進法の一部改正や、木材利用促進法の改定などがありました。

概要

1つは、地方創生につながる再エネ導入の促進です。再生可能エネルギーの活用など、脱炭素を促進する事業を行う場合、自治体が円滑に合意形成を整えてくれます。従来は再エネを導入する場合、地域によってはトラブルになる場合があり、改正によって自治体が積極的に関与してくれるようになりました。

木材利用促進法は、正式名称は「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」と言います。建築においての木材利用を国が支援してくれることを定めました。

 

建築業界脱炭素化の取り組み

建築物省エネ対策を強化

建物内でのエネルギー消費においてのCO2排出量は高く、住宅や建築物の作りを変えることで、省エネ対策を強化する動きがあります。エアコンや照明など、建物内でのエネルギー消費は激しいものです。

例として、省エネ対応の作りにすることで、室内の温度を保つことで、エアコンの稼働率の削減になります。省エネ対策の建物が増えれば、温室効果ガス削減に繋がります。

再生可能エネルギーを導入

再生可能エネルギーの導入も重要です。住宅やビルにソーラーパネルを設置することで、電気を作り出し、エネルギー消費を抑えれます。

木材利用を促進させる

木材の利用を促進している取り組みもあります。建材は製造過程において、CO2の排出量が多いです。木材は他の建材と比べて、加工や運搬など、各工程でのCO2排出量を削減できます。廃材になればバイオマス発電の燃料にも使え、様々なメリットがあります。

 

新築建築物を2030年までに省エネ機能を持たせる

2030年までに、新築建築物の平均でZEH、ZEBの実現を目指す目標を掲げています。

ZEHとは

ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy Houseの略語で、省エネ対策をしている住宅のことです。明確には、住宅で消費したエネルギーに対して、太陽光発電などで得たエネルギーを合わせて、プラマイゼロにすることを目指した住宅です。消費エネルギーを削減する部分も重要になります。

断熱化では、暑さや寒さに影響されにくい断熱性能が求められます。断熱材や窓の性能を高め、エアコンの稼働率を効率化させることが必要です。省エネタイプのエアコンや給湯器、LED照明など、隅々まで省エネ化を図り、エネルギー消費量を減らします。

太陽光発電を行うためにソーラーパネルを設置し、消費エネルギーに届かなければいけません。エネファームを導入して電気を作る方法もあります。エネファームとは、都市ガスやLPガスから水素を取りだし、空気中の酸素と反応させて電気を作るシステムです。省エネ対策住宅が増えることで、大きな環境対策になります。

ZEBとは

ZEB(ゼブ)とは、Net Zero Energy Buildingの略語で、省エネ対策をしているビルや建物のことです。ビルなどの建物に対して、ZEHと同じく消費エネルギーに対して、太陽光発電などで得たエネルギーを合わせてプラマイゼロにすることを目指すものです。

光熱費の削減、環境問題への取り組みによるイメージアップ、従業員の快適性など様々なメリットがあります。環境へ配慮している点で評価が高まり、不動産価値が向上する魅力もあります。ZEHと違い、ビジネス面においてもメリットがあります。

まとめ

・脱炭素とは、温室効果ガスの排出量をなくすことを目標にした取り組みです。

・カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量に対して、吸収量・除去量を合わせてプラマイゼロにする取り組みです。

・建築業界では、環境問題への対策として、ZET・ZEBの普及に取り組んでいます。

・ZETとは、住宅で消費したエネルギーに対して、太陽光発電などで得たエネルギーを合わせて、プラマイゼロにすることを目指した住宅です。

・ZEBとは、住宅ではなくビルやそのほかの建物に対して、エネルギーをプラマイゼロにすることを目指したものです。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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