ディープラーニングという言葉が、ビジネスの場でもよく聞かれるようになりました。今回は、ディープラーニングとは何か、実際の活用事例やディープラーニングが抱える課題について説明していきます。
ディープラーニングとは
ディープラーニングとは人が行う作業をコンピューターに学習させる技術のことです。ニュートラルネットワークを効率化させています。ニュートラルネットワークとは、人間の認識能力を仕組み化したものです。集めたデータの特徴やパターンを学習させて分類・解析することで機械が独自で判断できるようになります。
ディープラーニングで可能なこと
可能なこと
画像解析
ディープラーニングで画像を解析できます。与えられた画像の特徴や法則を見つけて機械が分類します。
自然言語処理
自然言語処理とは、人が日常で使っている言語を解析する処理技術のことです。従来は書き言葉だけを認識していましたが、音声認識技術が進化することで、話し言葉や論文などの意味を認識して言語化できるようになりました。
音声認識
音声認識とは人間の音声をコンピューターに認識させ、テキストに変換するものです。
音声認識は、音響分析・音響モデル・発音辞書・言語モデルの順に認識します。音声認識技術によって、コンピューターが自動で文字起こしできるようになりました。ビジネス業界では、コールセンターでのやり取りを記録するほか、医療現場の電子カルテや、会議の議事録などにも利用されています。
異常感知
異常感知とは、正しい処理をコンピューターに認識させて、それ以外の異常が起きたときに検知することです。異常を感知の技術は、製造業の工場作業、車の自動運転時の道路状況の把握や一時停止などに活用されています。
レコメンデーションの提案
レコメンデーションとは、利用者が興味関心のある情報を提供することです。サイトの閲覧履歴から関連するウェブ広告を表示する技術に活用されています。レコメンデーションは、企業のマーケティング活動でも重宝されています。
難しいこと
ディープラーニングは、前例がなく比較対象がないものは分析が困難です。前例のデータがあれば、比較して解析することができますが、新しいものを生み出すことはできません。したがって、クリエイティブのビジネスには現在活用できません。
ディープラーニングのビジネスでの活用事例
ここからは、実際にディープラーニングをビジネス活用している事例について紹介します。
花王株式会社
花王株式会社では、肌状態予測システムにディープラーニングを活用しています。
油取りフィルムで人の皮脂を採取して、1人当たり約13,000種類のRNA情報を測定します。皮脂のRNAをモニタリングすることで、肌内部の情報を知ることや、将来の肌ダメージのリスクの説明、遺伝情報をもとに美容アドバイスやスキンケアのアドバイスができるようになりました。
キユーピー株式会社
キユーピー株式会社では、食品検査装置にディープラーニングの異常検知システムを導入しました。
加工した食材の目視検査に異常検知システムを採用したことにより、検査の精度が向上しました。またコストの削減も実現して、同じ課題を抱える他のメーカーへ導入を進めています。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、ストリーミング動画に自動翻訳システムを導入しました。動画に表示される字幕を、ディープラーニング技術で最大35カ国語に翻訳するシステムです。実際にテレビドラマ・映画配信で導入して、コンテンツの平均視聴時間が約2.5倍に増えるなどの成果を上げています。
また、このシステムを活用して、コンテンツを見ながら韓国語・中国語・日本語を学習できる言語学習機能も開発しました。
日立造船株式会社
日立造船株式会社では、AI超音波探傷検査システムを開発しました。AI超音波探傷検査システムは、工場のプラントや発電所などに使われる熱交換器の損傷を検査するシステムです。
画像データの解析にディープラーニングを活用して、精度の高い自動化を実現しました。解析時間・コストが低減され、他社の品質検査にシステムを提供していh3ます。プラント設備のメンテナンス分野でも売上が増加しました。
株式会社日本経済新聞社
株式会社日本経済新聞社では、問い合わせ自動応答システムにディープラーニング技術を導入しました。
読者からの電話問い合わせに対して、音声対話エンジンによる自動応答機能を提供しています。約2カ月間の検証を経て、これからは、電話問い合わせの約2割を自動応答で完結させる見込みです。
自動応答で対応できなかった問い合わせをオペレーターに連携するので、効率のいい問い合わせシステムが実現しています。
ディープラーニングのビジネス活用における課題
ディープラーニングのビジネス活用においては、課題があります。主な課題について3つ解説していきます。
データ量の確保と必要コスト
ディープラーニングをビジネスで活用するには、膨大なデータ量を確保する必要があります。ディープラーニングはデータ量が多ければ多いほど認識精度が上がり、問題解決ができます。
しかし、膨大なデータを集めるにはコストがかかるので、費用面においての課題が残されています。
技術進捗と企業導入のスピード格差
ディープラーニングの技術進捗のスピードはとても速いです。
そのため、企業がディープラーニングを導入するときのスピードに追いつかず、企業が導入した時には、すでに新しい技術が開発されている可能性があります。企業がディープラーニングを導入する時は、データ収集・解析のスピード感が重要となります。
日々進化を遂げるAI技術の仕様変更に、対応できるエンジニアがいるかどうかが成功を左右します。
最適解のブラックボックス化
ディープラーニングは、学習した膨大なデータの中から最適解を導き出してくれます。
しかし、最適解が導き出された過程は不明瞭です。過程が見えないことから、ディープラーニングの最適化はブラックボックス化されているといえます。
最適解のブラックボックス化が特に問題となるのは、医療分野です。
医療分野は人の命が関わるので、出した答えの信頼性が重要視されます。したがって医療現場ではなかなか導入がなされていません。過程がブラックボックスとなっていても構わない分野において、ディープラーニングを導入することが重要です。
ディープラーニングのビジネス活用が目指すもの
ディープラーニングのビジネス活用は、顧客対応による業務改善の向上と、日本企業の国際競争力の強化を目指しています。
ディープラーニングの1番の強みは速さです。作業を自動化することで業務スピードが上がり、顧客対応が迅速かつスムーズにできるようになります。画像やビックデータ解析することで素早い顧客対応が可能となり、業務価値が向上します。
また、日本ではディープラーニング技術の導入が、他国と比べて遅れています。技術に対する理解や人材が不足しているからです。日本が世界と対等に戦える体制を整えるために、ディープラーニング産業を拡大していく必要があります。
AIのビジネス活用はAidiotにお任せ!
AIのビジネス活用を検討している人は、Aidiotに相談してみませんか。AI活用に必要なデータを膨大に持ち、日本の大手企業にも多数支援している実績があります。データ収集にかかるコストは他社の1/5と、費用面でも頼れる存在です。
まとめ
今回は、ディープラーニングとは何か、実際の活用事例や課題について説明しました。
ディープラーニングは、すでに様々な業界で活用されています。業務の効率化や顧客満足度の向上、売り上げの増加などの成果を次々に上げています。
ディープラーニングによるAIのビジネス活用を検討している人は、今回の記事を参考にして、自社のビジネス活用に役立ててください。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。