いよいよ迫る物流クライシス!「物流業界の2024年問題」とは?

いよいよ迫る物流クライシス!「物流業界の2024年問題」とは?

製造者から消費者へ物を届ける重要なインフラといえる物流ですが、ECサイト利用などによる荷物取扱量の急増に対して、物流のキャパシティーが追い付かなくなることから「物流クライシス(危機)」が叫ばれています。

物流クライシスには複数の要因があり、それらを解決しないことには確実に状況は悪化するばかりです。この記事では物流クライシスといわれる状況について、その原因や起こりうる問題点を踏まえながら、解決に必要なことを解説します。

 

すでに深刻化に足がついていた?物流クライシスは10年前から始まっている!

あらゆる産業に共通した問題ですが、業界のキャパシティー(処理能力)を超える業務量になると様々な問題が発生し、その結果はコストへ反映することで顕在化します。

物流においてはバブル崩壊後緩やかに下がり続けた「売上高に占める物流コスト」が、2012年に底を打ってから急上昇していることから、物流クライシスは10年前から顕在化していたことが分かります。

ここからは物流クライシスによる影響と、物流におけるキャパシティーが上がらない根本的な原因について見ていくことにします。

Amazonの事例

物流クライシスの事例として世間の注目を集めたのがAmazonと物流を巡る騒動です。Amazonはマーケットプレイスを除く全商品の通常配送料を完全無料化や、当日配送地域の拡大など、利用者サービスの向上を行っています。しかしこれらの負担はAmazonだけではなく配送業者も大きく被ることになります。

佐川急便はAmazonの配送を一手に引き受けていましたが、利用者サービス向上のしわ寄せから売上の急増とは裏腹に、単価の低下による利益率低下と人手不足による現場の疲弊に直面していました。

佐川急便はAmazonへ値上げ交渉を行っていましたがそれも決裂し、2013年Amazonから撤退する決断を下しました。佐川急便の物流クライシスです。
その後はヤマト運輸がAmazonの配送を引き受けましたが、過度の要求により現場は疲弊しているという噂が絶えません。

圧倒的な労働力不足

Amazonを巡る佐川急便の事例は、問題の構造としては非常に単純なものでした。現在Amazonの配送を引き受けているヤマト運輸に比べ、佐川急便は全国の拠点数が圧倒的に少なく、正社員だけではなく外注を積極的に活用する経営スタイルは、もとが企業間物流に強みを持っていた佐川急便の特徴であり、Amazonのような小口で件数が多い個人への配送に向いていなかったのです。

とはいえ現在引き受けているヤマト運輸も同様ですが、増え続ける取扱量に対して圧倒的に不足している現場の労働力が、キャパシティー超えの根本原因なのです。

 

物流クライシスが生じた原因とは?問題ごとにピックアップ!

2012年から顕在化しつつあった物流クライシスですが、原因は荷物取扱量の増加と、それに追いつかないキャパシティーの問題です。
ではそのような現状になってしまう理由とは何なのか、その背景について考えてみましょう。

EC市場の急激な拡大

荷物取扱量増加の理由で一番大きな要因がインターネット通販等の「EC市場の急激な拡大」です。EC市場の拡大による宅配便取扱個数の増加は続いていましたが、それに拍車をかけたのがコロナ過における「巣ごもり消費」の拡大でした。

国土交通省の広報によれば、令和2年度の宅配便取扱個数は48億3647万個で、前年度と比較して5億1298万個・約11.9%の増加となっています。それまでも毎年1~2%の増加を続けていましたが、11.9%という増加率は異常な数値といえます。

コロナ後は一時的に宅配便取扱個数が落ち着く可能性もありますが、基本的には今後も増加は続いていくでしょう。

低賃金・長時間労働によるドライバーの負担急増

少子高齢化問題や団塊世代の一斉退職、非正規雇用の待遇の低さの問題などから、国内企業の人手不足が深刻化していますが、特に物流業界においてそれが顕著です。

物流を支えるのがドライバーであり、典型的な労働集約型産業といえる運送でのドライバー不足は、物流のキャパシティー低下に直結します。しかし詳しく見るとドライバー不足には深刻な原因があります。

トラックドライバーの平均年収は大型447万円、中小型399万円(出典:2016年度国土交通省発表資料)で、全産業平均の490万円と比べて低いことが分かります。特に現場で輸送に携わる20代から30代の収入が低く、人材不足の大きな原因になっています。

またドライバーの長時間労働も問題になっており、平均的なドライバーの時間外労働は平均で年間400時間前後にもなります(出典:厚労省・改善基準告示見直しについて)。これは一般業種における時間外労働時間の上限(労使間合意なし)である年間360時間を超える水準です。

低賃金と過酷な長時間労働によってさらに人手不足が進み、さらに労働環境が悪化するという悪循環です。これに加え2024年4月から、働き方改革関連法に伴う「時間外労働時間の上限規制」がトラックドライバーにも適用されることから、賃金への影響なども懸念されています。

小口配送に伴う出荷量の増加

EC市場の拡大による宅配便取扱個数の増加は、小口配送の増加と同義といえるでしょう。かつての物流は企業間の大口運送がメインでしたが、小口配送は人的リソースの消費に直結します。
さらに再配達の問題など、物流への負担は増加し続けており、業界としての有効な対策を模索しているのが現状です。

今からでも遅くない!物流クライシスを解決するために必要な対策の具体例をご紹介!

現に進んでしまっている物流クライシスですが、根本的な解決には宅配便取扱個数(業務量)を減らすか、流通のキャパシティー(処理量)を上げるしかありません。佐川急便はAmazonから撤退することで業務量を減らす決断をしたのですが、物流全体としてそれをすることは現実的な手段ではありません。

では現実的に取りうる対策はないのでしょうか。考えられる解決策とその問題点について考えてみましょう。

配送料金の値上げ

物流がキャパシティーを上げるためにはコストが掛ります。それを解決する方法の一つが配送料金の値上げです。物流クライシスの根本原因はECサイトによる過度のサービス競争による利益率低下と、従事者の低賃金など、配送料の値上げで解決できることが多いので、労働環境の改善や人材の定着率向上のため重要な施策といえるでしょう。

サービスの質を落とす

小口配送の増加とそれに伴う再配達など、業務量の増加に対して考えられる解決策の一つが「サービスの質を落とす」ということです。落とすと言うと印象が悪いのですが、過剰になってしまったサービスの見直しと考えれば理解しやすいでしょう。

現在でも宅配ボックスの活用や、「置き配」「コンビニ受取り」など、配送方法の見直しが進んでいる途上です。

 

AIで物流クライシスを乗り越える!アイディオットが物流DXをサポート

物流クライシスと叫ばれる一方で、配送センターでドライバーに無駄な待機時間が発生したり、トラック積載率が41%程度であったり、業界として非効率的があるとの指摘もされています。中小配送業者では未だに電話とファックス、そして手作業や勘に頼る業務が多く、それらの解決も物流クライシスの解決に必要です。

ここからはアイディオットのプロダクト導入による、業務改善と効率化について解説します。

戦略立案から実行支援まで可能なAidiot

Aidiot(アイディオット)は「BtoB領域の脳と心臓になる」というミッションを掲げるIT企業で、AIやデータといったテクノロジーを駆使して、時代の最先端を行くサステイナブルな形でのデジタル戦略をクライアントに提案しています。

物流の効率化のためシステム導入を検討するとき、どのように問題解決を考えるべきか、そのスタートで躓きがちですが、自社の解決すべきポイントから戦略を立て、実際に現場に落とし込み運用するまで任せられる信頼性が何より重要となります。

そのワンセットを任せられるのがアイディオットなのです。

データから未来を予測するサービス「ADT」で物流クライシスを解決!

ADT (aidiot digital twin)とはデータを用いて未来を予測するシミュレーターで、物流の中でも運送向けの「ADT For 運送」は、車両情報の可視化・拠点戦略最適化・人員計画などを通して、物流クライシス解決に寄与します。

デジタルツイン技術により、現実に近いシミュレーションを実現し、AIが運送の最適化を提案してくれるのです。

 

まとめ

すでに進行している物流クライシスですが、運送量の増加は止められないことから、根本的な解決は運送の効率化・最適化を進めながら、業務環境を改善し物流を魅力的な業界にしていく必要があります。

そのためには「人である必要のない業務」を洗い出し、システム化による運送業務の効率化は欠かせない取り組みです。それを乗り越えた先には、まだ伸びていく市場が待っています。

 

サプライチェーンのDXをAI・デジタルツインなどの新技術で支援。カーボンニュートラルの実現に向けたCO2排出量の可視化・削減シミュレーションにも対応する物流特化のサービス。先ずは無料の資料請求から。
この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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