深層学習の医療での活用事例とは?医療AIの導入メリットや課題も紹介!

深層学習の医療での活用事例とは?医療AIの導入メリットや課題も紹介!


ニューラルネットワークによるデータの分析と学習を基本とする深層学習。深層学習によって大きく進歩した医療AIは、現代社会にはなくてはならない存在となっています。しかし、実際の医療の現場で、深層学習がどのように活用されているかを知っている人は少ないでしょう。

今回は、医療分野における深層学習の活用事例を紹介します。また、医療AIの導入メリットや課題についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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深層学習とは

深層学習は、人間の脳の仕組みを再現したニューラルネットワークを基礎とする機械学習の1つであり、ディープラーニングともいわれています。

膨大なデータ(ビッグデータ)を自ら分析・学習し、問題解決に必要な手がかりを提案する仕組みです。現代社会ではさまざまな分野で活用されており、その中には医療分野も含まれています。

医療分野での活用事例

ここでは、深層学習が現代医療でいかに必要とされているかを、活用事例を通して解説します。医療分野では、特に「診断仮説の形成」と「治療戦略の立案」に大きく役立てられています。

画像診断による病変の早期発見

深層学習は、レントゲンやCT、MRIなどの検査機器の画像データと、患者の過去の症例データを関連付けて学習・分析します。この分析により抽出された異常な点を医師が重点的に診断することで、病変の早期発見を可能にしています。

実際に、深層学習を活用した胃がん発見システムでは、熟練の内視鏡医に比肩する98.6%の精度で胃がんを検出します。特筆すべきは画像解析のスピードであり、わずか47秒で2,296枚の画像を解析することができます。

参照:人工知能(AI)で「胃がん」を早期発見 98%の精度で「熟練医に匹敵」

ゲノム医療による疾病診断

深層学習は、膨大なゲノム配列データと大量の論文を読み込み学習し、分析します。その結果、人間では診断困難なゲノム変異の特定、および適切な薬剤の投与を可能にします。

東京大学医科学研究所附属病院では、適切な治療法の見つからなかった骨髄性白血病患者のゲノムを、IBMが開発したAI「Watson(ワトソン)」を用いて解析しています。その結果、10分足らずで病気の原因とされる遺伝子と、その治療法を提案することに成功しました。

参照:AI活用でゲノム医療・精密医療の実現へ | Nature ダイジェスト

新薬開発時のプロセス短縮・コスト低減

新薬開発に必要なプロセスには「ターゲット選定」「リード化合物の探索・最適化」「分子構造の相関性のマッチング」「ケースリポートの登録」などがあります。それらのプロセスに深層学習の大量データ処理能力、高速なデータ分析能力、手がかりの推論能力を活用することで、新薬開発のプロセス短縮やコスト低減が可能です。

実際に、AIを活用した創薬を手掛けるElixは、新型コロナウイルス感染症に関する膨大なデータを学習させたAIにより、短期間で治療薬候補を複数特定しています。

参照:Elix AIでコロナ薬予測 複数の候補発見 – 化学工業日報

AIロボットによる手術支援

従来の手術支援ロボットは、術者が内視鏡カメラで撮影された3D画像を通してコントローラーを操作し、器具を動かす必要がありました。そのため、手術支援ロボットの操作は術者の習熟度に左右されていました。

しかし、深層学習を活用した手術支援ロボットは、手術関連の画像を繰り返し学習し、術者のコントローラー操作を支援します。術者の習熟度に左右されない操作を可能にしています。

遠隔地医療支援

従来の遠隔地医療支援は、主にインターネットを通した患者のモニタリングや治療の指示などが精一杯でした。しかし、深層学習を活用した遠隔地医療支援は、患部の画像データや過去の症例データの解析により、実際のサンプルを採取・転送しなくとも、疾患の特定を可能にしています。

今後、さらなるAIの進化とさまざまな医療事情により、医療分野での深層学習は必要性を増し、活用範囲はさらに広がっていくことでしょう。

医療AIの導入メリット

医療AIの導入は、医療に携わる者と医療を受ける者の両方に大きなメリットをもたらします。では、どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

医療データ管理の一元化

医療AIは、患者の電子カルテやこれまでに施行された医療措置、また患者の家族の疾病記録の情報などを一元化して管理することを可能にします。それにより、以下のようなメリットを生み出します。

・病気の予測や治療法などを提案できる
・個々の患者に最適化された治療ができる
・転院した患者の引き継ぎが容易になる

医療データ管理の一元化により、関連したデータの迅速な提案を可能にしています。

医師の負担軽減

医療AIの導入は、医療現場の人材不足を補い、長時間労働などの軽減に効果的です。

たとえば、医療AIを導入すれば、「音声入力システムによる診療時の入力業務支援」や「カルテのデータ解析や検査機器の画像データの分析による診断支援」が可能になります。これにより医師の負担を大幅に軽減することが可能です。

医療精度の向上

医療AIの導入は、医療現場に必要な情報の迅速な入手を可能にし、医師の知識や経験の不足分を補い、意思決定における精度を向上させます。また、人間が見落としがちな画像の詳細情報を読み取り、読影精度を向上させるというメリットも期待できます。

医療事務の効率化

医療AIの導入は、下記のような医師のチェックが必要となる医療事務の効率化にも役立ちます。

・医療データの収集・分類・分析
・診療報酬明細書(レセプト)の作成と提出

今までは、医師が医療業務の時間を割いて、医療事務に必要なチェックや入力を行う必要がありました。しかし、医療AIの導入はこれらの事務作業を肩代わりし、医師が本来すべき医療業務への専念を可能にしてくれます。

また、受け付けや精算などの事務作業も、医療AIの導入により大幅な効率化が可能です。

医療AI活用の課題

医療AIの活用には、解決すべきいくつかの課題が存在します。医療従事者はこの課題をよく理解した上で、医療AIの活用に取り組むべきでしょう。

システムエラーへの対策

医療AIにシステムエラーが起きた場合、「誤った薬剤の投与」や「病変の見落とし」などが発生する可能性があります。多くのデータを扱っているため、被害が広範囲に及ぶリスクがあるでしょう。

以下にこの課題解決に効果のある、主な対策を紹介します。

AIに学習させるデータの偏りをなくす(患者層の偏りなど)
活用するデータを分散させず、可能な限り集中させる
活用するデータのフォーマットを統一する

特にデータのフォーマット統一は、AIにデータを学習させるための「前処理」として、必須です。統一されていないデータで学習させた場合、エラーの発生リスクが高まりますので注意が必要です。

信頼感の構築

現在活用されている医療AIが提案する医療診断は、根拠や判断過程が「ブラックボックス化」されていて判断基準が不明確です。そのため、AIから今までにない治療法や薬剤が提案された場合、どこまで信頼できるのかの判断が難しくなります。

この課題の解決には、医療AIの根拠や判断過程の「ホワイトボックス化」が急務です。

個人情報漏洩の可能性

医療AIは、ハッカーによるサイバー攻撃が特に頻繁に起こる分野です。理由としては、主に以下のことが考えられます。

・医療データには高い価値がある
・医療機関はデータセキュリティの優先度が低い

医療データからは、個人の「識別情報」「経済情報」「健康状況」をまとめて取得できるため、ハッカーにとって高い価値を持っています。また、医療機関では患者の救命が最優先になるため、セキュリティ対策は後回しになる傾向があります。

この課題の解決には、「セキュリティの専門家によるプラットフォームの構築」や「セキュリティに対する医療従事者の意識向上」などが効果的です。

医療者の知識不足

AIによるデータ分析には、「AI機器固有の揺れ幅」などが存在するため、機器の特性を理解した最終判断が必要です。

そのため医療現場でAI機器を効果的に活用するには、医療従事者にもAIに関するある程度の知識が必要になります。知識が不足していると、重大な見落としやミスの発生リスクが高まってしまいます。

トラブル時の責任所在の明確化

医療AIによるトラブルが発生した場合、その責任の所在が「医師」にあるのか「AI」にあるのか、または「AIを開発した企業」にあるのか、まだ結論が出ていないのが現状です。医療AIを安心・安全に活用するためにも、一刻も早い法整備が望まれています。

医療AIの活用において解決すべき課題には、専門知識を持つエンジニアの存在が必要なものがあります。その解決には実績と信頼のあるシステム開発会社のサポートが必須でしょう。

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まとめ

今回は、医療分野における深層学習の活用事例を紹介しました。

AIロボットによる手術支援や遠隔地医療支援など、深層学習がいかに現代医療に必要とされているかをご理解いただけたのではないでしょうか。

医療分野へのAI機器導入はこれからますます増えていくと思われます。そのためにも医療AIの導入における課題の解決は重要です。

信頼のおけるシステム開発会社と連携することで、課題解決に大きな効果を期待できるでしょう。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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