人工知能はさまざまなとらえられ方をしますが、一般的には人間の知能をモデルにした機能があるコンピュータシステムのことを指します。人工知能ができることはデータの分類や推論などで、これらの機能を駆使してさまざまな処理をおこないます。
シンプルな数値計算や与えられた処理しかできない他のコンピュータとは異なり、人工知能は学習が可能です。学習によって分類や推論などの精度が向上するのが特徴です。ただ、現在の人工知能は、まだ人間ほど万能ではありません。1つの機能に特化しているのがほとんどで、入り組んだ処理をおこなう場合は複数の人工知能が用いられています。
人工知能ができることとは?
まだ人間には及ばないとはいえ、人工知能ができることは決して少なくありません。過去データから将来を予測したり、画像の解析や音声認識などができるようになっています。人工知能ができることを1つずつ確認していきましょう。
過去データから将来を予測
人工知能は、過去のデータから将来を予測する回帰分析が可能です。この予測はさまざまな業界で導入されていて、資産運用や株価予測サービスなどフィンテックでの導入が特に目立ちます。膨大なデータを処理できる人工知能の強みを活かした画期的なサービスだといえるでしょう。
画像を解析する
画像認識や画像解析はすでに多くの人に認知されているおなじみの機能ですが、その背景には人工知能の目覚ましい進歩があります。人工知能のディープラーニングにより、さまざまな画像処理が可能になりました。車の自動運転、顔認証、商品の読み取りなどで有効活用されています。すでに人の生活に深く関わっている機能です。
音声を認識して言語化する
人間が発した言葉を正確に認識して言語化することも、人工知能は得意としています。人工知能が次々と学習するので、高い精度の言語処理も不可能ではありません。スマホの案内やナビ、音声対応のチャットボット、カスタマーセンターの自動対応などで導入されています。今後もさまざまなサービスへと拡大していく見込みです。
人工知能の開発でよく使用されるプログラミング言語3選
人工知能の開発では、Python・JavaScript・C++といったプログラミング言語がよく使用されます。なぜこれらのプログラミング言語が使用されるのか、人工知能の開発に向いている理由を簡単に解説します。
Python
Pythonはライブラリやツールの多さが特徴なので、人工知能の開発に向いています。また、他のプログラミング言語と比べて読み取りやすいので学びやすいのも、人気に拍車をかけているといえるでしょう。人工知能の機械学習だけに限らず、ゲーム開発なども可能です。便利機能を一通り網羅しているため、人工知能開発で使われます。
JavaScript
人工知能の開発以外にwebやアプリ開発などにも使用される、とてもメジャーなプログラミング言語です。さまざまな人工知能の開発ができるように、ライブラリがオープンになっているのも人気の理由です。Web作成のスタンダードになるぐらい、JavaScriptは広く浸透しています。
C++
C++の魅力は、最高レベルの速度に期待できることです。ただ、メモリ管理が比較的難解だったりなど、ビギナーが簡単に手を出せるプログラミング言語ではありません。どちらかといえば上級者向けです。扱うのは難しいですが、その分使いこなせるようになれば、コンピュータが理想通りのパフォーマンスを発揮してくれます。
人工知能を開発する方法
人工知能を開発するには、定められた手順を踏むのが通常の方法です。構想・検証・実装・運用の4つの段階があり、それぞれでやるべきことがあります。どのようにして人工知能を開発していくのかを紹介します。
最初に構想を練る
いきなり開発に着手しても上手くいかないので、最初は構想を練るところから始めます。まず会社が抱える問題に対して人工知能がどこまで役立つのかを、じっくりと検討します。また、問題に対してどんな人工知能モデルがベストなのかも、最初に考えないといけません。
時代の流れから人工知能のことを崇拝したくなりますが、その考え方は改める必要があります。いかに人工知能が高性能でも、人間と同じようにはできない部分もあります。ですので人工知能を開発して会社に本当にメリットがあるのかを、構想の段階から見極めます。もしメリットがないなら、人工知能の開発をすべきではありません。まず構想を練ることで、人工知能開発の骨組みができます。
構想を実現できるか検証する
構想で骨組みができた段階ではまだ実現できるかわからないため、次の段階で検証をおこないます。構想は机上の空論に過ぎないので、技術的に実現できるのかをシビアに検証しなければいけません。
ひとまず検証のための仮モデルを構築し、学習に必要不可欠なデータの準備をします。データは量さえあれば良いわけではなく、質も伴っていないと高性能の人工知能は開発できません。また、十分なデータが揃っていても、期待通りの精度に達しているか、費用をかけただけのスピードを出せているのかなどを多角的にチェックします。さらに、出力が誤っていた場合のオペレーションなどもチェックし、構想の実現性について隅々まで検証します。
実務での稼働を目指す
検証を経て実現性があるとジャッジできたら、実務での稼働を目指してブラッシュアップを繰り返します。仮モデルをベースにし、人工知能の完成を目標とする段階です。実務での稼働に適合した要件定義と開発を実施し、人工知能を少しずつ仕上げていきます。
完成した後にはテストをおこないます。テストで問題が発生した場合は、まだ実務では稼働させられません。また、問題が発生しなかったとしても、実務のオペレーションでスムーズさを欠く場合はまだ改良の余地があります。実務のオペレーションも問題なくなれば、最終段階の運用に進めます。
PDCAサイクルをベースに運用
最後は完成した人工知能の適切な運用を試みます。人工知能が安定的に稼働するかどうかに注目し、保守をおこなっていきます。また、最初の構想段階でイメージした通りの稼働をするのか、計画の達成状況を確認するのも最終段階ですべきことです。PDCAサイクルをベースに、開発した人工知能の安定稼働を目指します。
人工知能の開発について学ぶ方法
人工知能の開発について学ぶには、主に2つの方法があります。それは独学で学ぶか、プログラミングスクールに通って学ぶかです。それぞれの学ぶ方法について簡単に解説します。
独学で学ぶ
人工知能の開発と聞くといかにも難しそうな印象を受けますが、独学でも学ぶことは可能です。注目の分野だけに参考書は少なくないですし、webにも参考となる情報がたくさんアップされています。また、人工知能の開発について教えてくれる有料のオンラインサービスの活用でも、人工知能の開発について学べます。
ただ、独学でも学べる人工知能の開発ですが、険しい道のりであることは否定できません。独学だとメンターがいないのでわからない部分を地道に調べて理解するしかないですし、壁がかなり高いことは覚悟しておきましょう。基礎から始めて少しずつステップアップしていくのがおすすめの学び方です。
プログラミングスクールに通う
人工知能の開発について本格的に学ぶなら、プログラミングスクールに通うのが確実な方法です。安くない費用がかかるものの、その分人工知能について全般的に学べます。スクールによっては専門コースが設置されていることもありますし、カリキュラムが組まれているので独学より学びやすいのが最大の魅力です。
まとめ
昨今話題になっている人工知能の開発に着目し、開発方法やよく使用されるブログラミング言語について紹介しました。人工知能の開発は簡単ではないですが、手順通りに開発すれば質の高い人工知能を完成させられます。
人工知能の開発を学ぶのは一朝一夕ではないですが、独学やプログラミングスクールに通って地道に知識を身につけてみてはいかがでしょうか。今後も人工知能の開発は、盛んにおこなわれる見込みです。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。