昨今の企業生き残りに向け必要となるのが新規事業開発、そしてこれに欠かせない2大業務、それが事業開発とマーケティングです。
それでは事業開発とマーケティングはどう違うのでしょうか?この記事では新規事業開発を目指す企業や社員向けに2つの違いとその業務内容について詳しく解説します。
事業開発とマーケティングの違いとは?
企業は、競合他社との間で差別化を図り、成功するためにさまざまな戦略を実行しています。これには、製品を顧客にとって魅力的なものにすることでビジネス規模の拡大が可能です。
マーケティング(Marketing)と事業開発(Business Development)の違いとして、
マーケティングは、顧客、クライアント、パートナー、および社会全体に価値のある製品を作成、伝達、提供、および交換するための活動、一連の制度設定、およびプロセスです。
一方、事業開発は、
新製品の開発、新市場への参入、他社との事業提携など、戦略的機会を追求するプロセスです。
事業開発の役割
事業開発とは、企業が新製品を開発し、新しい市場に参入し、他社とのビジネスパートナーシップを形成することにより、戦略的機会を追求するプロセスです。事業開発には大きく3つの役割があります。
製品開発
製品開発は、企業が新製品または製品カテゴリを開発し、それらを同じ顧客ベースである既存の市場に売り込む戦略です。このタイプの戦略は、認知度の高い同じブランドから製品を購入する事を躊躇しないため、確立されたブランド名を持つ評判の良い会社によって実装できます。
市場開発
市場開発は、既存プロダクトを新しい領域に参入する際に開発する成長戦略です。市場開発戦略は、主に新しい場所の市場に参入するか、新しいセグメントの顧客をターゲットにすることによって実装できます。
ビジネスパートナーシップ
業務提携とは、2社が共通の目的を達成するための提携です。このような提携は、合併、買収、または合弁の形をとることが一般的です。コスト削減と相互のコアコンピテンシーによるメリットが、ビジネスパートナーシップを積極的に行う理由です。
マーケティングの役割
アメリカマーケティング協会は、
マーケティングを「顧客、クライアント、パートナー、および社会全体に価値のある製品を作成、伝達、提供、および交換するための活動、制度、およびプロセス」と定義しています。
マーケティングで考慮すべき最も重要な側面は、4pといわれるマーケティングミックスです。製品、価格、流通、プロモーションの4つです。
製品(PRODUCT)
これは、マーケティングミックスで最も重要な要素です。製品は、消費者のニーズや欲求を満たす特定の製品または無形のサービスのいずれかです。会社が製品または製品の重要機能を顧客に明確に伝えることが重要です。
価格(PRICE)
これは、アイテムの販売金額です。価格設定は、収益性、需要と供給、およびマーケティング戦略に影響を与えます。主に提供される製品の性質に依存する企業には、多くの価格戦略が利用可能です。
流通(PLACE)
顧客に製品を配送するために使用される流通チャネルを指します。あなたの目的が顧客にリーチすることである場合、十分普及された流通チャネルが不可欠です。顧客はオンラインで商品を注文できるため、物理的な商品をタイムリーに玄関に配布することがますます重要になっています。
プロモーション(PROMOTION)
プロモーションには、関連する製品情報を顧客に伝えるさまざまな方法があります。従来主流で合ったテレビCMや看板広告だけでは無く、今日では電話、SNS、メールといったマーケティングなども行われています。プロモーション戦略を効果的に行うには、製品の独自のセールスポイントを伝えることに焦点を当てることが重要です。
事業開発とマーケティングのスキル
それでは事業開発とマーケティングに必要なスキルはどのようなものでしょうか?ここではそのスキルについて詳しく解説します。
事業開発に必要なスキル
事業開発にはさまざまなスキルが必要ですが、最も重要な3つは、ビジョン、リーダーシップ、情熱です。
スキルはできる人を使うことで置き換えることができますが、マインドは代用できません。ビジネスを展開するときは、ビジョン、リーダーシップ、マインドの3つを念頭に置いてください。
ビジョン
最も重要なことは、ビジョンを持ち言語化するスキルを持つことです。ビジョンがなければ、事業の目的が不明確になり、言葉で表現できなければ、スタッフの理解や外部へのプレゼンテーションができなくなります。
事業開発者は、事業が本格化したときに、社会・市場・顧客へどのような影響を与えるかを口頭で説明する能力が求められます。また、(自分や他人を前向きな言葉で宣言することで、自分がなりたい人になるというマインド)という意味でも効果的です。
リーダーシップ
新規事業は少数で始めるのが一般的です。新規事業の立ち上げには、企画、開発、販売、販売チャネルの確保、経営管理などの実践的な課題が伴います。これらすべてを一人で行うことは難しいので、どこにでもいる人々の助けを得ることができるはずです。
現時点では、社内外の複数の部門や人材をまとめるためのリーダーシップが求められています。特に、新しいことに取り組むことにネガティブな気持ちを持っている人もいるので、強いリーダーシップで引っ張らないと立ち上げに失敗する可能性があります。
情熱
始めるにはある程度の情熱が必要ですが、事業開発も例外ではありません。情熱が、販売や計画を生み出すことはよくあることです。
特に新規事業の場合、1ヶ月で利益を上げるまでに数ヶ月から数年かかる場合がありますので、真の利益になるまでは情熱を持ち続ける必要があります。
事業展開では問題が発生することが多いですが、それを克服するためには高いモチベーションを維持し続けなければなりません。
マーケティングに必要なスキル
マーケティングに必要なスキルには、企画力、データ分析力、思考力・判断力などがあります。
お客様が求めているものを常に把握し、画期的な製品、サービス、情報を生み出すには、多くのスキルが必要なのです。
企画力
マーケティングに必要な最初のスキルは、計画能力です。企画能力とは、主題に答える能力であり、マーケティングの場合、市場で販売するメカニズムを生み出します。重要なのは、製品に効果的にアプローチする方法と、顧客の問題を改善する方法を考えることです。
企画力を身につけるには時間がかかり、冷静に現状を見て、読み、人を惹きつけるアイデア力も必要です。
データ分析力・思考力・判断力
マーケティングに必要な2番目のスキルは、データ分析、思考、および判断です。マーケティングで利用する分析方法には以下の方法がありますが、分析結果から回答を導き出すには、思考と判断が必要です。
・お客様・情報・企業の視点で分析する「3C分析」
・原材料の調達からお客様への納品までの企業活動のつながりを分析する「バリューチェーン分析」
・政治・経済・社会・技術の4つの要素から分析する「PEST分析」
マネジメント能力
マーケティングに必要なスキルはマネジメント能力です。
マーケティング部門は、社内の多くの部門とも連携する場合があります。市場調査だけでなく、収集したデータを分析し、さまざまな視点から資料を収集し、それに基づいた販売戦略を策定する必要があります。
そのため、さまざまな担当部門を統括するマネジメント能力が求められることがよくあります。
事業開発とマーケティングの業務内容
次に事業開発とマーケティングの業務内容はどのようなものなのでしょうか?ここでは2つの業務内容について解説します。
事業開発の業務内容
事業開発は「仕事の発展と進歩」を担う仕事です。企業においても、事業開発部の立場は、「1事業」の展開を柱にプロジェクトを推進する計画を立てることです。営業戦略を策定し、事業の収益性向上を目指して事業をさらに推進する位置づけです。進捗状況を確認しながら、プロジェクトに問題があれば、すぐに対策を講じて解決します。
その結果、事業開発は幅広い領域の知識が必要となり、パートナーの選択、マーケティング、提案、プロジェクトの財務管理に携わる可能性があります。また、事業に必要な人材を確保する部門であり、長期プロジェクトの場合は人材育成にも及ぶ可能性があります。
マーケティングの業務内容
マーケティングとは、世界が求めているものを探し、ニーズに合った商品やサービスを効率的に提供する活動の総称です。新製品や新サービスの企画、企画のための市場調査、販売戦略や販売促進方法の検討など、さまざまな活動があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?事業開発とマーケティングでそれぞれ位置づけは異なるものの新規事業には欠かせない存在です。事業開発が新規サービスの開発、マーケティングはそのプロモーション戦略という位置づけですが、ともに強い思いとリーダーシップが必要となります。
皆様もこの記事を参考に、新規事業の体制検討をされてはいかがでしょうか?
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。