初めて新規事業を手がける場合、可視化されにくい見えない課題が多数あります。上手くいくだろうと楽観視して進めてしまった結果見えない課題にぶち当たり、苦労することがめずらしくありません。
初めてなのでしかたない面はあるものの、新規事業を失敗すれば損失が出ます。ですので、たとえ初めてでも成功を要求されるのは当然です。以下で紹介する見えない課題を意識し、しっかりと対策しましょう。
新規事業のフェーズ毎の課題
新規事業を各フェーズに分け、フェーズ毎に課題との向き合い方とその解決方法をまとめました。アイディア・事業化・立ち上げ後の拡大の3つのフェーズにまとめましたので、初めて新規事業を手がける方はぜひ事前に確認してみて下さい。
アイディアフェーズ
序盤の軸になるのが、新規事業の土台となるアイディアフェーズです。アイディアがおぼろげでは、新規事業はヒットしません。そこで、どのようにアイディアを出すのか、出したアイディアからどれを選ぶのか、どうやってビジネスにするのかの3つをピックアップしました。
そもそもアイディアの出し方がわからない
今まで誰も考えなかった斬新なアイディアは、そう簡単に思いつきません。既存事業を踏襲したり以前の成功パターンを真似たりなど、どこかで見聞きしたようなアイディアばかりになりがちです。また、昔と比べて今は、スタートアップ企業が山ほど存在します。そのためかなりニッチなニーズを狙ったアイディアでも、すでに事業化されているケースが多いです。今は斬新なアイディアを出すのが、非常に難しい状況です。
斬新なアイディアを出すには、顧客が不満に感じていることに着目するのが効果的です。プロダクトに対する不満をはじめ、不安や不足にも着目すると斬新なアイディアを出すヒントになります。場合によっては、顧客自身が認識していないような不満もあります。そんなお宝のような不満を発見して新規事業にすれば、比較的ヒットしやすくなります。
アイディアを出したがどれがいいかわからない
たとえ首尾よく複数のアイディアを出せても、どれがヒットするアイディアなのかわからなくて悩むパターンは思いのほか多いです。特に新規事業のチームメンバーが多いとそれぞれの主張が割れてしまい、いつまで経っても決まりません。ではリーダーや上司の一存に委ねれば解決するのかというと、そうではない難しさがあります。なぜなら新規事業に対して、リーダーや上司が経験豊富とは限らないからです。
この課題を解決するには、アイディアの価値を正しく見極めるしかありません。それは「ちょっといいかも」ぐらいでは不十分で、これまでの常識を覆すような潜在的価値を秘めているのが理想的です。そのようなセンセーショナルアイディアは批判的な意見も多いですが、そのぐらいの価値がないと競合との差別化を図れないです。厳しいジャッジが求められますが、そのぐらいの心構えでアイディア選ぶことが成功の秘訣です。
アイディアをビジネスプランまで落とし込めない
良いアイディアが出ても、それをビジネスプランまで落とし込めるかどうかはまた別の話です。いくら魅力的なアイディアも、ビジネスにならなければ意味をなしません。ビジネスプランまで落とし込めず、泣く泣く良いアイディアを諦めることもあります。良いアイディアが出ても、次はビジネスプランという名の課題が立ちはだかります。
良いアイディアをしっかりとビジネスプランに落とし込むためには、世の中で成功を収めている優秀なビジネスプランを参考にするのが手っ取り早い解決策です。良いアイディアを思いついたら、後は世の中で成功しているビジネスプランに当てはめるのです。企業は利益が出れば勝ちなので、独自のビジネスプランにこだわる必要はありません。良いアイディアに合いそうな既存のビジネスプランを探しましょう。もしピタリと合わない場合は、合うようにアレンジして下さい。
事業化フェーズ
事業化フェーズも、アイディアフェーズと同様に主に3つの課題があります。3つの課題について確認してみましょう。
決裁者の審査が通らない
上司をはじめとした決裁者の審査が通らなければ、新規事業は絵に描いた餅で終わります。決裁者に「その新規事業は認められない」と判断を下されてしまうことが、事業化フェーズの代表的な課題です。決裁者の心を動かせなければ、審査には通りません。
ストーリー仕立てにしたり人の心を掴むキャッチコピーを決めたりなど、新規事業を魅力的に見せるための一工夫が課題を解決するための方法です。新規事業の印象を良くすることがポイントです。ただ機械的に説明するのではなく、魅せ方にこだわらないといけません。そうすることで決裁者の審査が通りやすくなります。
スタートまでの進め方がわからない
そもそもスタートまでの進め方がわからないのも、事業化する際によくある課題です。初めて新規事業を手がけるのならわからないのが普通ですが、いつまでも進まないと全体的に遅れてしまいます。
進め方がわからない場合は、参考になる進め方を早めにみつけることが解決策です。自分たちだけで進め方を考えようとせず、外部の情報もリサーチして進め方を把握することが大切です。
社内・社外の提携がうまくいかない
近年は一企業が独立して事業を進めるよりも、社外と提携して進めるケースがポピュラーになりました。ただ、社外との提携がスムーズにいかないケースもあり、社内の連携ともあわせて課題になることがよくあります。
社外との提携をスムーズにするには、お互いの役割をはっきりさせておくことです。新規事業のいったいどの部分を提携するのかが明確であれば、社内の連携も社外との提携もうまくいきやすくなります。
立ち上げ後の拡大フェーズ
新規事業を立ち上げた後は、拡大するフェーズが待っています。想定通りに拡大できないケースもあるので、課題とはしっかり向き合う必要があります。
顧客の集め方がわかない
いくらニーズ調査を入念におこなっても、その通りに顧客が集まるとは限りません。顧客が集まらず、思ったほど拡大しないケースがよくあります。的外れだとひたすら営業しても効果が薄いですし、場合によっては泥沼化することもある看過できない課題です。
なぜ顧客が集まらないのかを、冷静に分析して対策することが課題の解決方法です。やみくもに顧客を集めようとするのは得策ではありません。顧客のリアクションや意見をしっかりとチェックし、狙って顧客を集めることが大切です。
販促の方法がわからない
マーケティングの一環の販促も、新規事業立ち上げ後の拡大フェーズで課題になりやすいところです。どのような販促が効果的なのかわからず、十分な販促ができないケースはめずらしくありません。いくら良いプロダクトの新規事業も、販促に失敗すると拡大は見込めなくなります。
狙っている市場の性質を見極め、それにマッチする販促をするのが解決の方法です。若い人が多い市場ならSNSを積極的に取り入れたり、お年寄りが多い市場なら新聞広告を出したりなどが効果的です。市場の性質に合った販促をしましょう。
どう進めればいいかわからない
拡大フェーズを自然の流れだけに任せれば、どうしても運頼りになってしまいます。どう進めればいいのかわからないため、課題を抱えることになります。
立ち上げ後に新規事業を軌道に乗せたいなら、検証と仮説を繰り返してブラッシュアップするのが効果的です。立ち上げて動き出せばいろいろな事実が判明するので、その事実の検証と新たな仮説を立ててブラッシュアップします。この進め方をすれば、間違った方向には進みません。
まとめ
初めて新規事業を手がける際の見えない課題について紹介しました。アイディア・事業化・立ち上げ後の拡大と、主に3つのフェーズにおいてそれぞれ違った課題があります。どれも簡単には解決しない課題ばかりですが、課題をクリアするための解決方法も併せて紹介しました。
新規事業を成功させるのはいばらの道ですが、課題を1つ1つしっかりと乗り越えていきましょう。
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この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。