上司から突然”新規事業の企画書を作成してほしい”というような依頼を受けることはございませんか?
今回はそんな方へ向けた新規事業の企画書の目的や構成・考えるべき視点などをご紹介!
新規事業の事業企画書の目的は?
事業企画書は、新規事業開始の承認を得るのが目的で立案します。立案の際にしっかり意識したいのが「いったい誰から承認を得ようとしているのか」です。事業企画書でアプローチするポイントは、承認を得ようとしている相手次第で異なります。
承認を得ようとする相手は、社内と外部の2種類に分類できます。それぞれどのようにアプローチすべきなのか、稟議や承認を通すためのポイントを簡潔にまとめました。
社内稟議を通す
社内稟議を通したい場合、社長をはじめとした重役に向け極めて現実的なアプローチをしないといけません。具体的には、経営者視点に立つということです。リスクとリターンのバランスは取れているのか、会社に見合った投資スケールなのかなど、俯瞰の視点を取り入れつつ事業企画書を立案するのがポイントです。
外部承認を通す
事業企画書を立案する目的は、社内稟議を通す以外にもあります。たとえば金融機関から融資を受けようとしたり、懇意にしている取引先などの関係者に向けて説明する場合などです。
外部承認を通すのは、社内稟議を通すのに比べてさらにシビアな一面があります。俯瞰の視点を取り入れるのはもちろん構成も工夫しつつ、誰が見ても納得のいくような事業企画書を立案する必要があります。
新規事業の構成
新規事業の事業企画書を立案する際は、下記の7項目を入れると理想的な仕上がりになります。いったい何を入れるべきなのか、7項目についてそれぞれ解説します。
既存事業の課題把握
まず既存事業の課題とは何かを、正確に把握することが非常に重要です。そしてその課題が新規事業によってどう解決されるのか、誰が見てもわかるように論理的に組み立てないといけません。
事業企画書を伝える相手からゴーサインを出してもらうには、相応の説得力が必要不可欠です。新規事業を立ち上げることで既存事業の課題が速やかに解決できると示せれば、事業企画書が通りやすくなります。
新規事業を立案した背景
よくあるのがトレンドを理由にするケースですが、それだけでは背景を説明するのに物足りません。それだと「トレンドにただ乗っただけなのでは」と、事業企画書のエビデンスを不安視されてしまいます。
そこで、トレンドだけでなく自社の誇れる点も組み合わせます。テクノロジーの優位性や徹底したカスタマーサービスなどの誇れる点をトレンドと組み合わせて背景を説明すれば、単にトレンドに乗っただけという印象はなくなります。トレンドと自社の誇れる点を上手く組み合わせてアプローチしましょう。
新規事業の事業内容
新規事業の骨子となる部分です。どの層の消費者に狙いを定めているのか、いったいどんな商品やサービスなのかなど、新規事業についてわかりやすく明確に説明する必要があります。この部分が曖昧だと台無しなので、細心の注意を払いましょう。
新規事業の市場規模
いったいどの程度の市場規模なのか、データを駆使して示すのが一般的です。特に官公庁をはじめとした公的データは十分なエビデンスになりますので、積極的に盛り込みましょう。
客観的データは安心を保証する材料になりますし、構成に市場規模を入れれば説得力が増します。
競合分析
競合を冷静に分析することは、参入障壁の高さを伝えるのに役立ちます。競合がどのような売上なのかを明らかにすることで、ビジネスチャンスがあるかどうかを感覚的に判断してもらえます。
ただ、もしも競合が多い場合は、独自の優位性も同時にアピールしないといけません。競合を引き合いに出し、勝算があることを明確に示す必要があります。
事業計画
どのような推移で黒字になると想定しているのか、事業計画で売上予測を示すことが大切です。あくまで想定なので絶対的な確度ではないものの、どのような根拠で黒字を想定しているのか、ロジカルな計画を練って示すのが最適です。
特に社内の稟議を通したいなら、黒字化のタイミングを明確にしないといけません。計画性に欠けていると絵空事だと一蹴されてしまうので、しっかりと計画を練りましょう。
コスト・メンバー
新規事業に必要な予算とメンバーの提示は、事業企画書に具体性を持たせるために必要不可欠な項目です。これは前項の事業計画とも連動しています。
この場合のコストとは、システムや体制を整えるための初期投資費用やランニングコストのことです。一方のメンバーについては、社内の誰を選出するのか、社外の人的リソースを頼るのかどうかなどを指します。
コスト・メンバーを現実的にシミュレーションすることが大切です。
新規事業の企画書でそのほかにも検討すべき内容
先ほどの章で事業企画書を立案する際に入れたい7項目について解説しましたが、そのほかにも検討すべき内容があります。検討すべき4項目についても合わせて確認しましょう。
ステークホルダー(顧客)
実際に商品やサービスを利用するステークホルダーの顧客ては、もちろん検討すべきです。特にペルソナを具体的に設定できるかどうかが、事業企画書の質を大きく左右します。性別・年齢・住所・職業・年収など、鮮明にイメージできるレベルで設定するのが理想的です。
新規事業のビジョン
将来的にどんな存在でありたいのか、明確なビジョンを描くことも重要です。ビジョンを明確にすることで、困難に直面した時でもぶれることなく、進むべき道に向かって正しい判断が下せます。
新規事業のその後の展開
新規事業を立ち上げた後の展開も、事前に検討しておかないといけません。展開が不透明では、新規事業に対して漠然とした不安が募ってしまいます。展開を広げられそうかどうかで、事業企画書の印象が変わります。
マーケティング戦略
いくら新規事業の内容が秀逸でも、マーケティングに失敗すれば水の泡です。商品やサービスを顧客の元にどう届けるかのマーケティング戦略は、重要なカギを握ります。価格設定・広告・リピーター獲得の手段など、マーケティングのことも必ず示しましょう。
新規事業企画書の精度をより高くするために
最初にできた新規事業企画書が、必ずしも完璧とは限りません。そこで、精度をより高くするためにしたいことを3つ紹介します。
様々な人に見てもらう
様々な人に見てもらうことで、バランスを整えられます。複数の人にチェックしてもらえば、視点の偏りが改善されるからです。新規事業に関わっているメンバーの意見を積極的に求め、ブラッシュアップしていきましょう。
決裁者向けにアレンジ
素案をそのまま書いた新規事業企画書では決裁者の心を動かせない場合が多いので、決裁者の立場や考え方に合わせて上手くアレンジするのがおすすめです。社内の上役・金融機関・提携企業など、状況ごとに決裁者は異なるので、決裁者に合ったアプローチをしないといけません。書き方や構成を一工夫するだけで、伝わり方がまったく違います。誰が目にするのかをイメージしてアレンジすることが、決裁者から承認を得るコツです。
聞かれるであろう想定質問を準備しておく
新規事業企画書を一読した決裁者が、すぐに承認するケースはほとんどありません。新規事業の立ち上げは一大プロジェクトで慎重に向き合う必要があるため、さまざまな質問を受けるのが一般的です。その質問に対してよどみなく回答できるように、しっかりと準備しておきましょう。
質問されやすいのは、新規事業のリスク・自社の弱点・将来性などです。これらの質問を事前に想定し、質問者に納得してもらうだけの回答を用意しておくことが大切です。質問にあたふたするようでは信頼を得られないので、慌てることなく冷静に対応できるようにしましょう。
まとめ
新規事業を立ち上げる際に欠かせない、事業企画書に関する情報を解説しました。稟議や承認を通すためのポイントや、企画書に入れたい7つの項目を心がけることで、魅力あふれる事業企画書に仕上げられます。
また、他の検討事項や精度をより高くするための方法についても紹介しましたので、これから事業企画書を立案しようとする方はぜひとも参考にしてみて下さい。
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【支援企業】
・トヨタ自動車株式会社
・阪急阪神ホールディングス
・株式会社エイチ・アイ・エス
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。