AIは私達の生活に欠かせないものになっており、現在では様々な分野・製品で使用されています。特に物流市場においては、AIが各種問題を解決する手段として大きな注目を集めています。
物流業界は労働力の不足やドライバーの負担増加、配送の小口化による出荷量の変化など、様々な問題を抱えています。これらは物流業界全体の問題となっていますが、AIが問題解決の一助になる可能性を秘めているのです。
持続可能性(サステナビリティ)の観点からも、AIを活用したテクノロジーには大きな期待が寄せられています。
拡大する世界の物流市場
物流市場は世界的に拡大傾向が続いています。その大きな理由と言えるのがEC市場の拡大で、Amazonやアリババに代表される通販サイトの利用が増加傾向にあります。当然ながら日本のECも年々市場が拡大し、個人ユーザーの利用増加から宅配便の取扱個数も増加しています。
サービスも多様化しており、送料無料や即日・翌日配送など利便性も高まっています。このような状況は消費者視点では好ましいと言えますが、物流業の視点では手放しで喜べる状況とは限りません。
物流市場の拡大につれてドライバーの負担増加や労働力不足など、様々な弊害を生み出しています。
2027年の物流市場規模
物流市場は年々成長を続けていますが、2027年の時点では1兆円を大幅に超える市場になるとの予測があります。現に物流市場は年数%の勢いで成長しており、今後もしばらくは拡大傾向が続くことでしょう。
拡大を続ける物流市場には、大きなビジネスチャンスが広がっていると言えます。既存の物流業だけでなく、異業種からの参入も十分ありえるでしょう。
サービスの品質も向上
物流市場の拡大に伴い、物流サービスの品質向上が進んでいます。近年、技術の進歩やグローバルな競争環境の変化により、物流サービスの高度化・多様化が求められるようになっています。そのため、物流企業は顧客ニーズに合わせたサービスを提供するための様々な取り組みを行っています。
例えば、以下のようなサービス品質向上に向けた取り組みがあります。
配達時間の短縮や正確性の向上
物流企業は、配達時間の短縮や正確性の向上に取り組んでいます。GPSを活用した車両追跡システムや、配達員による電子サインシステムなどの技術を導入することで、配達プロセスを改善しています。
貨物の保管・取り扱いの品質向上
物流企業は、貨物の保管・取り扱いの品質向上に取り組んでいます。冷凍・冷蔵・加湿・防湿などの環境制御技術や、梱包材料の改良などを行い、商品の品質を保証しています。
カスタマーサポートの充実
物流企業は、顧客ニーズに応えるために、カスタマーサポートの充実に取り組んでいます。24時間対応のコールセンターや、オンラインでの問い合わせ対応など、多様なサポート体制を整えることで、顧客の信頼を得ています。
以上のような取り組みにより、物流サービスの品質が向上し、顧客満足度が高まっています。
拡大する物流市場が抱える大きな課題
市場の拡大やサービスの向上は好ましい要素ですが、その裏では大きな問題を抱えているのが現在の物流業界です。物流業界における課題を解決できなければ労働環境の悪化を招きかねませんし、やがて業界全体が耐えきれなくなってしまう可能性もあります。
課題を解決するための手段としては、人材の拡充・育成が挙げられます。ところが現在の物流業界は人材の拡充などを行っても、課題を解決できない状況にあります。具体的には以下で挙げる3つの課題を抱えており、AIが課題解決の鍵になると考えられています。
深刻な労働力不足
深刻な労働力不足が物流業界で問題となっています。日本では人口減少によって労働力不足が顕著になり、物流業界も例外ではありません。このような状況下で、物流DXによって効率化や自動化を進めることで、人手不足に対応することができます。
低賃金・長時間労働によるドライバーの負担急増
また、低賃金・長時間労働によるドライバーの負担が急増していることも、物流DXが求められる理由の1つです。物流DXによって、人手不足を補うことで、ドライバーの負担を軽減することができます。
小口配送に伴う出荷量の増加
さらに、小口配送に伴う出荷量の増加も、物流DXが求められる理由の1つとなっています。小口配送は個人向けの通販や飲食店などからの需要が増加しているため、一度に配送する商品の種類が増えています。物流DXによって、効率的かつ正確な配送を実現することができます。
出典：『最近の物流政策について』国土交通省2021年1月22日
AIは物流が抱える課題を解決する大きな鍵に
様々な課題に直面している物流業界ですが、AIがそれらを解決するファクターになると考えられています。AIは幅広い業界・分野で利用されており、今では私達の生活にも密接に関わっています。
しかし、どうしてAIが物流業界の課題を解決できるのかと、疑問を感じている方も少なくはないでしょう。ここでは、AIの導入によって各種課題を解決できる理由を解説します。
ルートの最適化による配送効率化
大量のデータを解析し、効率的なルート設計や最適な配送スケジュールを立てることができる
AIは大量のデータを解析することが得意であり、物流業界においても、膨大な配送ルートデータや過去の実績データを分析し、最適なルート設計や配送スケジュールを立てることができます。これにより、物流プロセスの最適化を図ることができ、配送効率の向上やコスト削減につながります。
物流作業の自動化が可能になる
AIは、ロボットなどの自動化技術と組み合わせることで、物流作業の自動化が可能になります。例えば、倉庫内の自動搬送システムや自動ピッキングロボットを導入することで、効率的な在庫管理やスピード感のある出荷作業を実現することができます。
例：アスクルの物流センターにGeek+の自動搬送ロボットを111台導入 出荷製品を自動運転でスタッフまで運ぶスマート物流
人手不足の解消につながる
人手不足が深刻な問題となっている物流業界において、AIの導入は人手不足の解消につながります。AIによる自動化によって、人が行っていた繰り返し作業や単純作業をロボットが担うことで、人員不足を解消することができます。
トラブルや誤差のリスクを軽減する
AIは高度な分析能力を持っており、例えば倉庫内での商品の紛失や損傷のリスクを減らすことができます。また、トラックやコンテナの位置情報をリアルタイムで監視し、遅延や輸送トラブルなどのリスクを事前に把握することもできます。
以上のように、AIは物流が抱える課題を解決する大きな鍵となると考えられています。
サステイナブル時代に向けたAI活用も
物流業界におけるAIは無限の可能性を秘めていますが、これからの時代はサステナビリティにも注意しなくてはいけません。サスティナブルな時代を見据えた場合、それに対応したAIの活用も視野に入れるべきでしょう。
AIを活用した業務最適化は「脱炭素化」にも繋がる！
特に現代は地球温暖化が世界的な問題になっており、各業界で脱炭素に向けた取り組みが実施されています。物流は二酸化炭素排出量の多い業界ですが、AIを活用した業務の最適化は最終的に脱炭素に繋がる可能性があるのです。
例えばAIが最適な配送ルートを割り出すことで、トラックの運転時間を短縮できます。運行するトラックの台数を減らし、より踏み込んだ脱炭素化の実現も可能になるでしょう。
アイディオットのプロダクト「ADT」なら「脱炭素化」を実現！
脱炭素化を実現するためには、それに適したソリューションを導入する必要があります。様々な製品がありますが、アイディオットのADTなら脱炭素化を可能にしてくれるでしょう。
ADTはスピーディに可視化・最適化・運用のサイクルを繰り返し、運送を最適化します。それによってガソリン代などのコストだけでなく、二酸化炭素の排出量削減にも寄与します。
要望次第では独自機能の開発の開発も可能なため、自社に合わせたシステムを導入できます。脱炭素化やSDGsを推進したい場合、導入を検討してはいかがでしょうか。
まとめ
物流市場は今後も拡大が続くと予想され、2027年には1兆円強になると言われています。一方、物流の最前線で働くスタッフの負担は増しており、早急な改善が求められています。
AIは物流市場の成長を牽引するとともに、現場の負担軽減に繋がると期待される技術です。将来を見据えた場合、導入を前向きに検討するべき技術と言えるでしょう。
この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。
