ERPは情報を一元管理して業務効率の向上、コスト削減ができるシステムです。ERPとブロックチェーンと連携することで、さらに作業効率が上がります。ブロックチェーンは現在、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を実現しています。
ブロックチェーンはこれから金融分野以外への発展が予想されており、これから様々な業界でERPとブロックチェーンの連携が進むと考えられています。
今回は、ERPとブロックチェーンとは何か、ERPとブロックチェーンの連携について紹介していきます。
ERP(企業資源計画)とは?
ERPとは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略称で、業務の効率化・最適化する手法のことです。企業の各部門の人的資源、資産を一元管理することで効率化できます。
一般的に、ERPを企業が導入する場合、ERPパッケージを用いるケースが多いです。ERPパッケージとは、企業の経営資源や実績情報をまとめて管理することで、情報を効率的に管理できるシステムのことです。ERPパッケージは、もともとMRPパッケージから発生しました。
MRPは生産管理の資材管理に使われていました。資材管理だけでなく企業全体のヒト、モノ、カネの資源に拡大したのがERPパッケージです。
ERPでできること
ERPを導入すると、企業にはさまざまなメリットがあります。具体的には業務効率の向上、属人化を防ぐ、リアルタイムで状況を把握、コスト削減、内部統制などがあります。それぞれについて解説していきます。
業務効率の向上
ERPを企業に導入すると、業務効率が向上できます。現在、部署ごとや業務分野ごとに別々のシステムを利用している場合は、情報共有ができていない状態です。そのため、複数のシステムへ情報を二重登録してしまう、別部署で情報が必要な時を抽出する作業が必要になるなど、効率の悪いシステムになりがちです。
ERPパッケージを導入すると、情報を一元管理できるので、全ての部署の社員がすぐに情報にアクセスできます。非効率な業務の改善が可能なのです。
属人化を防ぐ
ERPは、業務の属人化を防ぐこともできます。属人化とは、ある業務を特定の社員しか知らない、できないことです。ERPパッケージを導入すれば、業務内容が標準化されて登録されます。したがって業務の属人化を防ぎ、次の担当者が容易に業務を引継ぐことができます。
例えば、業務担当者が異動や退職などにより業務を離れる場合でも、スムーズに業務が継続できます。また、ERPパッケージには権限委譲や代理処理などの機能も備わっています。担当者が急に出社できない場合でも、業務の滞りを防ぐことが可能です。
リアルタイムで状況を把握
ERPパッケージを導入すると、リアルタイムで状況を把握できます。製造、販売会計などすべてのデータが1つのデータベースで管理されるので、社員はタイムラグなしに情報を把握できます。
例えば、商品受注から発注までの時間、販売から在庫補充までの時間短縮が可能です。また、販売実績の確認など、月次の締め処理を行った後でしか作成できなかったレポートをその都度作成することが可能となります。
コスト削減
ERPパッケージを導入すると、コスト削減にもつながります。
業務の効率化が可能になるので、残業時間の削減や製造、営業など本来の業務時間が長くなります。部署ごとに複数の業務システムを利用している場合は、ERPパッケージでシステムを一元化することで、運用保守などの管理も楽になります。
また、ERPパッケージは、ERPをスクラッチで開発する場合よりコスト削減が可能です。
自社に必要な機能が標準装備されているERPパッケージを選ぶと、さらに低コストで業務効率の向上ができます。
内部統制
ERPパッケージを導入すると、内部統制にも効果があります。
多くのERPパッケージでは、システムの利用状況や処理内容がログとして残ります。ログ機能を用いると、万が一不正が発生した場合の証拠を確保できます。
また、内部統制を行うために発注者と研修実施者を分ける、経理処理は複数人の処理を必須とするというケースもあるでしょう。ERPパッケージにはワークフローの機能が備わっているので、それぞれの処理に必要な権限者を指定できます。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、分散型台帳技術、分散型ネットワークと言われるデータベース機能です。
「ブロック」と呼ばれるデータ単位を一定時間ごとに生成して、ブロックデータをチェーンのように連結して管理しています。
ブロックチェーンは、ビットコインをイーサリアムなどの仮想通貨に使われています。ブロックチェーンが仮想通貨に使われているのは、次のメリットがあるからです。
データの改ざんが困難
ダウンタイムがほとんどない
安価な仕組みである
従来の銀行など、多額の金銭を管理している勘定系システムは、莫大な開発費用と維持費用が必要でした。しかし、ブロックチェーンは従来の勘定系システムと同じ機能を、極めて安価に管理できます。また、管理者を必要としないところもメリットです。
ERPとブロックチェーン連携とは
現在、ERPとブロックチェーンの連携を検討する企業が増えています。
ERPとブロックチェーンを連携すると、自動決済処理、国や通貨を超えた送金が簡単に提供できます。
老舗ERPとして知られるドイツのSAP社は、カナダのブロックチェーン決済システムを開発しているリップル社と提携しています。
2社が共同開発したブロックチェーン決済システムでは、ブロックチェーンのプラットフォーム上で国際送金などの業務が可能となっています。
ERPとブロックチェーン連携のメリット
企業がERPとブロックチェーンを連携すると、ERPだけを導入する時と比べて、さらに作業効率の向上、システムコストの削減ができます。
例えば国をまたいだ取引の場合、現在は為替変動や手続き費用を考慮する必要があります。
ブロックチェーンと連携して商取引に仮想通貨を利用することで、為替の変動がなく、手続き費用を最小限に抑えられます。
従来のブロックチェーンは仮想通貨実現だけの仕組みでしたが、現在のブロックチェーン2.0では、金銭に関するサービス利用が可能となりました。スマートコントラクト(資産管理)やスマートプロパティ(資産管理)、クラウドファンディング(資金調達管理)などへの対応が進んでいます。
ブロックチェーンは管理者不在の状態でプログラムが実行できる、過去の履歴が全て記録・公開されるという特徴から、不正や詐欺の可能性が大幅に減少するといわれています。次世代のブロックチェーン3.0では、金融分野以外の用途利用へと拡大していきます。
2018年2月、NTTデータが保険業界向けにブロックチェーンの基盤を提供して実証実験を開始しました。
猥雑でタイムラグが生じていた管理は、ブロックチェーン技術を利用してさらに効率化していくと予想されます。
このように、ERPとブロックチェーンの連携の流れは確実に進んでいます。次世代のERPでは、ERPシステムの中にブロックチェーンの技術を組み込んで提供されることでしょう。
まとめ
今回は、ERPとブロックチェーンとは何か、ERPとブロックチェーンの連携について紹介しました。
情報を一元管理して業務効率の向上、コスト削減ができるERPはブロックチェーンと連携することで、さらに作業効率が上がります。
ブロックチェーンは現在、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を実現しています。ブロックチェーンは、改ざんが困難、管理者不要で安価に利用できるなどのメリットがあります。ブロックチェーンはこれから金融分野以外への発展が予想されているので、様々な業界でERPとブロックチェーンの連携が進んでいくことでしょう。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。