業務アプリとは、企業の業務の効率化を目的に作られたアプリのことです。システムの開発を専門的におこなう会社がユーザーに向けてリリースするのが一般的ですが、個別のリクエストに応じる形で開発することもめずらしくありません。
業務アプリはとにかく実用性が求められるので、機能や利便性を常に意識して開発する必要があります。ユーザーが業務アプリにいったい何を求めているのかを念頭に置き、柔軟な発想で開発するのが理想的です。
業務アプリが活用される理由とは?
業務アプリはさまざまな場面で活用されていますが、それにはもちろん理由があります。キーワードは、業務効率化・リモートワーク・データの集約と分析です。企業内で日常的に活用される理由について掘り下げてみましょう。
業務の効率化を図れる
業務アプリを活用することで、業務の効率化が図れます。もしも企業のデジタル化がそれほど進んでいない場合、データの共有や受け渡し、スケジュールの管理などに手間がかかります。紙媒体や表計算ソフトなどを使った方法は、あまり効率的とはいえません。
業務アプリを使えば、データの共有やスケジュール管理が簡単にできます。すべてが効率的で処理の頻度が少なくなるため、人の手によるうっかりミスを減らせます。企業内の業務が格段にやりやすくなるのは間違いないでしょう。業務の効率化を見込めるので、積極的に導入する企業が多いです。
リモートワークに対応できる
昭和や平成時代と比べて、令和時代はリモートワークが急速に普及しました。会社には出勤せずに、自宅やカフェなど会社とは別の場所で働くケースが定着しつつあります。そのリモートワークで便利なのが業務アプリです。業務アプリがあることで、場所や時間の制約を受けません。会社以外でも不自由なく働けるので、働き方改革の推進に一役買っている一面もあります。今後もリモートワークは増える見込みなので、業務アプリの利用はさらに拡大する見通しです。
データの集約と分析ができる
企業の業務において欠かせないのが各種データの集約と分析ですが、その業務を効率化できる点も業務アプリが活用される理由です。たとえば名刺管理アプリやレジアプリなどが該当します。名刺管理アプリがあれば、担当社員が転勤や退職しても顧客情報をそのまま共有できます。便利なレジアプリがあれば、簡易的な処理だけで購入者のデータを収集できます。
業務アプリの活用によって顧客や購入者などの情報を簡単にデータ化して分析できるので、マーケティングでとても役立ちます。これまでは一従業員の人脈や知識に頼る部分が大きかったので、どうしても属人化しがちでした。それでは業務が安定しません。
また、会社の規模が大きいと共有が困難になってしまうのも無視できない課題でした。企業が業務アプリを導入すれば、これらの課題を一気に解決できます。全社が一律で使える業務アプリがあれば、そこにデータがすべて集約されます。未導入の場合と比較して社内での連携が取りやすくなるのは想像に難くありません。データの集約と分析で役立ちます。
業務アプリを導入するための手段
業務アプリの導入手段は、大きくわけて2通りです。一般向けに販売されている業務アプリを使用するか、自社で業務アプリを開発するかです。それぞれの手段にどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
一般向けに販売されている業務アプリを使用する
システム開発会社が一般向けに販売している業務アプリを使用する方法です。すでに業務フローがおおよそ決まっている、一刻も早く業務アプリを導入したい、低予算で導入したい場合などに向いている手段です。
すでに業務アプリとして完成しているため、余計な時間をかけることなくすぐに導入できます。また、独自で開発するケースと比べてコストもそれほどかかりません。
ただし「自社の業務体制に合うこと」と「セキュリティが万全であること」が、導入して後悔しないための条件です。これらの条件を満たす業務アプリを導入しましょう。
自社で業務アプリを開発する
理想をすべて叶える業務アプリを使用したい場合は、自社で業務アプリを開発するしかありません。いわゆるフルスクラッチ開発は時間もお金もかかりますが、その分満足のいく業務アプリを使用できるのが最大の魅力です。
一般向けの業務アプリでは対応できなかったり使用中の業務アプリを統合したい場合などは、自社開発を選択するのが良いでしょう。
ただし理想を追求するがゆえにコストがかかり過ぎたり、時間をかけ過ぎるのは得策とはいえません。コストがある程度かかるのはしかたありませんが、許容範囲内におさまる開発を目指すことが大切です。
業務アプリを選ぶ基準とは?
業務アプリを選ぶ際は、いくつかの基準があります。それは操作感・機能・セキュリティの基準です。もしも選ぶ際は、これらの基準を満たしているかどうかで判断しましょう。どんな基準なのかを簡単に紹介します。
ストレスなく操作ができる
いろいろと機能が揃っている業務アプリでも、操作に難がある場合はおすすめできません。業務をスムーズに進めるためには、ストレスを感じない抜群の操作性が必要不可欠です。ITツールの操作が苦手な人でもこなせる快適な操作性の業務アプリを選びましょう。
求める機能がすべて備わっている
会社内でのニーズを調査し、求める機能がすべて備わっているかどうかを確認しましょう。
たとえ低予算で導入できたとしても、必要な機能が備わってなければ役に立ちません。どんな機能を備えているかが非常に重要です。
セキュリティに不安がない
情報漏洩などは会社の信用に深く関わりますので、セキュリティに不安のない業務アプリが絶対条件です。業務アプリそのもののセキュリティはもちろん、開発会社のプライバシーポリシーなども確認して判断しましょう。
ウォーターフォール型で業務アプリを開発する手順
業務アプリを開発する手順は、主にウォーターフォール型とアジャイル型に大別されます。今回紹介するのは、手順がわかりやすいウォーターフォール型です。どのような手順かを大まかにまとめましたので参考にしてみて下さい。
利用目的に合った設計図を作る
まず最初におこなうのは設計図作りです。自社開発する強みを活かし、利用目的にピタリと合った設計図を作りましょう。最初の段階で方向性を見誤ると失敗しますので、ニーズを十分に調べて慎重に作るのがポイントです。
外部と内部の設計をする
設計図ができたら次は外部と内部の設計です。ディスプレイデザイン・プラットフォーム・開発言語などを決めます。また、実装される機能についてもこの時確認しておきましょう。プログラマーがプログラミングしやすい設計書が理想的です。
開発とテストの実施
プログラマーが開発し、その後に動作を確認するためのテストを実施します。テストでは、さまざまな処理の状況を確かめます。さらに、実際の利用者と同じように利用してみて、想定通りに動くかどうかを丁寧にチェックします。
完成したら実際に運用開始
テストが終わって完成したら、最後に運用開始作業をおこないます。業務の効率化を実現できるように、システムを調整するのが目的です。利用者に利用してもらったら改善点をヒアリングし、ブラッシュアップに努めましょう。
開発でよく使用されている言語について
業務アプリの開発には、さまざまなプログラミング言語が使用されています。例えばJavaScriptやRubyが代表的ですが、近頃はPythonがよく使用されています。コード量が少ないためわかりやすいのが特徴です。業務アプリの開発内容に合う言語を使用しましょう。
まとめ
業務アプリとは何かを皮切りに、企業で活用される理由や開発手順について紹介しました。業務アプリを導入することで、業務の効率化が図れます。また、リモートワークへの対応や、データの集約と分析にも適しています。一般向けに販売されている業務アプリが数多くありますが、自社で開発しても構いません。大まかな開発手順を紹介しましたので、もし開発を手掛ける場合は参考にしてみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。