物流における1PL、2PL、3PLとは?具体的な事例を交えて詳しく解説!

物流における1PL、2PL、3PLとは?具体的な事例を交えて詳しく解説!

物流におけるPLとは?基本の概念を理解しよう

物流における「PL(Party Logistics)」とは、物流の主体がどの立場にあるかを示す概念です。物流業務の範囲や委託の度合いに応じて、1PLから5PLまでの分類があり、企業がどの形態を採用するかによって、物流の効率やコストが大きく変わります。

物流の課題は企業ごとに異なるため、自社にとって最適なPLを選択することが重要です。今回の記事では1Lから5Lまで分かりやすく解説していきます。

 

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1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス)、2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス)とは?

1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス)

メーカーや小売業者が自社で物流業務を完結させる形態です。

製品の保管、輸送、配送を自社の設備やスタッフで管理するため、コストや運用の自由度が高い反面、物流インフラの整備や維持管理に多くのリソースを割く必要があります。

(例)トヨタ自動車、イオン、ユニクロ(ファーストリテイリング)

2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス)

物流の一部を専門業者に委託する形態です。

企業が自社の製品や荷物を運ぶ際に、輸送を専門とする業者(運送会社や倉庫会社)と契約し、物流の負担を軽減します。

具体的には、企業が自社で物流の一部、例えば、輸送業務や倉庫管理などを外部の専門業者に依頼し、業務の一部を外部にアウトソーシングすることになります。2PLは、物流業務の一部を他の企業に委託するが、全体の物流戦略を自社でコントロールする点が特徴です。

2PLの企業は、主に輸送や倉庫業務に特化した企業が多く、自社で直接運送網を構築し、他の企業に物流サービスを提供しています。

 

1PLと2PLの違いを分かりやすく表で確認!

項目 1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス) 2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス)
定義 企業が自社で物流業務をすべて管理・運営する 企業が輸送や倉庫業務を外部の物流業者に委託する
物流の主体 企業自身(自社の倉庫・トラックを運用) 外部の物流業者(運送会社・倉庫会社)
コスト 設備・人件費がかかるが長期的に見れば安定 物流業者への委託費が発生する
メリット 物流の完全管理が可能(品質・コスト調整が容易) 物流の専門家を活用できるため、効率的な運営が可能
デメリット 設備投資や人材確保が必要で負担が大きい 物流業者のスケジュールやコストに依存する
導入例 ・大手スーパーが自社倉庫と配送網を持つ

・メーカーが自社トラックで直送する

・メーカーが運送会社に輸送を委託

・ECサイトが倉庫会社に在庫管理を任せる

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは?

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは、企業が物流業務を外部の専門業者に委託し、効率的に管理・運営してもらう形態です。

単なる運送や倉庫管理の2PLとは異なり、物流全体の設計・管理・運営など物流に関わるあらゆる業務を包括的に請け負うのが特徴です。これにより、自社で物流を運営する負担を減らし、業務の効率化とコスト削減が可能になります。

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https://aidiot.jp/media/logistics/post-7847/

3PLの主な特徴

・包括的な物流管理
倉庫管理、輸配送、在庫管理、流通加工など、物流の全工程を委託可能。

・コスト削減と効率化
物流のプロが最適な運用を行うことで、企業の物流コストを削減し、効率を向上させる。

・最新技術の活用
WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸送管理システム)などのIT技術を活用し、リアルタイムで物流状況を可視化できる。

代表的な企業には、DHL、UPS、FedEx、日本通運、佐川急便などがあります。3PLの利用により、企業は物流業務を効率化し、コスト削減や柔軟な対応を実現できますが、業者との連携や依存関係の管理が求められることもあります。

3PLの事例

日本通運株式会社「VMIモデル」

VMIモデルはスムーズな生産とキャッシュフロー改善をサポートを提供しています。導入すると効率的な資材調達を実現し、企業の競争優位性を確保するとともに、在庫最適化によるキャッシュフローの改善を図るメリットがあります。

出典)

https://www.nittsu.co.jp/casestudy/domestic/3pl/vmi/?utm_source=chatgpt.com

佐川急便株式会社

佐川急便は、政府の「GIGAスクール構想」の実現を支援するため、端末事業サプライヤー向けに包括的な物流サービスを提供しました。このサービスには、機器の配送、キッティング(初期設定)、端末の設置、故障時の延長保証サービス(保険)などが含まれ、自治体の多様な要望に対応しています。

特に、個人宅への配達・回収や学校への深夜の一括納品、故障時の電話対応など、窓口を一本化することで、スムーズな対応を実現しました。この取り組みは、佐川急便をはじめ、SGムービングやSGシステムなど、SGホールディングスグループの総力を結集したものです。

出典)

https://www.sagawa-exp.co.jp/logistics/casestudy/10/

DHLサプライチェーン

DHLサプライチェーンは、世界最大級のロジスティクス企業であるDHLグループの3PL部門

で、AI・IoT・ロボティクスを活用し、次世代の物流サービスを提供しています。

DHLの物流センターは、オムニチャネルのニーズを満たし、需要の変動に対応できるよう設定されており、お客様と連携して、コスト競争力を維持しながら、在庫の最小化、迅速な配送、柔軟性の高いB2B・B2Cソリューションなどのサービスを提供します。また、倉庫管理プロセスのさらなる効率化と最適化を実現するために、常に技術の進歩に投資しており、お客様の在庫と注文をほぼリアルタイムで可視化することにより、いつでも優れたカスタマーエクスペリエンスを提供できます。

また、クリーンな燃料の使用と燃料使用量の削減に取り組んでおり、倉庫および輸送オペレーションのあらゆるところで環境に配慮しています。

出典)

https://www.dhl.com/jp-ja/home/supply-chain/solutions/ecommerce-fulfillment.html

1PL・2PL・3PLの違いを比較!最適な選択肢とは?

物流の形態には 1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス)、2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス)、3PL(サードパーティ・ロジスティクス) の3つの選択肢があります。それぞれの違いを理解し、自社に最適な物流の形を選ぶことが重要です。

1PLではマネジメントとシステム、物流業務、いずれも荷主が行います。2PLではマネジメントとシステムは荷主、物流業務は物流事業者が請け負います。

3PLはマネジメントとシステム、物流業務いずれも物流事業者が代行します。3PLでは荷主企業に代わり、ロジスティクス全体を包括的に一元管理します。  

1PLと2PLと3PLの違いを分かりやすく表で確認!

項目 1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス) 2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス) 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)
概要 企業が自社で物流業務を管理・運営する 物流の一部(輸送・倉庫など)を専門業者に委託 物流全体の管理・最適化を外部企業に委託
物流の範囲 自社内で完結 輸送・保管など一部を委託 物流業務全体を包括的にアウトソーシング
管理の自由度 高い(自社で全て管理可能) 中程度(輸送・保管は委託先に依存) 低い(物流業務の大部分を外部委託)
コスト 高い(設備・人件費・運営費が必要) 中程度(委託範囲による) 効率化によりコスト削減の可能性あり
メリット 独自の物流戦略を実行可能 物流の専門性を活かせる 全体最適化で業務効率・コスト削減が可能
デメリット 設備投資・人員確保の負担が大きい 物流全体の最適化は難しい 物流戦略を外部に依存するリスクあり
適した企業 自社ブランドを強く管理したい企業 輸送や保管だけ外部委託したい企業 物流コスト削減や効率化を重視する企業

最適な選択肢は?

・自社で物流をコントロールしたい場合 → 1PL

・輸送や保管だけ外部委託したい場合 → 2PL

・物流全体を効率化し、コスト削減したい場合 → 3PL

企業の成長やニーズに応じて、適切な物流モデルを選ぶことが成功の鍵となります。

3PLの進化!4PL・5PLとの違いとは?

物流の外部委託が一般化する中、3PLは単なる輸送・倉庫管理の提供から、より高度なロジスティクス戦略をサポートする形へと進化しています。さらに、4PL・5PLといった上位の物流管理モデルが登場し、より包括的なサプライチェーンの最適化が求められるようになっています。

4PLとは?

4PLは、3PLのサービスをさらに進化させた形で、物流業務にとどまらず、サプライチェーン全体を最適化・統合します。つまり、物流業務だけでなく、調達から製造、配送、さらには需給予測などを包括的に管理します。

物流業務を請け負うだけでなく、経営方針に基づくロジスティクスの戦略立案から携わり、企業課題を解決へ導きます。

4PLの役割は、サプライチェーン全体の最適化を担当し、物流の「コンサルタント」の役割を果たし、戦略的なサプライチェーンの管理です。企業が複数の3PL業者を管理する手間を省き、統合的な管理を行います。

4PLは単なる管理業務にとどまらず、戦略的なロジスティクス計画の策定から実行までを一貫してサポートするため、物流業務の効率化、コスト削減、業務の透明性向上が期待できます。

5PLとは?

5PLは、4PLのさらに先を行く形態で、物流とIT技術をさらに深く統合し、サプライチェーン全体のデジタル化・最適化を追求します。

5PLは、サプライチェーン全体をデジタル化し、リアルタイムでのデータ管理、予測分析、在庫管理を行います。また、AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなどの高度なIT技術を活用し、サプライチェーンの可視化と最適化を進めます。

5PLは、単に物理的な物流だけでなく、テクノロジーを駆使して企業のビジネス全体に貢献するのが特徴です。

4PL・5PLとの違い

3PL(サードパーティ・ロジスティクス) 4PL(フォースパーティ・ロジスティクス) 5PL(フィフスパーティ・ロジスティクス)
役割 物流業務の実行・管理 物流全体の戦略設計・統括 サプライチェーン全体の最適化とデジタル化
提供範囲 倉庫管理、輸送、在庫管理などの物理的業務 3PLを統括し、物流プロセスの最適化を設計 4PLを統括し、AIやIoTを活用したサプライチェーン全体の最適化
特徴 – 物流の一部を外部委託

– WMS・TMSの活用

– 複数の3PLを管理し、物流の最適化を図る

– 戦略的なサプライチェーン管理

– サプライチェーン全体の統括とデータ活用

– DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進

活用技術 WMS・TMS・IoT・デジタルツイン AI・ビッグデータ・サプライチェーン最適化ツール ブロックチェーン・クラウドプラットフォーム・スマートコントラクト

3PLは単なる物流サービスの提供から、データ活用による効率化やサステナビリティ対応など、より高度な戦略を担うようになっています。4PLは、複数の3PLを統括し、物流全体の最適化を行う役割を持ち、5PLはさらにAIやIoTを活用しながら、サプライチェーン全体の最適化を実現するものです。

これからの物流業界で求められるPLの活用法

物流業界では、1PLから5PLまでの異なるロジスティクスモデルが存在し、企業の事業戦略や課題に応じた最適な選択が求められています。今後の物流業界において、どのようなPLの活用が重要になるのかを解説します。

3PLの高度活用による業務効率の最大化

従来の3PLは、倉庫管理や輸配送のアウトソーシングが中心でしたが、今後は、AIによる需要予測やリアルタイムデータの活用を組み合わせ、より精密な在庫管理と最適な配送ルートの選定が求められます。EC市場の急成長により、ラストワンマイルの効率化やマイクロフルフィルメントセンターの導入など、細かい対応力が必要となります。

4PLの導入によるサプライチェーン全体の最適化

サプライチェーンの複雑化に伴い、物流のコントロールタワーとして4PLの重要性が増しています。異なる物流業者を統合的に管理し、在庫配置や輸送手段を最適化することで、無駄のないサプライチェーンを構築できます。今後は、物流可視化ツールやAIを活用し、より戦略的な意思決定を行う4PLの導入が拡大すると考えられます。

5PLによるデジタルシフトと環境対応の強化

5PLは、サプライチェーンのデータ統合を行い、AI・IoT・ブロックチェーンなどの技術を駆使して最適な物流戦略を構築する手法です。カーボンニュートラルの推進や、サプライチェーン全体の透明性向上を目指し、CO₂排出量をリアルタイムで可視化するなどの取り組みが進んでいます。今後は、企業間のデータ連携や物流資源のシェアリングを活用した効率的な物流ネットワークの構築が求められます。

今後の物流業界では、単なる輸配送のアウトソーシングではなく、データ活用やサプライチェーン全体の最適化を図ることが、企業の競争力強化につながるでしょう。

まとめ

本記事では、物流業界における1PL、2PL、3PLの基本的な概念から、それぞれの特徴や具体的な事例、さらにこれらの違いを比較しながら、最適な選択肢を選ぶ方法を解説しました。また、3PLの進化として登場した4PLや5PLとの違いについても触れ、物流業界の将来に向けてどのような進化が求められているかを明らかにしました。

物流におけるPL(パーティ・ロジスティクス)は、企業がどの範囲の業務を外部に委託するかにより、選択すべきサービスが異なります。1PLでは自社で全ての業務を管理し、2PLでは一部の輸送業務を外部に依頼し、3PLではより広範囲な物流サービスを委託する形態が特徴です。これらのサービスは、企業のニーズや事業規模に応じて最適化され、物流の効率化、コスト削減、柔軟な運営が実現可能となります。

さらに、4PLや5PLの登場により、物流業界は単なる物理的な業務から、サプライチェーン全体を最適化するための戦略的なパートナーシップに進化しています。これらのサービスは、IT技術を活用してリアルタイムで物流を管理し、企業の競争力を向上させるために不可欠な要素となっています。

今後の物流業界では、3PL、4PL、5PLの活用が重要な要素となり、企業は自社のニーズに合った最適な物流パートナーを選ぶことで、より効率的かつ持続可能な物流ネットワークを構築していくことが求められます。このような進化を通じて、物流業界はますます高度化し、企業の競争力を高めるキーとなるでしょう。

 

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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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