【配送・庫内作業を効率化】物流倉庫で活躍するロボットの2024年度最新トレンド

【配送・庫内作業を効率化】物流倉庫で活躍するロボットの2024年度最新トレンド

トラックドライバーが不足する「物流の2024問題」

「物流の2024年問題」とは、2024年4月1日からトラックドライバーの年間の時間外労働時間(残業時間)の上限が960時間までに規制されることによって生じる様々な問題の総称です。少子高齢化により、ドライバーの平均年齢が上昇し、新たな労働力が不足することで物流が滞る可能性が高まっています。

「物流の2024年問題」を乗り越えるためには、労働環境や待遇を改善し、働きやすい環境づくりが不可欠です。

長時間労働の要因である「荷待ち時間の短縮」「トラックの稼働率向上」「配送・庫内作業の効率化」などが大きな課題となっていますが、これらの課題解決のために、近年では、AIやIoTを活用した自動化・機械化の取り組みが始まっており、物流業界全体でDXが進められています。

今回はその中でも「配送・庫内作業の効率化」において、物流倉庫で活躍するロボットについて取り上げ解説していきます。

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配送・庫内作業の効率化とは

物流倉庫の自動化は、人の手を最小限に抑え、ロボットや自動化システムを活用して業務の効率化と正確性の向上を図る取り組みです。

具体的には、商品のピッキング、梱包、仕分け、搬送などの作業をロボットが担い、人間は管理や監視の役割に専念します。これにより、作業のスピードと精度が向上し、人的ミスの削減や労働コストの削減が期待できます。

物流ロボット導入で解決できる課題とは

物流倉庫で活躍するロボットは、最新の技術進化により、ますます進化を遂げています。これらのロボットは、単純な繰り返し作業から、複雑な決定を必要とするタスクまで、多岐にわたる作業を自動化し、物流業界が抱える以下の課題の解決につながります。

1、倉庫からの貨物の積み下ろしの負担を軽減
2、ロボットによる倉庫作業の迅速化
3、労働時間数が最大25%削減
4、人為ミスの防止
5、労働者の安全確保

これらの課題解決において、搬送・物流用の産業ロボットへの大きな期待が寄せられています。

2024年の物流ロボットの最新トレンド

2024年の物流ロボットの最新トレンドは、AIと機械学習の進化により、効率性、精度、そして柔軟性を高める技術の進展に重点が置かれています。

・自律移動ロボット(AMR)

周囲の環境を認識して自律走行ができる自律移動ロボットです。オペレーターが直接的に監督したり、あらかじめ設定された固定経路に制限されたりすることなく、自律的に周囲の環境を把握して移動することができます。

AMRは倉庫や配送センターでの商品のピッキング、運搬に革命をもたらしています。

協働ロボット(コボット)

さまざまな場所に設置し、人と同じスペースを共有しながら一緒に作業できるよう設計されているロボットです。従来の産業用ロボットと同様、人が行っていた単純作業や反復作業を代替し、人と直接、モノや治工具などの受け渡しを行って、協働作業ができることが特徴です。

ロボットプロセスオートメーション(RPA)

パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術。RPAを使って自動実行できる作業として、データのまとめや登録、数値の確認、ファイルの送付や通知、情報収集などが挙げられます。

物流業界でのRPAの導入は、データ入力、注文処理、顧客対応などのルーチンタスクを自動化し、効率を大幅に向上させます。

ドローンによる配送

ドローンを利用した配送は、特に地理的にアクセスが困難な場所や緊急の配送が必要な場合に効果的です。ドローンは配送時間を短縮し、コストを削減することも期待されています。

モジュラー型ロボットシステム

互いに着脱できる部品(モジュール)を多数組み合わせて作るロボット。環境に応じて、形状を変えることができるため、環境への高い適応力を有しています。

 

これらの物流ロボットは、物流業界における作業の自動化と効率化を推進し、全体的なオペレーションコストの削減に貢献しています。

物流ロボットの導入事例

物流倉庫でのロボット導入事例が増えています。

・Amazon

アメリカの大手ECサイトであるAmazonは、ドライブと呼ばれる棚搬送型ロボットを導入。日本国内でも2箇所で導入されています。
ロボット導入エリアに設置されたバーコードによって自分の位置を認識しながらエリアを、人間の歩行速度よりも少し速さで的確に走行し、商品を保管する棚を縦横無尽に運びます。これにより棚入れ・棚出し作業の効率化が図られています。

・DHLサプライチェーン株式会社

保守部品の倉庫に、統合自動倉庫管理システムを導入したことで、ロボット同士がシームレスに連携を取り、24時間365日いつでも入出荷が可能に。最大600キログラムの棚を持ち上げて、作業スタッフの元に自走できるGTPロボットも活躍。

物流ロボット導入の将来性と課題

物流ロボットの導入は、倉庫作業の自動化と効率化に寄与し、
特に人手不足が課題の物流業界において、作業の迅速化とコスト削減を実現します。しかし、導入にはいくつかの課題もあります。

1、導入コスト

どの部分をロボットに担ってもらうかを考え、導入コスト分をどの位の期間で回収できるかを綿密に計画することが重要です。

2、ロボットに合わせた倉庫内環境

搬送や移動ロボットの場合は、倉庫内にレールや磁気テープを貼るなどの下準備が必要です。大規模な工事が必要になるケースもあるので、導入タイミングもしっかり検討する必要があります。

3、既存システムとの連携

検討しているロボットがどのようなシステムと連携できるのか、事前に確認する必要があります。

 

ロボット導入で効率的になることは間違いありませんが、倉庫の規模によっては必ずしも全てがメリットになるとは限りません。
物流倉庫のロボット導入は、予算や倉庫内環境を考えた上で、慎重に決めましょう。

まとめ

物流倉庫で活躍するロボットは、効率性、精度、スピードの向上を実現し、物流業界の未来を形作っています。2024年の最新トレンドとして、自律走行ロボットやピッキングロボットの進化が注目され、人間と協働するロボットの導入も増加しています。

これらの技術は、物流倉庫の作業を劇的に変化させ、生産性を高める一方で、技術的・経済的な課題も存在します。物流業界の関係者は、これらの最新トレンドを理解し、自社のニーズに合ったロボット技術の選択と導入が求められています。

 

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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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