【大手企業の事例に学ぶシリーズ第4弾】小売業におけるDXとは?

  • 2024.06.27
  • DX
【大手企業の事例に学ぶシリーズ第4弾】小売業におけるDXとは?

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今求められているDXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、テクノロジーを活用して企業の業務プロセス、企業文化、顧客エンゲージメントを根本から変革することを指します。

経済産業省では「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表し、このなかでDXを以下のように定義しました。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

この記事では、大手企業の事例を通じて、実際の成功事例から見るアプローチ方法を紹介します。

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小売業におけるDXとは

小売業におけるDXは、テクノロジーを駆使して市場の変化に敏感に対応し、顧客体験の向上などが期待できます。

具体的には、実店舗、オンライン、モバイルアプリを統合したオムニチャネルの拡大や、ビックデータを活用したマーケティングやプロモーションの展開で、顧客を獲得が期待されます。

在庫管理や価格設定にAI技術を導入することで効率的な運用を実現することもできます。loT技術を活用して在庫をリアルタイムで追跡するなどのサプライチェーンの最適化も重要です。

 

小売業においてDXが求められる理由

消費行動の変化

消費者は、現在、時と場所を選ばす購買行動を起こせるようになりました。以前は、直接店舗に来店して購入するか、電話で商品やサービスを注文するかが主流でしたが、今ではパソコンやスマートフォンといったデバイスからECサイトに、いつでもアクセスができ、さまざまな商品・サービスが購入可能になりました。

こうしたECサイトには、流入経路や滞在時間、購入履歴、問い合わせ履歴など多種多様なデータが蓄積されます。こうしたデータを分析する人材やツールを導入し、データを活用する必要性が出てきました。

人手不足の顕在化

小売業に限りませんが、少子高齢化に伴う労働人口の減少によって人材が不足している状態が続いています。

業務効率化は重要な課題であり、それを実現するためにもAIやRPAをはじめとしたデジタル技術の導入、データ分析などが必要とされています。

サステナビリティの促進

DXは、エネルギー使用の最適化や廃棄物の削減など、環境に配慮した持続可能なビジネスモデルの実現を支援します。

これは、消費者の間で高まるエコ意識に応えることにも繋がります。

 

小売業界におけるDXの進行状況

2021年に東京商工会議所が発表した「中堅・中小流通・サービス業の経営課題に関するアンケート調査結果概要」によると、コロナ禍を機にデジタル化・IT活用が増加したと回答した企業は全体の43.6%、小売業の場合、48.7%に達しました。

(参考)中堅・中小流通・サービス業の 経営課題に関するアンケート 調査結果概要

中でもサプライチェーン領域においては、DXを通じた全体最適化は非常に重要であり、データに基づいた運用が強く求められています。

サプライチェーン領域では、総じて課題であるとの認識が低く、課題への対応も進んでいないのが現状です。  物流では「ピーク期への過度な集中」、ムリ・ムダ・ムラでは「取引先毎に異なる受発注データ・納品形態」、商取引慣行では「アナログベース(紙・電話・FAX等)の取引」「契約条件の 曖昧さ」「時間指定納品」の5項目で課題と認識している企業の割合が過半数を占めています。

サプライチェーンの課題改善が進まない要因については、物流、ムリ・ムダ・ムラ、商取引慣行いずれも「自社だけではどうしようもない」「取引先に合わせるしかない」などの回答が大勢を占め、サプライチェーンの全体最適化を進める上で、企業努力には限界があり、業界全体および取引を構成する企業全体で最適化を図ることが重要であることがうかがえます。

 

小売業におけるDXのメリット

顧客体験の向上

DXにより、顧客データを効果的に活用し、個々の顧客に合わせたパーソナライズされたショッピング体験を提供できます。例えば、購入履歴やブラウジング行動から顧客の好みを学習し、それに基づいて商品を提示することが可能です。

マーケティングの最適化

データを活用することで、消費者の行動や反応を正確に追跡し、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。これにより、広告のROI(投資対効果)を向上させることが可能です。

よりパーソナライズされたプロモーションをすることで、ターゲットから外れる顧客へのプロモーションの押し売りを回避するなど、満足度を下げるアプローチの回避も容易になります。

運用効率の向上

モノを扱うことが多い小売業やECにおいて、生産過程におけるデータに基づいた意思決定は重要です。

AIや機械学習を活用した在庫管理システムを導入することで、在庫過剰や品切れを防ぐことができます。また、自動化技術を用いることで、注文処理や物流の効率を大幅に向上させることが可能になります。

 

小売業におけるDXの事例

アスクル株式会社

Tableauの全社展開

アスクルは旧BIツールからTableauへの移行を行いました。これにより、ビッグデータプラットフォーム『ASKULEARTH』のデータを直接扱う能力が向上し、データ活用が効率化されています。

DX人材育成

企業内でのデータサイエンス教室を開設し、従業員にTableauとSQLの使用方法を教えることで、データ活用スキルの向上を図っています。これは社内でのデータ文化を醸成し、DX推進に資する人材を育成するための措置です。

 

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

ラストワンマイルDXプラットフォーム

株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは商品を顧客の元へ届けるための仕組みとして独自のDXプラットフォームを構築しています。

配送プロセスを効率化し、AI配送コントロールにより最大で配送距離を約40%、車両台数を約45%削減し2025年度には、グループ全体で約6000億円の売り上げ規模を見込んでいます。

7iD

株式会社セブン&アイ・ホールディングスが提供する共通の会員IDです。

このシステムは、セブンイレブンをはじめとするグループ企業や提携企業の各種サービスで使用可能です。7iDを通じて、ユーザーはオンラインショッピング、実店舗での購入、さらには様々なプロモーションに参加することができます。

また、このIDを利用することで、ポイントプログラム「セブンマイルプログラム」にも参加でき、購入ごとにポイントが貯まり、それを様々な特典や割引に利用することが可能です。

このような一元化された会員システムは、顧客管理やマーケティングの効率化を図り、顧客のロイヤリティ向上を目指しています。

株式会社ファーストリテイリング

有明プロジェクト

生産から販売までのすべてのプロセスをデータとテクノロジーに基づいて一元管理し、効率化を図っています。オンラインとオフラインのデータを統合することで、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたショッピング体験を提供します。

オンラインとオフラインのデータを統合することで、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたショッピング体験を提供します。

全商品にRFIDタグの導入

2018年から始まったこの取り組みは、製品管理と在庫管理の効率化を目的としています。各商品にRFIDタグを付けることで、在庫状況をリアルタイムで正確に把握し、需要と供給を最適化しています。また店舗での購入プロセスも迅速化します。RFIDタグが付いた商品をレジに通すだけで、自動的に商品がスキャンされ、支払いが行われます。これにより、会計待ちの行列が解消されています。

アイディオットでできるDXコンサルとは

アイディオットでは小売業におけるDXのコンサルティングを提供しております。

具体的にはデータ駆動型アプローチの導入で大量データを収集・分析し、顧客の購入行動や市場動向を正確に把握するための戦略を支援、パーソナライズされたマーケティング戦略を立案、業務プロセスの自動化など多岐に渡ります。

アイディオットのコンサルタントが各企業の現状を深く理解し、具体的な課題に合わせたカスタマイズされた解決策を提供します。

まとめ

DXは、小売業界において重要な役割を果たしています。データ分析の利用拡大、顧客体験のパーソナライズ、効率的な在庫管理など、DXにより小売業は顧客ニーズに迅速に応え、競争力を高めることが可能になります。

さらに、オムニチャネル戦略の展開やAIを用いた需要予測など、テクノロジーを活用することで顧客満足度を向上させ、売上の最大化を図ることができます。

小売業においてDXを推進することは、市場の変化に柔軟に対応し続けるための鍵となるでしょう。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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