デジタルイノベーションとは?事例・基礎知識を紹介

  • 2022.07.15
  • DX
デジタルイノベーションとは?事例・基礎知識を紹介

デジタルイノベーションとは?

デジタルイノベーションとは、デジタル技術の新結合および変革のことです。

イノベーションは昨今よく使われる言葉の一つで、経済学者のシュンペーターが提唱し広めた概念です。イノベーションとは、新結合によって新たな価値を生み出して変革することです。かなり抽象的な概念のため人によって解釈は若干異なりますが、新結合と変革は共通しています。

現代はデジタルに関する新しいアイデアや技術が次々と生まれていますので、デジタルイノベーションは決してめずらしくないといえるでしょう。

デジタルイノベーションとDXの違い

デジタルイノベーションとよく似た言葉の1つに、DX(デジタルトランスフォーメーション)があります。デジタルイノベーション同様に、DXも最近メディアでよく取り上げられています。

DXはエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、ITをはじめとしたデジタルの普及により、人の生活や企業の活動が良い方向へと変わることを指します。デジタルイノベーションも抽象的ですが、DXも抽象的かつ広義に解釈されることが多いです。たとえばビジネスにおけるDXとは、デジタル技術の普及や導入で市場競争の優位性を確立することを意味します。

では、デジタルイノベーションとDXの違いはいったい何でしょうか。

名称は異なりますが、両方の概念は大部分で共通しています。ですから大きな違いはないと考えてさしつかえありません。どちらもデジタル技術を軸に、社会やビジネスを良い方向へと変えるのは同じです。

それでも強いて違いをあげるなら、DXは組織・過程・ビジネスモデルなども含むので包括的です。そのため「DX全体の中の一部にデジタルイノベーションがある」といえるでしょう。

つまり、デジタルイノベーションとDXは、それぞれの対象範囲が若干違うということです。

企業のデジタルイノベーションの事例

現代でデジタル技術は欠かせませんので、企業や自治体が積極的にデジタルイノベーションに取り組んでいます。

広島大学・富士通・デンソー・みずほ銀行・SMBCグループ・三菱UFJ銀行に着目し、それぞれの事例の詳細について紹介します。

ひろしまものづくりデジタルイノベーション創出プログラム

ひろしまものづくりデジタルイノベーション創出プログラムは、平成31年に設立されました。

広島大学と地域産業が連携し、バリューチェーン全体のデジタル化を図るのが設立の目的です。研究・開発・生産の各領域で、さまざまなデジタル化を推進しています。このプログラムの特徴は、参加者が一丸となって社会実装を目標に研究・開発に取り組んでいることです。すでにたくさんの企業の参画を得て、活発的に活動しています。

また、デジタル時代の到来に備え、デジタル人材の育成にも精力的です。学内の教員はもちろんですが、他大学や他研究機関などとも密に連携を取り、優秀な人材を育成しています。

デジタルイノベーションの実現に向け、優秀なエンジニアやプロデューサーの輩出を目指しています。内閣府による交付金制度を有効活用するなど、国からのバックアップもある公的プログラムです。

富士通:基幹システムの向上

富士通はKnowledge Integrationを掲げ、基幹システムの向上を目指したデジタルイノベーションに取り組んでいます。

Knowledge Integrationとは、知識の統合を意味します。知識と知識をつなげて未来を創るのが、富士通の理想像です。

あらゆることが目まぐるしく変わっていく時代に柔軟に対応するのが、Knowledge Integrationの目的です。これまで培ってきたさまざまな知識を統合し、集約された開発現場への変革を図ろうとしています。

さらに、取り扱うさまざまなデータの安全性向上を実現し、他企業や自治体ともパートナー関係を築こうとしています。

デンソー:システム化による安心・安全

デンソーは、自動車関連製品などを開発するメーカーです。デジタルイノベーションの一環として、フリートオペレーションサービスのmobi-Crewsを開発しました。
mobi-Crewsは法人が所有する営業車をはじめとした社用車向けのサービスで、クラウドを有効活用することで社用車の効率的な管理が可能です。また、交通事故を減らす安全運転支援サポートの役割も担っています。

社用車の運転中に急ブレーキなどのヒヤリが発生したら、その情報はリアルタイムで管理者に送信されます。その情報は日々蓄積され、個別の運転指導などに役立てられます。交通事故ゼロの安全な社会を目指すため、システム化された高機能製品の開発を進めています。デンソーはデジタルイノベーションで安心・安全の提供を試みている企業です。

みずほ銀行:金融における未来の変革化

みずほ銀行はBlue Labを設立し、デジタルイノベーションの創出に積極的に取り組んでいます。みずほ銀行はメガバンクならではの豊富な顧客・情報基盤が強みですが、一方で先端テクノロジーの導入が課題でした。そこで、業務の高度化を促進する目的で、Ioを積極的に活用するBlue Labを設立したのです。

Blue Labは個人を対象にAIスコア・レンディングを提供したり、J-coin構想によるキャッシュレス化を促進したりしています。さらに、データを電子化させて情報を分析するなど、新たな基盤の構築にも力を入れています。金融とITを掛け合わせたFinTechにいち早く注目し、さまざまなことに取り組んでいる銀行です。

SMBCグループ:利用シーンに合わせた本人認証アプリを開発

銀行業務の高度化などを目的とし、SMBCグループはポラリファイを設立しています。生体認証プラットフォームのPolarifyを提供したことで、スマホで情報を一元管理できるようになりました。

また、デジタルイノベーションにも積極的です。ほとんどの電話業務を削減できるAIチャットボットの開発、財務データなどをもとに業況変化を判断するAIの開発、電子契約の導入などを進めています。これまでの金融業界の常識にとらわれない、革新的な取り組みにチャレンジしているのが特徴です。国立大学とも連携し、共同研究にも着手しています。銀行のメイン業務の融資以外にもビジネス創出の機会を探るなど、これまでの銀行のイメージを根本から覆そうとしています。

三菱UFJ銀行:ペーパーレス取引

三菱UFJ銀行はペーパーレス取引に着目し、変革に尽力しています。背景にあるのは、消費者の銀行離れです。今はお金を預ける先の選択肢がメガバンクだけとは限りませんし、そもそも銀行を利用しない消費者も少なくありません。そこで、ブロックチェーンをベースにしたペイメントネットワークの構築に取り組むなど、アグレッシブにアクションを起こしています。

また、機能特化型店舗「MUFG NEXT」の1号店を東京都目黒区の学芸大学駅前支店にオープンさせるなど、これまでの銀行にはなかったサービスを提供しています。デジタル技術をフル活用させていますので、まさしくデジタルイノベーションです。

もちろんチャネル・商品の進化も前向きに進めています。従来の窓口だけでなく、スマホアプリ・オンライン窓口・ATMからでも手続きできるようにサービスの充実を図ろうとしています。銀行をベースに証券・保険・信託などのサービスもデジタルイノベーションによって創出しようとしています。

さらに、共通した取り組みを実施する海外店舗をパートナーバンクとし、シナジー効果も狙っています。

まとめ

デジタルイノベーションとは何なのか、DXとの比較、基礎知識、企業の事例について詳しく紹介しました。

新結合と変革が、デジタルイノベーションでは重要なキーワードです。また、DXとの違いはほとんどなく、ほぼ同じ概念と認識してさしつかえありません。

広島大学・富士通・デンソーさらには大手メガバンクが、いずれもデジタルイノベーションに取り組んでいます。どれもデジタル技術をフル活用し、新しいビジネスを次々と創出しています。

今後もさまざまなデジタルイノベーションに注視していきましょう。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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