データドリブンマーケティングとは
データドリブンマーケティングという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
年々デジタルマーケティングの需要は高まり、さまざまな企業が新たなビジネス戦略として、活用する場面が増えてきました。
そもそもデータドリブンとは何か?
ということなのですが、デジタルデータを「視覚化」することで過去や既存の顧客の経験や行動を活用してマーケティングを効率化することです。今回はそんなデータドリブンのメリットや活用事例を解説していきます。
データドリブンマーケティングのメリット
データドリブンマーケティングを活用することによって、時代の変容に伴い変化していった消費者行動の動向や予測が可能になりました。そんなデータドリブンマーケティングのメリットは大きく分けて4つあります。そちらを解説します。
UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上
UX(ユーザーエクスペリエンス)とはユーザの理解を深めることを指します。実際にユーザーのデータを活用するので、ユーザー自身の満足度向上につながります。より、顧客の目線で商品やサービスを企画、伝えることができるようになるということです。
ROI(費用対効果)
費用対効果とは、利益とそれを生み出すためにかかるコストに対して、どれくらいの効果が得られるかを意味しています。
データドリブンマーケティングは顧客のデータをもとにマーケティングを効率化することを可能としていることもあり、従来まで「おそらく、こんな属性がありそうなユーザーには効果的だ」といった曖昧な判断で広告を打つことがなくなります。
過去の顧客の購買行動をデータとして収集し、分析することで、最も効果のあるターゲットに商品やサービスを届けることを可能にし、最低限のコストで最高の利益を得ることに近づけます。実際のデータから考えることができるので、データによっては新しく画期的なビジネス戦略を立てることができます。
属人化脱却
データを裏付けとして、着想を練っていくわけですが、ということは属人化からの脱却というメリットがあります。
近年では、コロナによる影響もあり、転職する人が増えてきています。
社内において
「〇〇さんがいないと仕事が回らない」
というのは致命的ですよね。
データドリブンはあくまでデータを客観視して数値や傾向をもとに意思決定をしていきます。社内でのマニュアル化が簡易的にでき、共通認識もしやすくなります。属人化の脱却にはこういったメリットが期待されています。
社内の意識改革
データドリブンによって、基準があくまでデータに変わるので個人、集団においての意思決定が効率化されます。悩む時間が少なくなり、業務時間の短縮につながります。
DX推進
データドリブンは社内においてのDX(デジタル・インフォメーション)の推進につながります。実際に国内のデータ活用に必要な体制構築が遅れていることから、最大で12兆円(年間)の経済損失が発生するとされています。それくらい今では企業のDX化は必要なこととされています。
データドリブンに必要なデータを取集するにはデジタル化は必須なことということもあり、データドリブンを導入することでDX化実現が推進されることになるでしょう。
データドリブンマーケティングの進め方
今までデータドリブンとそのメリットを解説してきました。データドリブンマーケティングという手法があなたの可能性を広げるかもしてないとわかったところで、実際にどのように進めていくのかを解説します。
データの収集
まず、データをもとにビジネス戦略を練っていくことから、データを収集することすることが必要です。Webサイトをはじめ、SNSや過去のリストなどさまざまな属性を持つチャネルから集める必要があります。
ここで必要になるデータとしては、顧客の購入履歴や購入までの動線、商品・サービスへの満足度・リピート率といった直接的なデータがあります。
そのほかにも購入者の年齢・性別・趣味・居住地などがデータとして活用できるでしょう。(商品やサービスによってはほかにもあります。)自社でSNSやHPなどを持っている場合は複数の販売チャネルから、購買を紐づけることが可能です。
また、その際にマーケティングの改善点がデータとして見つかりやすいため迅速な改善を行うことができます。こういったPDCAサイクルを円滑に回してくことはビジネスにおいては重要でしょう。
データの「見える化」
収集したデータは社内で共有できなければいけませんし、もっというと誰でもわかるようにしておかなければいけません。
集めた大量のデータの中には、必要性の薄いデータもあります。そういった時には解析ツールやBIツールを使い、必要なデータだけを「視覚化」しましょう。
データの分析・活用
可視化されたデータをいよいよ活用します。テーマや目的に合わせて得られたデータを分析し、仮説やアクションに落とし込みます。データ分析や活用には、データの運用や処理、分析などの知識はもちろん、マーケティングや行動経済学の知識があるといいでしょう。
ということはデータドリブンマーケティングを導入しても、収集して、分析してもそれを活かすためのスキルが必要になるということです。もし、社内やメンバーの中にいなければ専門家に依頼したり、コンサルタントを雇うこともできます。
まずはプロジェクトを進めていく中でご自身も体験の中で学んでいき、データドリブンマーケティングを成功させていくさせていく一歩となります。
データドリブンマーケティングの事例
最後に実際にデータ・ドリブンマーケティングの事例を紹介します。
JTB:「出張女子」向けプラン
大手旅行会社であるJTBでは2018年に自社でデータドリブン中心の部署『データサイエンスセントラル』を立ち上げました。そこで「量的分析」(利用者全体の数値による分析)と「質的分析」(利用者の行動分析や利用目的、動機など)の2つの分析を掛け合わせることにしました。
その結果「出張女子」に焦点を当て、行動パターンや思考に目をむけ、出張女子に向けた旅行プランを作成することで、コンバージョン率を45%もアップさせることに成功しました。
ソフトバンクグループ株式会社:効率的な基地局整備
ソフトバンクグループは昔からデータドリブンを活用していました。通信業界において、電波がつながりにくいという問題は致命的です。そこで活用したのが、通信状況に問題が起きた場合でも迅速に問題点を見つけ、改善に繋げるために活用されてきました。
その甲斐もあり、2013年には通話接続率・パケット接続率共に携帯キャリアエリアでNO1になりました。
日清食品株式会社:高価格ブランド戦略
日清食品では「アクティブシニア(新しい価値観を積極的に受け入れる熟年層)」に目を向けました。彼、彼女らは健康な食事より、豪華な食事の様子を写真や動画を撮り、それをSNSで共有していることに着目し、高価格でシニア向けの「カップヌードル リッチ」を販売しました。
この商品はシニア層に受けることはもちろん、それ以外の年齢層にも好評を得て、一年足らずで1,400万食販売され、大ヒット商品になりました。従来の「若者に向けたカップヌードル」というイメージにとらわれることなく、新たなビジネスチャンスを生んだ成功事例です。
まとめ
今回はデータドリブンマーケティングの基礎知識・メリット・事例について解説してきました。
情報社会において、情報(データ)はとても重要だということに改めて気付かされます。特にビジネスにおいてはトレンドの移り変わりが激しいものです。そういった変化に順応していくためにも「データドリブンマーケティング」を今後のために知っておく必要があるのではないでしょうか。
この記事があなたのビジネスにおいて、参考になれば幸いです。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。