9割を占める排出量!製造業がカーボンニュートラルに取り組む方法とメリットを解説!

9割を占める排出量!製造業がカーボンニュートラルに取り組む方法とメリットを解説!

製造業がカーボンニュートラルに取組むべき理由とは?ポイントを押さえて理解しよう!

カーボンニュートラルの実現を目指した取り組みが、さまざまな産業で始められています。各種産業のなかでも製造業の取り組みが重要とされる理由は、製造業のCO2排出量が多いためです。

環境省の『2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要』によると、日本のCO2排出量の25%が産業部門となっています。

産業部門のCO2排出量は9割以上が製造業であるため、製造業におけるカーボンニュートラルの取り組みは重要であり、脱炭素への転換が求められています。

製造業が取り組む方法

製造業の特徴は、生産設備で多くの電力を消費することです。電力の消費はCO2排出につながるため、できるだけ抑えることが求められます。

カーボンニュートラルを達成するための効果的な取り組みは、「再生可能エネルギーの活用」と「省エネ」があげられます。

再生可能エネルギー活用

再生可能エネルギーは、環境にやさしく重要なエネルギー源です。太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスなどがあります。

特徴はCO2を排出せず、国内でも生産可能で、枯渇しないエネルギーであることです。そのため、カーボンニュートラルの実現に向けて不可欠なエネルギー源といえます。

使用する電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることや、太陽光などの発電設備を設置することで再生可能エネルギーを導入できます。

省エネ

多くの産業は、照明や空調に多くの電力を消費しています。これに対し、製造業は事業の中核である生産設備の消費電力が非常に大きいことが特徴です。そのため、生産設備の省エネが消費電力削減に効果的です。

生産設備の省エネ対策には、「エネルギーの見える化」があります。省エネ対策を進めるには、どのようなエネルギーがいつ、どれだけ使用されているのかを正確に把握することが大切です。もっとも消費電力が高い生産設備の対策を立てることにより、効果的な省エネが可能です。無駄なエネルギーを消費していないかについても把握しやすくなり、従業員の省エネ意識も高くなることが期待できます。

 

新たなステージへ!製造業がカーボンニュートラル取組む3つのメリット

製造業がカーボンニュートラルに取り組む主なメリットを3つお伝えします。

コスト削減

製造業の中核である生産設備は膨大な電力を消費しており、コストの大部分が電力です。そのため、省エネと再生可能エネルギーの導入により電力とコストの削減につながります。

近年の電力は大幅に高騰し、今後の価格も懸念されるため、将来的なコスト増のリスクを抑える事にもつながります。

新たなビジネスチャンス

カーボンニュートラルの実現に向けては、従来を大幅に上回る省エネや、再生可能エネルギーの技術革新が必要です。そのため、社会に求められる新たな技術や製品の開発はビジネスチャンスになる可能性があります。

国際的に取り組みが行われる脱炭素化。その市場は今後さらなる拡大が予想されており、企業の積極的な投資が経済成長につながると見込まれています。

自社のイメージアップ

脱炭素化に向けた取り組みを行うことで、環境に配慮した企業として信頼感を高めることができます。そのため、企業イメージの向上や経営の安定化につながります。

近年、社会全体の地球温暖化への意識が高まっており、企業の脱炭素化に向けた取り組みは重要な役割を担っています。企業が環境に与える影響に責任を持ち、行動することが求められています。

 

 

今すぐ始められるフレームワーク!カーボンニュートラル達成への取り組みをご紹介!

カーボンニュートラルを達成するための取り組みは、コストや効果を確認しながら進める必要があります。また、取り組む中で社会や産業の構造の変化、技術革新の進歩などがあるため、継続的な結果の確認と改善のプロセスが求められます。

評価や改善の効果が大きいとされるマネジメント手法に、PDCAサイクルがあります。PDCAサイクルとは、『計画⇒実行⇒評価⇒改善』の一連の流れのことです。

製造業がカーボンニュートラルを達成するうえでのPDCAについてご紹介します。

①Plan

まずは計画(Plan)をしっかり立てることで、やり直しを最小限にすることが重要です。

この段階では『現状の把握』と『実施の計画』を行います。

現在の電力の使用状況を確認し、どの工程・場所で使用しているかを把握します。

そのなかで省エネできる取り組みを検討し、メリットやデメリット、コストなどを考慮したうえで実施可能な計画を立てます。「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どうやって、いくらかかるのか」というように、細分化して計画を立てることで、次のプロセス(DO)に移しやすくなります。

②DO

立てた計画を実行(Do)に移します。

常に計画を意識して行動し、立てた計画をしっかり実行できるように管理します。

また、次のプロセスの(Check)で適正な評価が出来るように、数値化する仕組みを作っておくことが大切です。

③Check

実行した結果を評価(Check)します。

設備のエネルギー使用量を測定し、数値で表した結果から「目標を達成出来ているか」を評価します。

正確性に欠けることがないよう、できるだけ数値化した結果の評価が重要です。

④Action

目標の達成率などを判断し、改善(Act)していきます。

結果と目標との差を確認し、取り組み方法を見直し、どのようにして目標を達成するのかを検討します。

また、改善策を次のPlanにつなげられるよう意識していくことが大切です。

このようなサイクルをまわしていくことでPDCAサイクルが機能し、定期的に軌道を修正していくことがカーボンニュートラル達成につながっていきます。

 

あの有名企業も?!製造業の取り組み事例を見てみよう!

カーボンニュートラルに取り組む製造業をご紹介します。

本田技研工業

本田技研工業は環境に徹底的に取り組んでいくと表明。環境負荷ゼロの循環型社会を目指して「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つの柱に取り組んでいます。

日本市場ではEV(電気自動車)、FCV(燃料電池自動車)の販売比率として「2030年に20%、2035年に80%、2040年に100%」を目指すとともに、2030年には「ハイブリッドを含めて100%電動車とする」ことを目標に掲げ、CO2排出削減を目指しています。

出典:本田技研工業「環境への取り組み」
https://www.honda.co.jp/environment/?from=navi_pulldown_i

日本製鉄株式会社

日本製鉄株式会社は、CO2排出量が実質ゼロの「カーボンニュートラルスチール」によりCO2削減を目指しています。

同社は2022年5月、カーボンニュートラルスチールを販売すると発表しました。2023年より販売を開始し、主に世界最高級の電磁鋼板と自動車用鋼板を年間70トン製造する予定です。

2030年までに2013年度対比で30%のCO2削減を掲げ、大型電炉での高級鋼の量産製造、水素還元製鉄やCCUSの開発など、積極的な技術開発でカーボンニュートラルを目指しています。

出典:日本製鉄株式会社「サスティナビリティ日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」https://www.nipponsteel.com/csr/env/warming/zerocarbon.html

積水化学工業株式会社

積水化学工業株式会社では「SEKISUI 環境サステナブルビジョン2050」を掲げて環境課題に取り組んでおり、「サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出」、「環境負荷の低減」、「環境の保全」の3つを重視するとしています。

同社では科学的根拠に基づくCO2削減目標により、「SBTイニシアチブ」が化学業界として初めて承認され、サプライチェーン全体のCO2削減を目指しています。

原材料調達に関してはCO2排出量を2016年度比で20%削減することを目標とし、製品の使用段階での排出量に関しては、販売する住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率を向上させていくことで住宅使用時のエネルギー削減に寄与し、2030年度までに2016年度比で50%削減していく計画です。

出典:積水化学工業株式会社「気候変動への対応」
https://www.sekisui.co.jp/csr/eco/env_capital/global_warming/

東レ株式会社

東レグループは持続可能な低炭素社会の実現に向けてCO2削減に取り組んでいます。プロセス改善による省エネルギー推進および再生可能エネルギーの活用、石炭利用の削減などを通じて、製造段階でのCO2削減を積極的に推進しています。

東レグループは、炭素繊維を使った二酸化炭素の分離膜を開発したと発表しています。炭素循環社会の実現に向け、CO2を活用するにはCO2分離技術が不可欠です。一般的なCO2分離技術である吸収法や吸着法は、多大なエネルギーを消費するため省エネルギー化の課題でした。分離膜法は消費エネルギーが小さいため、炭素循環社会の実現に寄与します。

出典:東レ株式会社「サスティナビリティ」https://www.toray.co.jp/sustainability/activity/environment/global_warming.html

脱炭素で他社と差をつけよう!エキスパートに相談で競争力をパワーアップ!

自社でも脱炭素に向けた取り組みをとり入れてみたい!とは考えても、実際になにから始めたらよいか、どんな取り組みから手を付けるべきなのか、コスト面であったり、わからないことがたくさんある!となってしまいます。

脱炭素対策で企業力を強化!アイディオットがサポートします

株式会社アイディオットでは、脱炭素に向けた炭素排出量可視化可能なシステムやデジタルツインシミュレータの構築などを行っています。政府が指揮を執り推進している戦略的イノベーション創造プログラムにて3件のテーマが実証実験テーマとして採択され、日々SDGsにおける目標.13「気候変動に具体的な対策を」にも真摯に向き合っています。

専門知識豊富なスタッフが多数在籍し、コスト削減・ブランディング・資本金調達をお手伝いします!私たちと一緒に脱炭素で企業の競争力を強化し、スマートで地球にやさしい企業になりませんか?

 

まとめ

製造業がカーボンニュートラルに取り組む方法と、そのメリットについて解説しました。

CO2排出量が多い製造業の取り組みは、カーボンニュートラルの実現に向けて重要です。

大手製造業各社も、高い目標をもって取り組んでいます。目標の達成は簡単なことではありません。しかし、国や企業が一丸となって対策し、改善を行っていくことが、実現の第一歩です。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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