機械学習における予測モデル・将来予測を紹介

機械学習における予測モデル・将来予測を紹介

機械学習とは

AIの機械学習は、予測モデルを構築したり将来予測をするうえで重要です。その機械学習とよく似ているのが、データマイニングとディープラーニングです。まず最初にこれらと機械学習の違いについて解説します。

データマイニングとの違い

データマイニングとは、膨大なデータから統計学およびAIなどの分析手法を活用し、新たな知識を発掘するための方法です。今ビジネスの世界ではビッグデータの活用に注目が集まっていますが、有効活用するための方法としてデータマイニングがよく利用されています。データマイニングは通常ではできないような新たな知識を発掘できる点が、利用者から高く評価されています。

ディープラーニングとの違い

ディープラーニングは機械学習の一種で、深層学習と呼ばれることもあります。ニューラルネットワークを応用するのが特徴です。ディープラーニングは、人から指示を受けずに機械が考えて判断します。人の考え方を模していることからもわかるように、非常に高度な技術が要求される学習方法です。

 

機械学習による需要予測の必要性

機械学習は、企業が商品やサービスの需要を予測したい時に活用されています。需要に対する供給量の適正化・売上向上・ビジネスの根拠などのために、需要予測が求められています。なぜ需要予測が必要なのかを見ていきましょう。

需要と供給のバランスの適正化

需要予測をおこなうことで、企業は商品の生産数を調整したり適正在庫数を把握できます。需要予測に基づいた計画を立てられるため、在庫の過不足を未然に防げます。在庫切れの事態にならなければユーザーの満足度が向上しますし、無駄なコストの削減にも期待できます。

また、近年はSDGsに注目が集まっているため「売れなかったら捨てれば良い」という企業方針では誰からも共感を得られません。それどころか企業責任を厳しく追及され、ステークホルダーが離れることが容易に想像できます。

需要と供給のバランスの適正化を図るため、事前に需要予測をおこなうことはとても大切です。

商品の認知拡大や売上向上の最大化

商品の認知拡大や売上向上にも、需要予測は役立ちます。なぜならユーザーの購買行動の変化や市場の転換期を予測することにより、ベストなタイミングで自社商品を精力的にPRできるからです。顧客や市場が求めているタイミングで売り出せば、PRにかけた費用以上のリターンを期待できます。需要予測を駆使すれば、ピンポイントで狙った商品の認知拡大や売上向上の最大化が可能です。

根拠に基づいたビジネスを展開

今までは商品担当者の直感や経験に頼ったビジネス展開がめずらしくありませんでしたが、その方法は根拠に乏しいのが欠点でした。商品担当者の能力に左右されるため、不安定な方法であることは否めません。

機械学習による需要予測は、膨大なデータが根拠となっている予測です。分析結果は正確なので誤りはありません。統計ベースのしっかりとした根拠があるので、自信を持ってビジネスを展開できます。

 

機械学習による予測モデルの開発プロセス

機械学習による予測モデルの開発は、大まかなプロセスが決まっています。そのプロセス通りに進めることが、スムーズに開発するためのコツです。どのようなプロセスなのかを詳しく紹介します。

予測モデル概要の定義

まずは予測モデル概要を定義するところから始めます。意義・機能・手順について決めます。それが定義されていないと開発がスムーズに進みません。販売で利用する、需要予測モデルを作成するなど、各項目を次々と定義していきます。特に力を入れたいのが、対象や責任の範囲に関する定義です。それが定義されていない場合、いくら議論を交わしても答えが出ないので注意が必要です。

データ準備・精査

機械学習の予測モデルを開発する上でデータは非常に重要なので、準備と精査を怠ってはいけません。データの構造を全体的に把握し、モデル開発に有効的か否かを精査します。データが欠損していたり異常値が出ている場合は、改めて見直す必要があります。

データ作成

データの準備・精査が完了したら、次は本格的にデータを作成します。データの結合と削除を繰り返し、分析テーブルを作成します。変数の加工と取捨選択にも取りかかります。また、モデルを分割するかどうかの確認もおこないます。

予測モデル構築

最初の定義をベースに、予測モデルを構築します。ひとつあるいは複数のアルゴリズムを使います。トレーニング用と検証用でデータをそれぞれ分け、両方の精度を確認しながら構築を進めます。

予測モデル評価

構築した予測モデルが、実際の現場で役立つかどうかを入念に検証します。安定性、実用性、コストパフォーマンスなどを詳しく調べて判断します。予測モデルの評価が基準をクリアしていれば実用化されます。

機械学習の将来予測

機械学習が幅広く浸透することで、将来がどのように変わるのでしょうか。さまざまな技術の発展やAIサービスの普及、需要の拡大が見込まれています。機械学習の将来予測について紹介します。

Transformerの活用拡大・技術発展

Transformerは、AIの自然言語処理に革命を起こした手法です。2021年には日本語モデルが登場しているため、今後さらなる活用拡大・技術発展に期待できます。

また、Transformerの拡大と発展はもちろんのこと、多種多様な理論と実装が明るみになると予測されています。

マルチモーダルAIの研究が進展

これまでのAIは、個別のタスクだけに特化している傾向がありました。そこで着目され始めたのがマルチモーダルAIです。マルチモーダルAIは、数値・文章・画像・音声などを複合的に同時処理できる単一のAIを指します。完全AIとはいかないまでも、人と同じような処理が可能なAIの研究がさらに進展してもおかしくありません。

また、前身がFacebookのMeta AI ResearchもマルチモーダルAIのフレームワークをリリースしていますし、その後も開発が続けられています。Metaの例からもわかるように、マルチモーダルAIは大手でも採用されています。今後も多様な形態のマルチモーダルAIが登場するのは容易に想像できますし、AIの有効活用はすでに応用フェーズに進んでいるといえるでしょう。

ローコード/ノーコードのAIサービスの普及

「機械学習をするには専門的な知識が必要」と思われがちですが、実はローコード/ノーコードのAIサービスが着々と普及し始めています。ローコード/ノーコードとは、開発のためにソースコードをほぼ書かないかあるいはまったく書かないものを指します。視覚的な操作だけできれば十分なので、機械学習アプリを簡単に構築できます。コストを抑えられてスピーディーに機械学習できるため、AIを誰でも幅広く使うためのキーポイントになると注目されています。ただ、現時点では統計学の知識が欠かせないので、事前に学んでおく必要があります。

AutoML・MLOpsの需要拡大

AutoMLは機械学習の自動化のことで、MLOpsは機械学習・運用チームのことです。

AutoMLは機械学習の実験過程を自動化するので、エンジニアやデータサイエンティストからの需要がさらに拡大する見込みです。一般にもAutoMLの利用が広まってきています。

一方のMLOpsも、採用する企業が増加しつつあります。機械学習をスムーズに実装するためには、開発・運用チームの連携が欠かせません。両チームが協調性を欠いたら、実装が遅れてしまいます。それは企業にとって不利益なので、各チームの連携やコミュニケーションがとても大切です。需要拡大は自然な流れだといえるでしょう。

 

まとめ

機械学習をもとにした予測モデルと将来予測について詳しく紹介しました。需要と供給のバランスの適正化や根拠に基づいたビジネスの展開など、機械学習による需要予測の必要性に注目が集まっています。事前に商品の需要予測をおこなうことで、一切の無駄を省いたビジネスが可能です。

また、機械学習が幅広く浸透することにより、マルチモーダルAI研究の進展やAutoML・MLOpsの需要拡大が予測されています。機械学習が普及することで、状況が大きく変わろうとしています。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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