機械学習とは
機械学習は分類や予測をするためのルール作りやモデル構築を自動的におこなう技術のことですが、データマイニングやディープラーニングとはどう違うのでしょうか。
機械学習とそれらの違いについて紹介します。
データマイニングとの違い
機械学習もデータマイニングも、たくさんのデータを処理するのは変わりません。
ただ、処理は同じでも目的が違います。機械学習は人がおこなうことを代行するのが主な目的で、学習した内容に人は関与しません。たとえば自動翻訳は、機械学習によって獲得した知識をもとに翻訳結果を導き出します。そのため人がわかるのは翻訳結果だけです。
一方のデータマイニングは、人が最終的な判断を下すためのサポートが主な目的ですたくさんのデータを処理した結果として数字やグラフなどが示されますが、最終的な判断はしません。なぜなら判断は人に委ねられているからです。
たとえばデータマイニングで「特定のエリアでは3人に1人が同じ商品を購入する」という結果が出た場合、それを「商品がヒットしている」と判断するかどうかは人が決めることです。
ディープラーニングとの違い
機械学習とディープラーニングは、同一的な部分があります。
なぜならディープラーニングは、機械学習のやり方の1つに含まれるからです。ただし、ディープラーニングの場合は、データの特徴を機械が判断します。機械学習の場合は人がデータの特徴を判断するため、この点が機械学習とディープラーニングの違いです。
機械学習は人が関与して学習および分析の効率化を実現します。一方のディープラーニングは、その部分も機械が判断して決めます。そのため抽象的な課題でも解決できる可能性を秘めています。
ただし、たくさんのデータを学習させなければいけないためコストと時間がかかりますし、膨大なデータを処理するのに十分なスペックの機械も用意しなければなりません。ですから課題や問題に合わせて、機械学習とディープラーニングをそれぞれ使い分けるのが一般的です。
機械学習を用いたテキストマイニングのメリット
機械学習を用いてテキストマイニングをおこなうのは、主に2つのメリットがあります。
それは労力の削減とビッグデータの解析が可能になることです。どのようなメリットなのかをそれぞれ紹介します。
労力の削減
もしも人の手でテキストマイニングをおこなった場合、相当の時間が必要となるのは想像に難くありません。
たとえばスーパーなどは「お客様の声」と題し、消費者の意見を集めています。その方法なら確かに消費者の意見の分析は可能ですが、アンケート結果をすべて読むのはかなりの時間と労力を要します。十分な人件費を割かなければ分析できません。
ですが、機械学習ができるツールを有効活用すれば、テキストマイニングをスピーディーかつ効率的におこなえます。自動的に分析できるため、人による手間がほとんどかかりません。
消費者の意見を集める業務が大幅に効率化されますし、人がおこなうのと比べて分析精度の高さにも期待できます。
ビッグデータの解析が可能
人の手では膨大な量のデータ解析は現実的に不可能ですが、機械学習なら可能です。データ量が少ないと信憑性を欠く部分がありますが、ビッグデータなら安心です。
ビッグデータにはあらゆるデータが集約されているため、十分過ぎるほど信憑性があります。人の手では抽出できるデータに限界がありますが、機械学習によるテキストマイニングなら人の限界を楽々突破して膨大な量のデータを解析できます。
機械学習を用いたテキストマイニングの活用事例
機械学習を用いたテキストマイニングには、いったいどのような活用事例があるのでしょうか。市場・ビッグデータ・顧客の声・アンケートの分析をピックアップし、それぞれの活用事例について紹介します。
市場分析
これまでの市場分析は株価などをはじめとした数字を分析するのがポピュラーでしたが、機械学習とテキストマイニングを組み合わせることでテキストデータの分析が進んでいます。
これはAIの自然言語の解析技術が、以前と比べて飛躍的に向上したことによるものです。
単に数字を分析しただけでは、残念ながら正しく市場を分析できません。なぜなら市場は、さまざまな要素が複雑に絡み合って構成されているからです。一筋縄では分析できないのが市場です。
そこでテキストが着目され、日経新聞などの経済情報から分析するアプローチが始まっています。テキストの経済情報はフォーマットが定まっていませんが、だからといって分析できないわけではありません。完璧とはいえないもののある程度は分析できるため、市場分析に役立てられています。
ビッグデータを分析
企業の情報システムには、さまざまなデータが蓄積されています。
たとえば日報などは手作業で作成された文書ですが、塵も積もれば山となるでビッグデータとなっていることがめずらしくありません。
日報などに書かれている文書を人が分析しようとしたら、途方もない労力がかかります。1日2日では到底終わりませんし、データごとの因果関係や法則性を見つけようとしたらいつまで経っても終わらないでしょう。
機械学習によるテキストマイニングを活用すれば、ビッグデータでも十分分析可能です。しかも、データごとの細かい因果関係や法則性も見つけてくれるので、分析結果が業務にしっかりと役立ちます。機械学習によるテキストマイニングならではの分析に期待できます。
顧客の声を分析
これまではいくら顧客の声を集めても、業務改善に役立たないケースがめずらしくありませんでした。それは集めた顧客の声を分析するだけの余力が企業になかったからです。顧客の声を集めたのはいいものの、そこから先になかなか進めませんでした。
機械学習とテキストマイニングを導入すれば、集めた顧客の声の分析ができます。
分析精度は日進月歩で向上していますし、音声とAIを組み合わせれば電話での問い合わせ内容も分析できます。そのため電話受付を実施しているカスタマーセンターで、機械学習によるテキストマイニングの導入が進んでいます。音声を書き起こすのもデータ分析も、わざわざ人が取り組む必要はありません。
機械学習のテキストマイニングに任せられます。
また、長く履歴を集計すれば、どのような内容の問い合わせが多いのか傾向をつかむことも可能です。集めた顧客の声をそのまま放置することなく業務改善に役立てられるため、各企業での導入が前向きに検討されています。
これまでとは違い作業時間も短縮されますし、導入するメリットは多いです。
アンケートの分析
主なマーケティング手法の1つに、メールアンケートの配信があります。
これまでは提示した選択肢の中から選択してもらう形式のアンケートが主流でした。人が集計していたため、作業負担を減らすために選択形式を採用していました。ただ、選択形式では回答者の本音がわかりません。
しかし、機械学習のテキストマイニングなら、自由記述の分析ができます。つまり、回答者の本音を、効率的に知ることができるようになったのです。集計者の作業負担を気にしなくてよくなったので、無理に選択形式を採用する必要はありません。
しかも、ただ集計するだけでなく、回答者の感情をアルゴリズムで読み取ることもできるようになっています。機械学習のテキストマイニングによって、アンケートの分析は間違いなく進化しています。
まとめ
機械学習を用いたテキストマイニングについて、メリットや活用事例を詳しく紹介しました。
労力の削減とビッグデータの解析が可能になったことが、テキストマイニングのメリットです。人の作業負担が大幅に削減されますし、膨大な量のデータを分析できるようになりました。そのため市場分析やアンケート分析などで、テキストマイニングがおこなわれています。
今後も活用の幅は広がっていく見込みです。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。