AIによる画像認識の課題とは?5つの課題と対策案を紹介

AIによる画像認識の課題とは?5つの課題と対策案を紹介

画像認識の5つの課題

AIの研究は1950年頃から始められてきました。そんなAIは現在に至るまでに様々な研究が重ねられ、進化してきました。しかし、まだまだ未知数な部分も多く、可能性を秘めています。今回は画像認識技術において、5つの課題とその対策案を紹介していきます。

適切&大量の学習データが必要

画像認識には機械を学習させるための大量のデータが必要です。認識する上で正しい画像も必要になってきます。その大量なデータを集めるところがコスト負担となり、それを運営する人員の確保やコスト面はAI導入時の障壁となっています。

その大量のデータを集める方法として5つあります。

1.自社のデータを使う

自社に必要な分のデータがある場合はそれを活用して、有益なことができないかを考えてみるのが良いでしょう。もし、足りないのであればその分は外から補う必要があります。

2.学習データを入力する

学習モデルを作成し、手動または自動で入力する方法です。すぐに、利用できるデータがなければこのやり方で進めていくことになる可能性が高いです。

3. 既存の学習モデルを使う

すでに、画像認識や言語理解などは、世界中で様々な学習モデルが用意されています。そこに自社の商品や業界用語を教えていけば、役立つ仕組みが作れるでしょう。また、1から教える場合でも転移学習を使えば時間とコストの削減に繋がりますね。

4.公開されているデータを使う(無償、有償どちらも)

過去に公開されているデータを利用して学習することも可能です。

5.ネット上でスクレイピングする

スクレイピングとはネット上の各サイトから情報を抽出することができるソフトウェア技術です。欲しい情報をテキスト分析して取得するナレッジデータベースを作成する方法もあります。5つの方法を紹介しましたが、最近では、実際にデータを集める時には代行会社に依頼する企業も増えてきています。

バイアス問題

バイアスとは偏りのことを指すのですが、よくも悪くもAIによる判別は、特定要素を元に作成されたアルゴリズムによって大きな影響を与えます。なので、同じデータを学習させるとして、組まれたアルゴリズムによっては結果にも偏りがでます。

だからこそ、学習するためのデータや設定する側のアルゴリズムによっては、バイアスがかかる可能性があり、AIが判別する際の問題になる可能性があります。

根拠の提示(ブラックボックス化)

AIによって、画像認識をした場合に起こる問題としてAIが判断した根拠を説明する必要があります。なぜならば、情報過多の時代において、情報の信憑性は限りなくエンドユーザーとの信頼性に繋がるからです。また、モデルの監査適合性やAIの生産的な使用を促進するためにも役立ちます。

しかし、大半の場合がAIによって判断した根拠の説明が難しく「ブラックスボックス化」していく傾向があります。特にMLモデル(機械学習)は、解釈が不可能なブラックボックスとみなされることがよくあります。

ディープ・ラーニングで使われるニューラル・ネットワークは、人間が理解するのが最も難しいものの一つということもあり、人種、性別、年齢、場所に基づくバイアスは、 AIモデルをトレーニングする上で長年にわたるリスクとされてきました。

AIが判別した結果に対して、人間のように判別までの過程を説明できないこともあり、それが本当に信憑性の高いモノなのかが危惧されています。近年では、ブラックスボックス化したAIの片別結果の説明をホワイトボックス化できるようにしようとする研究も広く行われています。

破壊的忘却

AIは新しいデータから学習を始めた場合、今までの古い情報を忘却してしまうという性質があります。これを「破壊的忘却」と呼びます。例えば、犬と猫を学習させた後に、新しくライオンとキリンを学習させると、ライオンとキリンの分類は可能ですが、犬と猫の分類はできなくなってしまいます。

一方で学習しているデータに対して、更にデータの上書きをしていくと、既存の学習に対して性能が落ちてしまうという問題点があります。

プライバシー保護

情報の中には個人情報を取り扱うデータもあります。その時はプライバシーの配慮が必要になってきますよね。そこで、AIの画像認識を導入する上で気をつけなくてはいけないのが、プライバシーの保護です。画像や生体情報データなどにはたくさんの個人情報が含まれています。これらはデータの量が増えたり、規模が拡大するとデータ漏洩の恐れや差別的な判断をする可能性もあります。企業で扱う場合には直接的な影響がなくても、プライバシー保護への取り組みがされているかどうかは信用問題に繋がります。

データの漏洩を防ぐために、エッジAIを活用する動きも増えてきています。エッジとは現場の近くにある端末を指し、その部分にAIを導入して活用します。取得したデータをエッジ部分のAIで処理をして、外部に出さないことで流出を防ぐことが可能です。

画像認識の課題への対応策

今まで、AIによる画像認識においての課題を解説してきました。課題はありますが、これらが更に改善することができれば、我々にとってもっとAIの導入は生活を豊かにしてくれることとなるでしょう。

そこで、AIの技術を本当に意味のあるものとして活用するために現時点でのAIに対する対策案を述べていきます。AIに興味があるあなたにとって、よりAIを短かに感じ、今後の参考になることでしょう。

必要性の検討

あなたがもしAIを導入させるべきか考える時には、本当にAIが必要かどうかを検討しなくてはいけません。もちろん、AIが業務の効率化や生産性を上げる可能性は大いにありますが、それはあくまで適切な使い方をしたときの話です。

ただ闇雲に導入しただけとなると、予想していた効果は得られず、莫大なコストだけがかかる可能性があります。そうならないためにも、事前に導入する前には専門家に問い合わせて、現在抱えている課題や必要性について話し合うことが大切です。

費用対効果の検証

もし、AI導入をする時は事前にAIで得られる利益と導入のコストを比較検討しなくてはいけません。どれだけ、利便性が高く、効果をもたらすものでも、それに見合った利益が得られなければ、元も子もありませんよね。

ただでさえ、AIの導入には設備投資として、多くのコストやリソースがかかります。導入前には正常に作動するのかのプレテストにも、運用するための人員も必要になるでしょう。高額な学習になればなるほど、精度は上がりますが、コストもかかります。

事前の検討や、学習データの精査をすることによって、どの段階でどれくらいの成果を得られるのかを確認しておきましょう。

倫理に対する安全検証

AIは一度学習させると、人が行うよりも精密にスピーディに作業をします。そこがAIの特徴でもありますが、人間と同じ思考で判断しているわけではありません。差別や倫理など人間が本来、無意識レベルで判断基準にしている分野においては学習が困難な部分があるため、人間にとって意図しない判断をする恐れがあります。よって、プライバシーや倫理チェックをAI導入時のガイドラインとして反映させる企業が増えてきました。

また、AIがもたらす判断にはAIの開発時の学習データにバイアスがかかってしまうと正常な判断ができない場合もあります。大量なデータを集めることが難しいために倫理的なチェックや安全検証は欠かせないでしょう。

 

まとめ

今回は、AIによる画像認識の5つの課題と対策案を紹介しました。AIが今の姿で我々の生活に活用されるまでに、長年の研究が重ねられてきました。まだまだ未知数な部分や課題点は多くあることでしょう。

しかし、それを少しずつ改善していくことで、更にAIが短かになり、我々の生活がより豊かになります。この記事をよんで、よりAIの画像認識技術についてご興味を持ち、今後の生活の参考にしていただければ幸いです。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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