ディープラーニングによるAIを活用した行動予測
近年、ディープラーニングによるAIの発達が注目されています。中でもAIを活用した行動予測はマーケティングや犯罪防止の面でも役立っています。
今回は、ディープラーニングによるAIを活用した行動予測と、行動予測に使用するデータ、行動予測が抱える課題について解説していきます。
ディープラーニングとAI
ディープラーニングとは、機械学習の1つです。脳の神経回路の仕組みを模したニュートラルネットワークを多層に重ねることで、従来の機械学習より深く複雑な処理が可能です。
AIとは人口知能ともいい、人間の知能をコンピューターで人工的に再現したものです。ディープラーニングはAIを作る技術の1つです。
人物解析技術の発達
ディープラーニングによって、AIの精度は従来と比べて格段に上がりました。様々な種類・形式が含まれる巨大なデータ群であるビッグデータと、AI搭載カメラによって、リアルタイムで人物解析が可能となりました。
行動予測に利用されるデータ
人の行動予測は時間・場所などの統計的な情報以外にも、人の行動から予測できます。
ディープラーニングによるAIを活用した行動予測は、利用されるデータが複数存在します。主なデータを3つ紹介します。
人の行動データ
人の行動データとは、目線、歩くスピード、歩幅などのデータです。静止画の写真では判別できない人間の顔・手足の動きを捉えて、異常な行動を検知できます。
人のコミュニケーションデータ
人のコミュニケーションデータとは、表情、瞳孔の変化、感情の変化などのデータです。行動データや姿勢評価データと組み合わせることで、人の感情が行動に及ぼす影響などを知ることができます。
人の姿勢評価データ
人の姿勢評価データとは、人の骨格情報などのデータです。頭・腕・腰・膝などの関節点を結んで人の姿勢を検出するので、細かい行動まで検知できます。スポーツのフォーム確認にも、姿勢評価データは利用されています。
行動予測の活用例
行動予測は実際にどのように活用されているのでしょうか。活用例について解説していきます。
AI監視カメラによるセキュリティ強化
AI監視カメラによって、セキュリティ面が強化されています。特に店舗や市街地への導入が進んでいます。
店舗へのAI監視カメラの導入
店舗へAI監視カメラを導入することは、万引き対策になります。
また、リアルタイムな商品リコメンドが可能です。AI監視カメラでデータ分析して、特定の商品を購入した顧客におすすめの商品をリコメンドできるのです。無人レジなども、AI監視カメラを導入することで人員をさらに削減できます。
市街地へのAI監視カメラの導入
市街地へAI監視カメラを導入すると、犯罪発生率の低下に役立ちます。怪しい行動の人物の特定が可能となるからです。
ひったくりや自転車盗難などの犯罪が発生した場合も、施設管理者へアラートが発報されるので、警察や消防への通報が迅速にできます。
AIセンサーによる自動運転
AIセンサーを搭載した車で自動運転をすると、衝突回避のための他車の動きや経路、路上周辺の危険物の予測などが可能です。
歩行者や自転車運転者の顔の向きや体の方向、道路構造などに基づいて行動を予測し、原則や安全な停止を行います。また、AIセンサーが他の車と協調した運転を行うので、渋滞合流時の交渉や工事区間の譲り合いなども可能です。
AIとビッグデータの活用による予測
AIとビッグデータの活用による予測には、需要予測・犯罪予測・再犯予測が挙げられます。3つの予測について詳しく解説します。
需要予測
需要予測とは、対象商品やサービスがいつ、どのくらい購入されるかという需要を予測することです。
需要予測の目的は、マーケティング業務の効率化です。消費者の購買行動、売上、販売量、広告量などのデータが使われています。需要予測は1990年代から導入されており、現在は小売業や流通業など、さまざまな分野で導入が始まっています。
犯罪予測
犯罪予測とは、過去の犯罪発生の時間と場所のデータを利用し、犯罪発生の可能性が高いエリアを予測して重点的に警戒することです。
犯罪予測の目的は、検挙率の向上です。警察のパトロールや地域防犯ボランティアの活動にも役立っています。また、顔認証システムが導入されたAI監視カメラでは、犯人の特定・追跡が可能です。
再犯予測
再犯予測とは、犯罪者の人物的背景から再犯率を予測することです。
再犯予測の目的は、犯罪発生率の低下です。再犯予測に使われるデータは、年齢、前科の有無、雇用状況、学歴、信条、家族などの個人データです。アメリカでは刑事事件裁判の判決にも再犯率の高さが影響し、再犯率が高いほど刑期が長くなります。
ディープラーニングを活用した行動予測の課題
ディープラーニングを活用した行動予測には、課題もあります。主な2つの課題について説明していきます。
行き過ぎた監視社会の可能性
個人の行動を常時予測することは、監視社会を促進することにつながります。
AIカメラによる監視技術の発達により、ウェアラブルデバイスによる個人データの取得や、ディープラーニングとビックデータによって、個人の詳細なプロファイリング作成などが可能となりました。
プロファイリングとは、集めたデータを利用して、個人の将来の行動やリスクを予測することです。プロファイリングによって、個人の興味関心に沿った情報が提供されます。身近な例は、インターネットで現れる広告や、ニュースサイトの表示項目などです。
人々は安心・安全な生活を送れるようになった反面、企業や社会が個人情報を取得する機会も多くなっています。
行動予測を正しく使う必要性
AIを活用した行動予測は、マーケティングや犯罪防止に役立つ技術です。しかし、使い方を間違えると必要以上に監視される社会を作ることになります。
犯罪予測による差別や、個人情報の悪用などはあってはならないことです。行き過ぎた監視社会を防ぐために、監視側のモラルが重要です。また、行動予測を悪用できない仕組みを作ることも必要となります。
AIによる行動予測を企業と連携する場合は、豊富な実績を持ち、信頼できる企業に依頼しましょう。監視社会ではなく、個人のプライバシーを配慮して、互いの情報を発信しながら支え合う見守り社会を目指すことが、行動予測を正しく使う社会といえるでしょう。
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まとめ
今回は、ディープラーニングによるAIを活用した行動予測と、行動予測に使用するデータ、行動予測が抱える課題について解説しました。
ディープラーニングによって、従来と比べて細かい行動予測が可能となりました。マーケティングでの活用や犯罪防止に役立つ行動予測ですが、行動予測を正しく使う必要があります。
AIの活用による行動予測導入を検討している人は、ぜひ信頼のおけるAI技術サポート企業と連携しましょう。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。