環境にやさしい輸送のあり方「モーダルシフト」とは? 事例や課題を紹介

By アイディオット 脱炭素チーム · 2022年2月16日

環境にやさしい輸送のあり方「モーダルシフト」とは? 事例や課題を紹介

業界をあげて進められているグリーン物流。その具体的な取り組みのひとつが「モーダルシフト」です。今回は、モーダルシフトとは何か、すでに行われているモーダルシフトの事例や課題などについても説明します

「モーダルシフト」とは?

モーダルシフトとは、トラックなど自動車による輸送を、鉄道や船舶といったより環境にやさしい輸送手段に置き換えることです。日本語では、輸送手段の転換と呼ばれることもあります。

鉄道や船舶などは一度にたくさんの荷物を運べることから、自動車よりも環境に与える影響が少ないと考えられています。つまり、自動車などより二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えることができるということです。

そのため、モーダルシフトは地球温暖化を防ぐのに有効な対策だとされているのです。

モーダルシフトによるCO2排出量の削減効果

では、モーダルシフトによってどれくらいCO2排出量が削減できるのかを見ていきましょう。国土交通省によると、2019年度の自動車(自家用貨物車)・営業用貨物車・船舶・鉄道の4つの輸送手段を比較すると、それぞれの輸送量あたりのCO2排出量は下図の通りです。

(出典:国土交通省 運輸部門における二酸化炭素排出量

このように、自家用貨物車のCO2排出量が突出して多く、船舶や鉄道は比較的少ないことがわかります。特に、鉄道は、営業用貨物車と比べても10分の1以下と少ないCO2排出量で荷物を運べる輸送手段だと言えるでしょう

鉄道によるモーダルシフトの実例

輸送プロセス全体の「グリーン物流」を目指して設立されたグリーン物流パートナーシップ会議では、優良な取り組みに対して2006年から表彰を行ってきました。昨年12月3日には、2021年度のグリーン物流優良事業者が表彰されました。

「グリーン物流パートナーシップ会議特別賞」を受賞したのは、株式会社メディセオなどによるトラックから鉄道へのモーダルシフトの取り組みでした。従来、大型トラックで500km以上の距離を輸送していましたが、鉄道による輸送を取り入れ、ドライバーの長距離運転を減らすとともにCO2排出量の81%も実現したとのことです

(出典:経済産業省ニュースリリース 【参考2】令和3年度グリーン物流優良事業者事業概要

このように、モーダルシフトはCO2排出量の削減だけでなく、トラックのドライバーの運転の負担を減らす効果もあると期待されているのです。特に、最近では労働力不足や働き方改革の一環としても注目を浴びています。

モーダルシフトに残された課題

一方で、モーダルシフトにはさまざまな課題も残されています。そのひとつが、鉄道や船舶で輸送すると時間がかかってしまうという問題です。

特に船舶の場合、港で荷物を積み下ろす作業などに時間を要します。生鮮食品などを運ぶ際には、トラックの方が時間がかからず利便性が高いと考えられているのです。

こうした課題を乗り越えるために、トラックが荷物を積んだまま船舶に乗り入れできる内航RORO船(Roll On Roll Off Ship)という貨物船も登場しています

CO2削減によって地球温暖化対策に役立つモーダルシフトには、ドライバーの負担を軽減する効果もあることがわかりました。一方で、輸送時間といった課題にも対処しながらグリーン物流の実現を目指す必要があると言えます。


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