年々拡大する物流市場は、看過することのできない大きな課題を抱えています。しかも課題は1つだけではありません。労働力不足・ドライバーの負担増・出荷量の増加など簡単には解決できない、いくつもの大きな課題があります。そこで、まず最初に運送業界の現状と課題について解説します。
拡大する物流市場が抱える大きな課題とは？
深刻な労働力不足
運送業界は、深刻な労働力不足に苦しんでいる状態です。荷物を目的地に運ぶトラックドライバーは、大方のイメージ通り40代以上の中高年が占めています。運送業界は20代30代の若い世代があまり積極的に働こうとしない現状なので、労働力不足が深刻化しています。通販の利用急増などが原因で、物流市場は拡大しています。
ですが、中高年が辞めてしまうことにより、労働力が明らかに足りていません。労働力不足の結果ドライバー1人当たりの負担が増してしまい、さらに仕事を辞める人が多くなります。負のスパイラルに陥っています。深刻な労働力不足を解決しない限り、運送業界は窮地のままです。
低賃金・長時間労働によるドライバーの負担急増
運送業界に若い世代をはじめとした働き手が集まらない原因は、低賃金およびドライバーの負担増です。多少厳しくても高賃金なら働き手は集まりますが、運送業界は決して高賃金ではありません。運送業界に従事する人の所得額は、全産業と比べると明らかに低いです。
また、所得額が低いにもかかわらず、労働時間は全産業と比べて長くなっています。つまり、低賃金で長い時間働いているのが運送業界の現状です。看過することのできない、大きな課題となっています。
小口配送に伴う出荷量の増加
サービスを利用する消費者にとってはありがたい小口配送ですが、運送業界にとっては逆風です。少しずつこまめに荷物を配送する小口配送が当たり前になったため、以前と比べて出荷量が飛躍的に増加しました。大手の通販サービスが小口配送を開始したことで、運送業界の負担が重くなりました。
たとえば小口配送で再配達が繰り返された場合、ドライバーは届け先に何度も訪問しなければなりません。小口配送に伴う出荷量の増加と再配達制度の影響で、運送業界はますます厳しい状況に陥ってます。
国や自治体が様々な解決策を打つも実態は変わらず…
前述した運送業界の課題を受けて、国や自治体が様々な解決策を打っています。厳しい状況に陥っている運送業界を改善するために、改正物流総合効率化法案が施行されたり、働き方改革が推進されています。ただ、大いに期待されたこれらの解決策ですが、実態はあまり変わっていません。いったいどういうことなのかを見ていきます。
改正物流総合効率化法案の施行
国土交通省は、改正物流総合効率化法案の施行によって厳しい状況にある運送業界の改善を図ろうとしました。この法案は、効率化と人手不足の解消が狙いです。どちらも期待されましたが、実態は厳しい状況のままで大きくは改善されていません。
その理由の1つは荷主の考え方が非常にシビアで、運賃の引き下げを強く求めたからです。これでは事業者の負担が軽減されません。多少の負担緩和では、根本の部分が変わらないままです。事業者の負担はほぼそのままで消費者からの要求にも応えられていないので、深く切り込んだ抜本的な解決策が必要です。
働き方改革
一時期メディアで話題になった働き方改革も、運送業界の厳しい状況を打開するために打ち出された解決策の1つです。働き方改革は労働者が働きやすい環境作りを目指すものですが、運送業界への効果はまだそれほど大きくありません。
そもそも適用には5年間の猶予期間が設けられており、施工開始の2024年4月までに荷主の理解を得られるかどうかがポイントです。まだ過渡期なので不確定な一面もありますが、実態はそれほど変わっていないのが現状です。
運送業の人手不足をAIで解決できること
運送業の人手不足を解決できるのではないかと期待されているのが、各業界で次々と導入が進んでいるAIです。人手不足を解決するのに、AIは最も有効的な方法といえるかもしれません。労力などの削減・業務および配送の効率化など、AIを活用して運送業の負担を軽減させようとしています。期待できることについてそれぞれ解説します。
労力・コストの削減
物流センターにAIを導入することで、人件費の削減を見込めます。物流センターに勤務する人数を、AIが緻密な分析によって割り出します。今までは管理者の経験則に基づいていたため、ややアバウトな側面がありました。
たとえば場合によって不要な従業員が出てしまうことなどありました。AIを導入すれば最初から最適な人数を割り出せるので、余計な人件費がかかりません。労力・コストを効率的に削減可能です。
“業務効率化により労働負担も軽減 “
AIを導入すれば、業務の効率化が可能です。業務の効率化は労働時間の短縮に直結するため、労働負担の軽減につながります。たとえば倉庫内の同一の作業場に複数人が密集しないようにAIが調整することで、業務の効率化が実現します。約10％ほどの効率アップを見込めます。
約10％の効率アップが継続すれば、労働負担の軽減に十分効果的なのは間違いありません。運送業のさまざまな業務効率化にAIが役立ちます。
ルートの最適化による配送効率化
荷物を届ける配送を効率化するためには、ルートの最適化が欠かせません。どの車がどの道を通ってどういう順番で荷物を届けるのかを、AIによって導き出します。無数にあるルートの中から、最適化されたルートをAIが教えてくれます。機械的に最適化されているので、人がルートを選ぶのと比べて無駄ががありません。AIならルートの最適化で、配送効率化を実現できます。
サステイナブル時代に向けたAI活用も
SDGsへの取り組みが世界的に進められていることからもわかるように、これからの時代はサステイナブルがキーワードです。運送業にAIを導入して業務を最適化することは、脱炭素化社会の実現にも効果的です。たとえばAIアイディオットの「ADT」などがおすすめです。最後にサステイナブル時代とAIの活用について紹介します。
AIを活用した業務最適化は「脱炭素化」にも！
AIを活用して業務の最適化を図れば、脱炭素化にもなります。運送業ではガソリン車などを運転することで二酸化炭素を排出しているため、サステイナブル時代に向けた運送業の業務最適化は急務です。業務を最適化すれば、二酸化炭素の排出を最小限に抑制できます。
つまり、脱炭素化社会に向けての第一歩を踏み出せるのです。サステイナブル時代を目指すために欠かせない取り組みです。
AIアイディオットのプロダクト「ADT」なら「脱炭素化」を実現！
株式会社アイディオットのAIプロダクトの「ADT」なら、サステイナブル時代に必要不可欠な「脱炭素化」を実現できます。この「ADT」は、物流にDXをもたらす画期的なプロダクトです。東京都や大阪府といった自治体とも事業提携していて、ガソリンなどのコスト削減が見込めます。その理由は、運送業を最適化させられるからです。
無駄を省いて効率を追求するサイクルを繰り返すことで、理想的な運送業を目指せます。無駄がなくなれば、もちろん二酸化炭素の排出量も減少します。シミュレーションとAIを駆使した的確な予測により、それまでの運送業を抜本的に変えられます。この「ADT」なら「脱炭素化」の実現が十分可能です。
まとめ
運送業界が抱える現状と課題、さらにはAIによる解決策について紹介しました。人材不足やドライバーへの負担増など、運送業界が抱える課題は決して小さくありません。
今まで解決を目指して様々な策が打たれてきましたが、劇的な改善には至らないままです。そこで注目を集めているのがAIです。特にアイディオットのAIプロダクトの「ADT」なら、運送業界が抱える様々な課題への対応が可能です。
また、サステイナブル時代に向けて脱炭素化の実現も十分期待できますので、課題がなかなか解決しなくて困っている事業者は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。
