2025年、物流業界を取り巻く最新動向とトレンド、課題などを詳しく解説!

2025年、物流業界を取り巻く最新動向とトレンド、課題などを詳しく解説!

目次

2025年の物流業界を取り巻く環境とは?

2025年、物流業界はかつてない変化の波にさらされています。人手不足や燃料費の高騰に加え、環境対策や法規制の強化など、企業が向き合うべき課題は多岐にわたります。今回は今まさに業界を取り巻く環境の最新動向を整理し、現場の変化を分かりやすく解説します。

ドライバー不足の深刻化

 2024年問題で明らかになった労働時間規制の影響により、ドライバーの確保が一層困難になっています。高齢化も進み、持続可能な輸送体制の確立が急務です。2025年は、その影響が本格的に顕在化する年で、配送遅延、コスト増加、物流品質低下などのリスクが増大すると言われています。

カーボンニュートラル対応が本格化

国のカーボンニュートラル目標(2050年)を背景に、2025年は中小物流企業にも脱炭素経営の圧力が強まります。EVトラックの導入、再生可能エネルギー活用、環境対応型倉庫の整備などが急務になるでしょう。

生成AIやDXによる業務効率化の加速

生成AIの活用により、配車計画の自動化、倉庫内作業の最適化、チャットボットによる問い合わせ対応、輸送予測や在庫予測の精度向上などの業務が効率化され始めています。2025年は、“人手の限界を補うAI”が鍵になるでしょう。

法改正による荷主・元請企業の責任

物流関連2法(貨物自動車運送事業法・物流効率化法)が改正され、荷主企業にも物流効率化への協力義務が課せられました。2025年はその運用がより厳格化され、「物流に優しい発注か?」が問われる時代になっていくでしょう。無理な納期・時間指定・空車前提の発注は、企業リスクになりえます。

これらの動きを正しく捉え、いかに対応していくかが、企業の競争力を左右するカギとなります。

 

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2025年の物流業界の最新動向とトレンド

2024年問題を経て、物流業界は大きな変革期に突入しました。2025年は、業務の効率化人手不足の解消環境対応といった課題に対し、テクノロジーや業界連携を通じた解決策が本格的に動き出す年です。ここでは、2025年の最新トレンド4つをご紹介します。

AGV、AMR、ドローン配送など自動化・ロボティクスの導入加速

倉庫ではAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)の導入が急増。仕分けやピッキング作業の自動化によって人手不足を補い、生産性向上が期待されています。都市部や離島ではドローン配送の実証実験も進み、災害時や高齢化地域での活用が現実味を帯びてきました。

フィジカルインターネットの推進と共同配送の進展

フィジカルインターネットとは、物流資源を業界の枠を超えてシェアし、物の流れをインターネットのようにスムーズにする構想のことで、現場では、大手企業同士の共同配送や、プラットフォームを活用した空きスペースのマッチングなど、実証段階から実装フェーズへと移行しています。

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サプライチェーンのDX化とAI活用

需要予測や在庫の適正管理、配送ルートの最適化など、AIやIoTを活用したサプライチェーンのデジタル化が進行中。物流だけでなく製造や小売とも連携し、全体最適を目指す「つながる物流」が現実になりつつあります。

カーボンニュートラル対応とグリーン物流の拡大

国の脱炭素方針を背景に、物流企業もEVトラックの導入やモーダルシフト(鉄道・船舶への切り替え)、カーボンクレジットの活用を加速。CO₂排出の見える化や、環境負荷の少ないサプライチェーン構築が求められる中、「エコ」だけでなく「経済性」を両立する仕組みが模索されています。

物流業界が直面する主要課題とは?

EC需要の増加や消費行動の変化により、物流業界への期待は年々高まっています。しかしその一方で、現場では深刻な課題が山積みの状態です。

ここでは、今まさに業界を揺るがす4つの主要な課題について整理し、それぞれの背景や影響を解説します。

人手不足の深刻化

ドライバーや倉庫作業員の高齢化が進む一方で、若手人材の確保が難しくなっています。長時間労働や待遇の厳しさから敬遠される傾向も強く、2024年問題を受けた労働時間の上限規制によって、さらに人手不足が顕在化しました。今後の事業継続には、採用強化だけでなく、省人化や働き方改革が不可欠です。

燃料費・輸送コストの高騰

原油価格の変動による燃料費の増加に加え、環境対応として求められる電動トラックの導入にも多額の初期投資が必要です。特に中小の運送事業者にとっては負担が重く、収益圧迫の要因となっています。価格転嫁も難しい中で、燃費効率の改善や共同輸送などの対策が急務です。

都市部と地方での物流格差拡大

大都市圏では再配達やラストワンマイル配送の効率化が進む一方で、地方ではそもそも配送インフラが整っておらず、過疎地域への物流維持が課題となっています。宅配便の集配停止や料金の地域差といった問題も浮上し、持続可能な物流網の再設計が求められています。

物流総合効率化法の改正と荷主の責任強化

2024年から2026年にかけて段階的に施行される制度改正では、物流事業者だけでなく荷主企業にも効率化やCO₂削減の責任が課せられています。年間9万トン以上の貨物を取り扱う企業には、物流統括管理者の設置や中長期計画の提出義務が発生し、全社的な対応体制が求められています。

物流の人手不足にどう対応するか?

物流業界では深刻な人手不足が続いており、現場では「今ある人と仕組み」でどう回していくかが問われています。とくにトラックドライバーや倉庫作業員の確保は年々難しくなっており、業界全体で抜本的な対策が求められています。ここでは、自動化技術や外国人材の活用など、注目される3つの対策について紹介します。

自動運転トラックの実証実験と実用化の進展

長距離輸送のドライバー不足に対応する手段として、自動運転トラックの実用化に向けた動きが加速しています。すでに一部の高速道路では実証実験が始まり、特定区間での隊列走行や遠隔監視による運行がテストされています。今後は法整備やインフラの整備が進めば、物流業務の一部を担う現実的な選択肢になると期待されています。

倉庫作業の自動化

人手を多く必要とする倉庫現場では、自動化による省人化が急ピッチで進んでいます。AIが商品を識別して自動で取り出す「AIピッキング」や、自律的に動く搬送ロボット(AMR)の導入が増えており、24時間稼働による生産性向上と人員配置の最適化を実現。繁忙期の一時的な人材不足にも柔軟に対応できる点が強みです。

外国人労働者の活用と雇用環境の整備

即戦力として期待されているのが、外国人労働者の活用です。特定技能制度を活用し、倉庫作業や仕分け、梱包業務などでの採用が広がっています。ただし、雇用する側には言語サポートや研修体制、生活支援など環境づくりが不可欠。単なる労働力ではなく、長く安心して働ける場づくりが、持続可能な雇用へのカギとなります。

カーボンニュートラルに向けた物流業界の取り組み

2050年カーボンニュートラル実現に向け、物流業界も大きな転換期を迎えています。運ぶ手段そのものを見直し、倉庫や拠点の在り方も変えながら、環境への負荷を最小限に抑える仕組みづくりが加速中です。ここでは、物流現場で実際に進んでいる脱炭素の取り組みを3つの視点から紹介します。

モーダルシフト

CO2排出量の多いトラック輸送から、環境負荷の少ない鉄道や船舶を活用した輸送へと切り替える「モーダルシフト」は、すでに多くの企業で実施されています。特に、長距離輸送においては鉄道の利用が増えており、幹線部分を鉄道、ラストワンマイルをトラックで補うなど、効率と環境配慮を両立させたハイブリッド輸送が広がっています。輸送の安定性確保にもつながる取り組みです。

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EVトラック・燃料電池トラックの普及状況

都市部の配送を中心に、電動トラックの導入が進んでいます。早朝や深夜の静音配送にも対応できるほか、走行中のCO2排出ゼロというメリットがあります。一部では、水素燃料を活用した大型トラックの試験運用も開始されており、今後の長距離輸送の新たな選択肢として注目されています。導入コストやインフラ整備といった課題はあるものの、将来的な運用コストの低減や環境対応力が評価され、導入企業が増加傾向にあります。

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再生可能エネルギーを活用した物流拠点の構築

物流施設そのものの省エネ化も重要なテーマです。最新の物流センターでは、屋上に太陽光パネルを設置し、自家消費型の電力を活用する施設が増加中。蓄電池と連動させることで、災害時の非常電源としても機能します。こうした施設は、単なる保管・配送の場から、持続可能な物流インフラへと進化しており、BCP対策と脱炭素の両立を実現するモデルケースになっています。

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2025年以降、物流業界の未来展望

ドライバー不足や環境規制の強化、物流2024年問題の影響を受け、物流業界は今まさに大きな転換期を迎えています。2025年以降、業界の課題をチャンスに変える鍵として注目されているのが、省人化や無人化、デジタルと環境技術の融合です。ここでは、今後の物流の姿を形づくる3つの重要トレンドを紹介します。

物流の省人化・無人化の進展

倉庫内ではすでにAGVなどが導入されており、ピッキング業務の自動化が進んでいます。今後はトラックの自動運転やドローン配送も本格運用に向けた実証実験が続いており、将来的には“人の手を介さない物流”が現実のものとなるでしょう。労働力不足の解消にとどまらず、業務の平準化やミスの削減にも貢献します。

フィジカルインターネットがもたらす物流の最適化

インターネットのように“つながる”物流を実現する「フィジカルインターネット」という考え方が注目を集めています。物流拠点やトラックを企業の垣根を超えて共有し、最適な経路で最小限のコストと時間で荷物を届ける仕組みです。これにより積載率の向上、CO2の削減、物流の無駄の大幅な削減が可能となります。

物流業界における「脱炭素×DX」の融合が生み出す新たな価値

AIやIoTを活用して配送ルートや在庫を最適化する一方、再生可能エネルギーの活用やEVトラックの導入も進行中。デジタル化と脱炭素の取り組みを同時に進めることで、企業価値の向上やESG対応を強化でき、持続可能な経営にも直結します。この「脱炭素×DX」の融合こそ、これからの物流業界に求められる新たな競争力です。

まとめ

本記事では、2025年の物流業界を取り巻く環境や課題について解説しました。人手不足の深刻化、燃料費の高騰、地方と都市部の物流格差、そして法改正による荷主責任の強化など、業界が直面する問題は多岐にわたります。

こうした背景の中、物流の効率化や省人化、環境対応への取り組みが今後のカギとなります。課題の本質を正しく捉え、変化に柔軟に対応できるかどうかが、企業の競争力を左右する時代です。持続可能な物流の未来を見据えた戦略が、今まさに求められています。

 

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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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