そもそもブロックチェーンとは？
ブロックチェーンは、データベース技術の一種で、データの改ざんが困難な分散型台帳技術です。
ブロックチェーンは仮想通貨の実現に不可欠な技術として有名ですが、それぞれのブロックに固有のハッシュ値が書き込まれており、取引を改ざんするとハッシュ値の整合性が取れず、不正の発見が容易となるため、取引の改ざんが困難になるわけです。
これにより、高い透明性と信頼性を確保できます。
この技術により、物流サプライチェーンが抱える課題を解決できると言われています。サプライチェーンは、複数の企業間で交わす情報が標準化していない、機密情報の扱いが難しいなどの課題があり、ブロックチェーン技術を活用により、各企業は信頼性を担保しながら取引ができると考えられます。
物流業界におけるブロックチェーンの活用方法
ブロックチェーン技術は、物流業界で以下のような活用方法を実現することができます。
１、サプライチェーンの在庫管理の最適化
従来の在庫管理では、それぞれの企業が独自のデータベースで管理をしていたため、企業間の情報共有に時間的な問題や、正確性の問題が生じていました。
ブロックチェーンを活用することで、QRコードやICタグとリーダーを使って位置情報をリアルタイムで記録でき、在庫情報が正確に把握できるようになります。
ウォルマート、ネスレ、ユニリーバなどの有名企業では、在庫の追跡にブロックチェーンを導入しています。
２、国際配送の効率化
国際配送業界の情報システムはいまだに書類ベースでの作業が行われています。オペレーションエラーのリスクを抱えながら、人による非効率な突合作業が繰り返されていました。
ブロックチェーンの利点を生かし、バラバラに行われていた国際配送を一元管理でき、配達時間と不正行為を検出し、収益性・安全性の向上を見込めます。
３、決済
ブロックチェーンは、契約の自動実行（スマートコントラクト）を可能にします。スマートコントラクトは特定の条件をプログラムに組み込んでおき、それが満たされると契約が自動的に実行される仕組みで、ブロックチェーンと一緒に活用することで、特定のプロセスを自動化し、仲介業者のコストを削減します。
ブロックチェーン活用で物流業界はどう変化する？
ブロックチェーンの活用により、物流業界は透明性と信頼性の高いシステムを構築できます。取引の記録が改ざん不可能なブロックチェーン上に保存されるため、情報の正確性が保証され、サプライチェーン全体でのデータ共有が容易になります。これにより、配送の追跡が容易になり、配送過程での紛失や誤配送のリスクが減少します。
また、自動契約（スマートコントラクト）機能により、効率的な支払い処理や契約遵守の自動化が可能になり、業務プロセスがスムーズになります。このように、ブロックチェーンを活用することで、物流業界はより迅速で透明性の高いサービス提供が可能となり、最終的には業界全体の競争力向上に寄与します。
物流業界におけるブロックチェーン活用事例
物流業界におけるブロックチェーン活用事例は、効率化と透明性向上に寄与しています。
・Walmart
ウォルマート・カナダでは、70社ある運送業者からの請求書とその支払いを管理、追跡するためのブロックチェーンを自社システムに導入しました。管理システムを運送業者と統合することによって、請求書の不一致が70％以上から1％未満に下がりコストの削減を実現しました。
・ニトリホールディングス
ニトリの物流部門を分社化した物流子会社のホームロジスティクスは、ブロックチェーンを活用した新たな物流システムを稼働させました。AIによる配送ルートの策定や在庫管理の高度化などさまざまな機能を開発し運送会社に導入を促します。ブロックチェーン活用により、紙伝票の撤廃、運送会社ごとの強みの共有、積載率の向上を目指します。
物流業界のブロックチェーン活用による課題とは？
物流業界でブロックチェーンを活用する際の課題には、技術的な導入障壁や業界全体の標準化の欠如があります。
ブロックチェーン技術はまだ新しく、多くの企業にとっては未知の領域です。そのため、適切な専門知識を持つ人材の不足や初期投資の高さが課題となります。さらに、異なる企業間でのデータの互換性を確保するためには、業界全体での標準化が必要ですが、これが実現していないのが現状です。
また、ブロックチェーンのセキュリティ面やプライバシー保護に関する懸念も解決すべき課題として挙げられます。これらの課題に対処し、効果的にブロックチェーンを物流管理に組み込むことが、業界の進化には不可欠です。
まとめ
ブロックチェーン技術は物流管理に革命をもたらす可能性を持っています。透明性の向上、コスト削減、効率化、セキュリティ強化など、数多くのメリットが期待されます。
サプライチェーンの各ステップをリアルタイムで追跡し、偽造や紛失のリスクを軽減することが可能になります。
ただし、導入には技術的な課題や初期投資が必要であり、業界全体での標準化が求められます。ブロックチェーンを活用することで、物流業界はより透明で信頼性の高いサービスを提供し、最終的には消費者の満足度向上に繋がることが期待されます。
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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。
