日本と世界の“物流ギャップ”にどう挑む?──マンハッタン・アソシエイツが描くサプライチェーンの未来地図

日本と世界の“物流ギャップ”にどう挑む?──マンハッタン・アソシエイツが描くサプライチェーンの未来地図

はじめに

この度アイディオットでは、荷主企業・配送業者・3PL事業者の皆さまが直面している現状や課題を明らかにし、それらに即したサービスの紹介を通じて、物流業界全体の理解促進と解決支援を目指す取り組みをスタートいたしました。

今後は、様々な課題に直面している物流企業様や、課題解決に向けた様々な取り組みをされている企業様へのインタビューを実施し、そのリアルな声を発信して参ります。

今回は、マンハッタン・アソシエイツ株式会社 代表取締役 日本・韓国代表の髙谷直秀様に、同社の事業内容やサプライチェーンの最新動向、さらに今後の展望について、貴重なお話を伺いました。

ぜひ最後までご覧ください。

マンハッタン・アソシエイツ株式会社様が取り組んでいる事業内容について教えて下さい

弊社は1990年の創立以来、サプライチェーンソリューションを中心に、企業の物流・サプライチェーン改革を支援して参りました。

私たちは飲料・食品、製造、医療・製薬、小売、トラック運送管理など、幅広い業界での課題解決に取り組んでおり、倉庫管理(WMS)、輸配送管理(TMS)、サプライチェーン計画や店舗在庫・フルフィルメントの最適化など、幅広くサプライチェーン全体をサポートしています。

また、単なる効率化のサポートだけではなく、新しいサービスモデルを実現できる基盤を提供することも私たちの大切な役割です。

例えば、物流データを可視化して新商品の発売タイミングや在庫状況を管理できる仕組みなども提供しています。

現在、注目されているトレンドやキーワードがあれば教えて下さい

日本における意思決定は特定のキーワードに依存するものではありませんが、一般的に合意形成を重視する、いわゆるコンセンサスドリブンで進む傾向が強いといえます。
そのため、海外のようにドラスティックな変革を一気に推し進めることは難しいと感じています。

だからこそ、「ソフトランディングでの改革」ーすなわち現場に大きな混乱を与えることなく、段階的に改善を重ねていくことが重要な考え方だと捉えています。

一方で、変革のスピードを緩めすぎれば競争力を失いかねません。
したがって、私たちはリスクを適切にコントロールしつつ、“変革をリードする姿勢”をしっかりと持ち続けることが重要だと考えています。

日本と世界のサプライチェーンのギャップにはどんなものがありますか?

日本の物流は非常に高品質であり、世界的に見ても優れたサービスレベルを誇っています。

日本では「100点を取るのが当たり前」で、さらに「120点のサービスを目指す」という文化が根付いていると感じます。そのため、海外に比べて“荷物の扱いが雑になる”あるいは“荷物が届かない”といったトラブルは圧倒的に少ないのが特徴です。

一方で、課題として挙げられるのは、コストに対する意識の低さです。
日本では物流費が「安すぎる」と指摘されることも多く、「送料無料」が当たり前になっている現状からも、現場の労力に見合った対価が十分に支払われていないことが分かります。
さらに、物流インフラや物流システムへの投資が長年後回しにされてきたこともあり、改革が進みにくいという構造的な問題も存在しています。

その点、海外では物流を戦略的かつ利益を生み出す領域と捉えるケースが多く、この点が日本との大きな違いだと考えられます。

今後は日本においても、物流を単なるコストではなく、価値を生み出す重要な領域として捉える意識へと変えていく必要があります。

“CLO(物流統括管理者)”について、日本と世界では認識・捉え方の違いにどんなものがありますか?

世界においてCLOは、経営層の一角として会社全体の意思決定に大きく関与する役職として機能しています。

一方、日本では肩書きとしてCLOを有していても、実際の権限は執行役員に近く、必ずしも大きな決定権を伴っていないのが現状です。

また、日本特有のコンセンサスドリブンな文化の影響により、役職名と実務内容との間に乖離が見られます。こうした乖離が、制度改革やデジタル施策の推進において阻害要因となっている面もあります。

そのため、CLOの役割を名実ともに強化していくことが、今後の重要な課題となります。

自動化や最適化が進む中で、これからの“人”に求められる役割についてのお考えを教えて下さい

これから求められるのは、「判断力」と「コントロール力」です。
単純作業を管理するのではなく、全体のプロセスを設計し、異常を早期に察知して改善を主導することが重要になってきます。

すなわち、単なるオペレーション担当ではなく、全体を俯瞰し、改善や改革を推進する力が必要とされるようになります。

このような観点からも、CLOの存在は今後さらに重要性を増していくと考えられます。

今後の取り組みやイベント情報があれば教えて下さい

10月には九州で自社イベントを開催するほか、来年には「リテールテックJAPAN」など大型展示会にも出展し、Google Cloudとのパートナーシップを背景に、単独ブースで最新のクラウド型ソリューションをご紹介させていただく予定です。

また、近年は大型展示会だけでなく、中小規模や地域密着型のイベントにも注力しております。
大規模展示会では皆様に幅広く情報を発信できますが、中規模のイベントでは具体的な商談や現場の声をより直接的に取り入れられる点を魅力に感じています。

これからもこうした発信の場を通じて、私たちのソリューションをより現実的に体感してもらえるよう心がけて参ります。

マンハッタン・アソシエイツ株式会社(外部リンク)

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