世界で急速にデジタル化が進む中、日本企業が今後も飛躍していくためにデジタルイノベーションは必要不可欠です。
海外ではどんどんデジタルイノベーションが取り組まれていますが、日本はまだまだ模索段階という企業が多い印象です。
そもそもデジタルイノベーションとは何か、どういったデジタル技術が自社に適しているかをしっかり理解しておかなければ、導入していけません。
そんな人のために、本記事ではデジタルイノベーションの種類と課題を解説していきます。
デジタルイノベーションとは?
デジタルイノベーションとはデジタル技術を活用して、新しい製品を開発したり革新したりすることです。
そもそもイノベーションとは技術革新、新機軸などという意味をもっています。それとデジタルを組み合わせて、新たな価値を見出して社会に変化をもたらす概念です。デジタルイノベーションが活用されると、生活の便利さや業務の効率化などあらゆる方面でより良い方向に進められます。
今よりもっと暮らしやビジネスが豊かになることでしょう。
デジタルイノベーションとDXの違い
DXはデジタルトランスフォーメーションのこといい、実はデジタルイノベーションと意味はさほど変わりません。
大きく違う部分はデジタル技術を活用して、アナログからデジタルに変革するという点です。
イノベーションは前述した通り、ビジネス業界において新しく何かを始めるきっかけのことをいいます。
一方、DXはまったく新しい発想というより今ある技術をデジタル化するというイメージです。
デジタルイノベーションの種類
デジタルイノベーションは持続的イノベーションと破壊的イノベーションに分けられます。
さらに持続的イノベーションは漸進的イノベーションと革新的イノベーションに、
破壊的イノベーションはローエンド型イノベーションと革新的イノベーションに分類。
それでは、それぞれ何が違うのか詳しくみてみます。
持続的イノベーション
今ある製品やサービスの顧客満足度をもっと上げるために革新するイノベーションです。
同じ製品だと市場において競争が始まり、より良い商品にしていかなければ顧客が取られてしまいます。
例えばAppleのiPhoneやLED電球が持続的イノベーションの代表例です。
既存の製品を改良していくことで、性能を向上させたり価格を調整していったりしていきます。
漸進的イノベーション
漸進的とは手順を経て徐々に目的を実現させるという意味があります。つまり漸進的イノベーションとは、時代の変化とともに今ある製品を少しずつ最適化させることです。
一気に変革しないため、製品が大きく変わるわけではありません。しかし、生産者が少しずる改良を進めることで着実に私たちの暮らしに根付いていくでしょう。
革新的(急進的)イノベーション
新しい方法で製品を飛躍的に向上させて、市場を大きく変革するイノベーションです。漸進的イノベーションと同じくすでに市場としては形成されていますが、今までにないやり方でさまざまなニーズに対応していきます。
ただし、革新的イノベーションを扱うのは非常に高度です。達成するには難易度が高いため、発生確率としては低いでしょう。
破壊的イノベーション
今ある製品の価値基準よりも低いものを投入し、市場を覆すイノベーションです。
固定概念にとらわれない方法で新しい製品を作り出し、市場のシェアを奪います。既存の製品を改良していく持続的イノベーションとは対極的です。
現在、日本では持続的イノベーションが過剰に行われているため、他社が次々と新たな製品を生み出すと業績が悪化する可能性があります。
そこで必要になってくるのが破壊的イノベーション。企業の急成長を遂げるため既存の市場を破壊さる、まさに革新的なイノベーションといえるでしょう。
ローエンド型イノベーション
今ある製品よりも低機能だったり、低価格だったりと劣った状態から徐々に市場の概念を覆すイノベーションです。すべての顧客に向けてというより、ニッチなターゲットへアプローチしていきます。
無人ホテルが代表的な例です。従来のホテルはコンシェルジュやホテルマンがいて、宿泊客をおもてなししてくれますが、無人ホテルは名前の通り無人です。タブレットやリモートで対応します。
既存市場で成功している高級ホテルや老舗旅館によっては、おもてなしするのが当然でリモート対応は低品質だと考えるところもあるでしょう。しかし、無人ホテルなら人件費を削減できるため、宿泊客は今までよりもリーズナブルでホテルを利用できます。
柔軟な対応を望めないこともありますが、性能がどんどん向上していくことで幅広い年齢層に受け入れられるでしょう。
新市場型イノベーション
今ある市場に新たなアイディアを持ち込み、まったく新しい価値観を創造していきます。消費者のニーズに合った場合、急速に広がることが期待できるからです。
例えば、年々ニーズが高まっているロボット掃除機。初期の段階ではロボットの吸引力やすべての掃除が終わるまでの時間が懸念され、既存企業によっては顧客の満足には応えられないのではと考えるところもあるでしょう。
しかし、実際のニーズではロボット掃除機の便利さが上回りました。家にいない間にも勝手に掃除してくれることは消費者にとって画期的だったのです。
新市場型イノベーションが引き起ると、既存企業は今までと同じ価値基準で判断するのではなく、ときには新しい見方してニーズを作り出すことができるでしょう。
デジタルイノベーションの課題
デジタルイノベーションは時代に合わせて事業を変革していくために必要です。
しかし変革の実現には課題も数多く存在しています。
システムのブラックボックス化
デジタルイノベーションにおいて、システムのレガシー化が問題となっています。
レガシーとはシステムを長期に利用することで複雑化やブラックボックス化することです。システムのプロセスが不明確になると、急なトラブルに対応できなかったりメンテナンスの負荷が増えたりする可能性が出てきます。
ツールの運用が特定の人しかできないとなると、維持コストが膨れ上がる場合も。デジタル化で得た知識や経験を共有できる人材を増やすこと大切です。
デジタル人材不足
どこの企業もデジタル人材の不足が大きな課題です。
世の中にデジタル技術が多く存在していても、それを活用できる人材が圧倒的に足りません。デジタル技術を使って実現できるビジネスモデル案を描けなければ実装までいきつかないでしょう。具体化できなければうまくデジタルイノベーションは進まなくなります。
組織の壁
デジタルイノベーションを推進するためには、会社全体が一丸となり課題を解決する意思共有が大切です。
デジタル技術の活用によってどのような利益があるのかをわかりやすく説明し、理解してもらう必要があります。会社には必ず事業部門との調整力が求められます。
デジタルイノベーションを円滑に進めるために、社内の情報共有は必須です。
まとめ
デジタルテクノロジーは世界中で駆使されている技術です。
しかし日本はデジタル化に少し遅れをとっています。
世の中には優れた技術がたくさん存在しているのにも関わらず、デジタル人材が不足しているのも原因の1つです。
会社全体でデジタルイノベーションを理解し、今後の事業に活用していくことができれば私たちの暮らしはより豊かになるでしょう。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。