カーボンニュートラルが期待される運送業!取り組みやDXについて紹介!

カーボンニュートラルが期待される運送業!取り組みやDXについて紹介!

運送業のCO2排出量について

産業部門と比較すると大きな開きはあるものの、運送部門のCO2排出量は産業部門に次ぐ
多さです。産業部門とともに、運送部門もCO2排出量削減に向けて取り組まなければいけません。ただ、運送部門はCO2排出量が年々減少傾向にあり、対策の効果が如実に表れています。

2018年度のデータになりますが、運送部門におけるCO2排出量は約2億1千万トンです。この内トラックの占める割合は約35%ほどです。残りは主に自家用車が占めていますが、トラックのCO2排出量削減への取り組みは引き続きおこなう必要があります。今よりもさらにCO2排出量を削減することで、カーボンニュートラルの達成に近付けます。

 

CO2削減に向けた運送業の主な取り組み

CO2排出量の削減に向け、運送業はさまざまな取り組みをおこなっています。それはモーダルシフト・運送網の効率化・次世代トラックの採用・バイオディーゼル燃料などです。それぞれの取り組みについて紹介します。

モーダルシフト

モーダルシフトとは、より少ない排出量の輸送機関への転換を図ることです。たとえば生産工場などから納品先などに製品を輸送する場合、これまではトラックだけで輸送するケースがスタンダードでした。ですが、トラックによる輸送はCO2排出量が多いため、転換拠点を経由して鉄道や船舶による輸送を間に挟みます。トラックによる輸送距離を短縮することで、従来よりもCO2排出量を削減できます。このモーダルシフトは、非常に大きな効果を期待されている取り組みです。

輸送網の効率化

輸送網が効率化されれば結果的に輸送距離が短縮され、CO2排出量の削減効果を見込めます。たとえば集約センターを新たに設置し、荷物をひとまとめに共同配送する取り組みがおこなわれています。これは届け先が大規模ビルなどの場合に有効的な輸送網です。

今は消費者のニーズに応えるために荷物が小口化されていますが、集約と共同配送をおこなえば対応可能です。運送部門には、輸送網の徹底的な合理化が求められています。

次世代トラックの採用

従来のトラックから次世代トラックを採用して転換を図ることでも、CO2排出量の削減は可能です。電気トラックや燃料電池トラックなどが該当します。どのようなトラックなのかを簡単に紹介します。

電気トラック

今は乗用車が電気自動車に次々と転換されていますが、それはトラックも同様です。電気トラックの環境的なメリットは、なんといってもCO2を一切排出しない点です。CO2を完全に削減するなら再エネ電力による充電が必要不可欠なので、電力確保の観点で課題を抱えているのは否定できません。ただ、その課題さえクリアできれば、運送業のCO2排出量削減に大きく貢献できます。

燃料電池トラック

燃料電池トラックは水素を燃料にして走ります。CO2を排出しないクリーンなトラックなので、普及が進むのを期待されています。ただ、現状では水素ステーションの数が限られているなど、電気トラック同様に課題を抱えています。今後課題が改善されれば、燃料電池トラックへの転換が一気に進む可能性は十分あります。

バイオディーゼル燃料

廃食用油などをリサイクルしたバイオディーゼル燃料は、軽油の代替燃料としてさらなる普及が期待されています。化石燃料などの資源を保全し、CO2排出量も削減する画期的な燃料です。

たとえば西田商運グループは、自社が保有するトラックの燃料にバイオディーゼル燃料を積極的に活用しています。この次世代をみすえた取り組みは業界で話題を呼び、第一交通産業グループへの導入が検討されるなど、企業の垣根を超えて普及が拡大しつつあります。

 

課題が山積みの運送業界

ここまで運送業のCO2削減に向けた取り組みを紹介してきましたが、実は課題が山積みになっている点も忘れてはいけません。カーボンニュートラルの難しさ・ドライバー不足・労働環境といった課題があります。どのような課題なのかを見ていきましょう。

トラックのカーボンニュートラルは難しい

運送業がトラックのカーボンニュートラルを実現するのは、口でいうほど簡単ではありません。一言にトラックといっても多種多様で、それぞれの業務ごとに用途が異なります。そのため何か1つの技術が開発されても、それですべて解決するわけではありません。トラックの特性に合ったカーボンニュートラルが求められています。

ドライバーが不足している

運送業はカーボンニュートラルにばかりに目が向きがちですが、トラックを運転するドライバー不足の課題を無視できない現状です。具体的には運送業の7割近い企業が、ドライバー不足を課題に挙げています。

しかも、トラックドライバーの高齢化も大きな不安材料です。今働いている高齢のドライバーが職を辞した後、さらに深刻なドライバー不足になることは容易に想像できます。他産業と比べて平均年齢が明らかに高いですし、非常に深刻な課題です。

ドライバーの労働環境が悪い

ドライバー不足の課題と関連しますが、ドライバーの労働環境が悪いのも見過ごせない課題です。個人宛の個別配送の荷物が急増し、ドライバーの負担は年々重くなっています。ドライバーは残業を含めた長時間労働を課せられるなど、労働環境が悪化しています。ドライバー不足を解消するには、まず労働環境の改善が必要不可欠です。

 

求められる運送業のDX

運送業を変えるために求められるのは、デジタル技術を導入するDXです。省エネ化・効率化・デジタル化をおこなうことが、運送業の改善に役立ちます。どんなDXが必要なのかを簡単に解説します。

運送の自動化・省エネ化

トラックの後続車無人隊列走行技術は、先頭を走るトラックだけが有人の隊列走行です。車間で随時通信を交わし、車間距離を保ったまま走る新技術です。

また、自動運搬船など、海上輸送の分野でも自動化が進められています。

ラストワンマイルを効率的に

運送の最後の区間を一般的にラストワンマイルと呼びますが、そこを効率化するとドライバーへの負担が軽くなります。たとえばラストワンマイルにドローンを導入したりなど、新たな方法でユーザーに荷物を届ける手段が積極的に検討されています。ラストワンマイルを効率化するには、ドローンのような新技術が不可欠です。

倉庫内作業をスムーズに

個人宛の個別配送が急増したことにより、倉庫内作業の煩雑化を招いています。スタッフの負担を軽減させるため、倉庫内作業の自動化が進んでいます。自動化することで、倉庫内作業がスムーズになります。最低限の数だけスタッフを配置すれば業務ができるため、自動化するメリットは大きいです。

ai技術を活用すれば、ピッキング作業の最適化が可能です。無駄な動きが一切なく的確なピッキングができるため、倉庫内作業を効率化できます。

運送処理のデジタル化

これまでは紙ベースの原始的な伝票を使って運送処理をおこなってきましたが、近年はそれらのデジタル化が進んでいます。運送に関する情報のやり取りをペーパーレス化することで、書類の保管や管理に割いていた手間をすべて省けます。コストの削減にもなるため一石二鳥です。

仮に倉庫で使われているすべての紙が電子化された場合、年間で数百億円もの経済効果を見込めると試算されています。紙と比較してデジタルならミスも減ってスタッフの負担を軽減できますし、運送処理をデジタル化するメリットは非常に大きいです。

 

まとめ

カーボンニュートラルが期待されている運送業の取り組みやDXについて紹介しました。運送業のCO2排出量は決して少なくないため、削減に向けてさまざまな取り組みが実施されています。モーダルシフトや、次世代トラックの採用などです。

また、運送業のDXも進んでいて、省エネ化・効率化・デジタル化がおこなわれてます。ドローン・ai・ペーパーレスなどが積極的に導入されています。運送業は課題もありますが、カーボンニュートラルの実現に向け全力で取り組んでいます。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

脱炭素・カーボンニュートラルカテゴリの最新記事