サプライチェーンを活用して脱炭素を加速!
「カーボンニュートラルを2050年までに目指す!」「脱炭素のためにエネルギーの消費を抑える」
脱炭素を目指すには、多大な労力と投資が必要になるでしょう。世界も化石燃料の代替に苦戦しています。
大企業などは多数のサプライチェーンを持ち、管理をしなければなりません。しかしサプライチェーンそれぞれで事情が異なるため、脱炭素への理解が深まっていないのが現状です。
そのため当記事では、脱炭素とサプライチェーンの取り組みに関して解説します。記事の流れは以下のとおりです。
サプライチェーンの概要
サプライチェーンが参加するメリット
サプライチェーンでの排出量の選定方法
国内のサプライチェーンの取り組み
ぜひ最後まで読んで下さい。
サプライチェーン排出量とはサプライチェーン
排出量は、事業者だけでなく事業に関わったものすべてを合計した排出量を指します。そのため製造だけでなく、原料の調達、運送、販売など川上から川下まで計上されます。
つまり運送に使われたガソリンの燃焼から発生する、二酸化炭素や販売のために使う電気などがサプライチェーン排出量に該当。
サプライチェーンの排出量の計算方法は、スコープ1から3までの合計です。計算方法からスコープの一つが低くても、一つが高ければ意味がないのがわかるでしょう。
サプライチェーン意味
サプライチェーンとは、製品の原料から部品の調達、製造、配送、販売など川上から川下までの流れを意味します。
スコープ1
スコープ1は、企業の活動から排出される温室効果ガスの排出量です。具体的には自社の設備や道具から直接排出される温室効果ガスを指しています。工業炉や発電機、製造に使われる装置、燃焼炉が挙げられます。
スコープ1の対策として、使用する装置の燃焼効率の向上や使用する回数を減らすなどの努力で解決が可能です。
スコープ2
スコープ2は事業に使用されたエネルギーの間接排出量です。装置を動かすために使う電気が主な排出源です。
そのため装置が使用する電力量を減らすために新しく買い替えるなどが有効です。
スコープ3
スコープ3は企業の事業に関連する事業者や、製品の使用者が排出している温室効果ガスの量です。
原料の調達や配送だけでなく、販売に必要なエネルギーなども含まれます。従業員の活動も含まれているため、幅広い面で対策が必要です。
対策としては原材料の輸送を頻繁に行わせない、従業員をできる限りリモートで就労させるなど多くの対策が必要になるでしょう。
サプライチェーン排出量算定するメリット
サプライチェーンの排出量を算定するメリットは以下のとおりです。
情報を開示させる
他事業者と協力してCo2を削減
有線削減対象を特定
それぞれ詳しく解説します。
情報を開示させる
サプライチェーンのメリットの1つ目は、情報を開示できる点です。情報を開示することで、排出量から企業の価値を評価がされやすくなるからです。
例えば、利益が高いけど排出量が非常に多い企業と、利益がそこそこで排出量がほとんどない企業を比較します。今までは利益が大きい企業ほど評価されてきましたが、今後は排出量で評価もされるでしょう。
将来的には排出量が大きいと、取引できる企業が大幅に減ってしまいます。
排出量の情報開示は
他事業者と協力してCo2を削減
サプライチェーン見直しによって、他業者と協力して二酸化炭素の排出を抑える連携が強化されます。排出量の低い企業をパートナーにしたい企業がこれからますます増えるでしょう。
具体的には原材料を供給する企業が排出量を減らせば、他の企業も連携先として選ばれるようになります。事業側だけでなくパートナーや下請けにとっても、新たなビジネスチャンスになるでしょう。
そのため排出量を協力して削減すると、サプライチェーンに組み込まれている企業が活性化します。
有線削減対象を特定
サプライチェーン排出量を算定するメリットの3つ目は、優先削減対象を特定できる点です。全体の排出量を明確にするため、今後の長期的な温室効果ガスの排出量削減の方法が立案できるでしょう。
それぞれのスコープで排出量の大きい順から削減すれば、目標を達成しやすくなるでしょう。
例えば製造で全体の4割の排出量を占めているとします。製造から出る温室効果ガスを半分にすれば、全体で2割の削減になります。
サプライチェーンそれぞれの排出量を明確化すれば、取り組むべき課題がわかるため目標が達成しやすいです。
サプライチェーン排出量算定方法を解説
サプライチェーンの排出量算定方法は以下のとおりです。
算定目標の設定
算定する対象項目を確認
スコープ3への取り組みの分類
各項目の算定
脱炭素化をサプライチェーンで取り組むメリット
中小企業は、大企業と連携するため、サプライチェーンとして目標に取り組むことで、さまざまなメリットが得られます。代表的なメリットは以下のとおりです。
新しいビジネスチャンス
企業の競争力と強化が見込める
新しいビジネスチャンス
世界中で脱炭素への取り組みが進められています。脱炭素に取り組むことによって、企業の価値が向上し、新しいビジネスチャンスが獲得できるかもしれません。
企業の競争力と強化が見込める
大企業は製造だけでなく、関係各所で排出される温室効果ガスの削減を求められるようになりました。中小企業で脱炭素に取り組むのはまだ少ないため、排出量を削減できると、大企業から信頼を獲得できるかもしれません。
他にも企業価値が向上し、利益率が向上するかもしれません。
国内企業の取り組みを紹介
サプライチェーン全体で見直しが求められていますが、取り組みを始めている企業はまだ少ないのが現状です。そのため当記事では取り組みに積極的な企業を3社紹介します。
トヨタ自動車
積水ハウス
セイコーエプソン
トヨタ自動車
トヨタ自動車は2050年までに、カーボンニュートラルの実現を目指しています。2021年には3%削減目標とするなど、日本全体をリードする動きの指示を出しました。
積水ハウス
積水ハウスは2009年から脱炭素に取り組んできました。二酸化炭素の半分を削減するモデルの販売や、2030年にサプライチェーンから排出量を45%削減するなど、取り組みが行われています。
セイコーエプソン
セイコーエプソンは2025年までに、温室効果ガスの排出量を200万トン減らす計画を立てています。また2023年までに、全世界の拠点で使われている電力をすべて再生可能エネルギーに切り替える方針を決定しました。
まとめ
大手企業だけでなく、サプライチェーンも協力しなければ脱炭素の達成は難しいです。サプライチェーンが協力する事によって得られるメリットは、
新しいビジネスチャンスの創出
ブランド価値の向上
です。
今後協力する企業はますます増えていくでしょう。そのときに温室効果ガスの削減でリードしておくと、他の中小企業から注目を浴びるかもしれません。
2050年にカーボンニュートラルの目標を達成するためにも、サプライチェーンの連携が必要です。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。