【2024年度最新】脱炭素に向けての企業の取り組み事例とは?

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目次

脱炭素とは何か?

脱炭素は、産業活動や日常生活における二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、最終的には排出量をゼロに近づけることを目指す環境政策の一つです。

具体的には、化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)の使用を減らし、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)への転換を進めることが含まれます。

主にCO2排出そのものを減らし、温室効果ガスの大幅な削減を目指します。

さらに、環境への直接的な負荷を軽減し、地球温暖化の進行を抑えることが目標です。

一方、「カーボンニュートラル」とは、排出される二酸化炭素を地球環境が自然に吸収できる量に抑えることで、大気中のCO2濃度の上昇を抑制しようとする考え方です。

経済活動やエネルギー利用に伴うCO2の排出を完全に無くすことは難しいため、排出されたCO2を吸収・削減することで、地球全体のCO2濃度を実質的に増やさないことが目標です。

脱炭素とカーボンニュートラルの違いとは

脱炭素:CO2排出を「直接的に削減する」ことに焦点を当てています。

カーボンニュートラル:CO2排出を「削減したり、相殺したりして全体のバランスをゼロにする」ことを目指しています。

脱炭素はより排出を減らす直接的なアプローチであるのに対して、カーボンニュートラルは排出後の相殺も許容するという点で異なります。

両者は共通の目標である気候変動対策に向けた重要なアプローチですが、脱炭素はCO2の排出量そのものを減らすことに注力し、カーボンニュートラルは排出されたCO2の相殺を含む総合的なバランスに注力しています。

多くの企業がこれらの目標に向けた取り組みを進めており、具体的な事例として再生可能エネルギーの導入拡大や、環境に優しい製品の開発が挙げられます。

脱炭素の具体的な取り組みとは

企業による脱炭素への取り組みは、地球温暖化防止と環境持続可能性の向上を目的としています。ここでは、脱炭素に向けた企業の具体的なアクションをいくつか紹介します。

再生可能エネルギーへの転換

多くの企業が、化石燃料に依存するエネルギー供給から、風力や太陽光といった再生可能エネルギーへの転換を進めています。これにより、運用中の化石燃料の使用を減らし、CO2の排出を大幅に削減できます。

エネルギー効率の改善

製造工程やオフィスのエネルギー効率を向上させるための技術投資が行われています。例えば、LED照明への置き換えや、高効率の暖房冷房システムなど省エネ性能が高い家電製品の使用を促進や、電力消費をリアルタイムで最適化するスマートグリッド技術が導入が挙げられます。

電動車(EV)および燃料電池車(FCV)の普及

輸送部門でのCO2排出を削減するために、ガソリン車から電動車や燃料電池車へのシフトが進められています。

例えば、テスラは、電動車市場をリードしており、多くの消費者がガソリン車からEVに乗り換える動きを促しています。また、日本やドイツでは、水素ステーションを設置し、水素を燃料とするFCVのためのインフラ整備が進んでいます。

製品ライフサイクルの最適化

製品設計から廃棄までのライフサイクル全体でのCO2排出量を抑えるため、より持続可能な材料の使用やリサイクル可能な製品設計が推進されています。

都市とインフラの脱炭素化

都市計画やインフラの設計において、持続可能性を考慮することが重要です。カーボンニュートラルを目指した都市開発、公共交通機関の整備、グリーンビルディングの推進が進められています。

例えば、スマートシティは、再生可能エネルギーと効率的なインフラを組み合わせた持続可能な都市モデルであり、世界中でプロジェクトが進行中です。

これらの取り組みは、企業が環境責任を果たすと同時に、新たな市場機会を創出し、持続可能なビジネスモデルへの転換を加速させることを目指しています。

カーボンニュートラルの具体的な取り組みとは

CO2排出の削減および相殺を通じて、最終的にCO2排出量を実質ゼロにすることを目指しています。以下に、カーボンニュートラルを達成するための具体的な取り組みを紹介します。

カーボンオフセット

企業や個人が排出したCO2を他の手段で相殺することを目的としたカーボンオフセットは、カーボンニュートラルの重要な手段です。

例えば、企業が森林保護や再植林プロジェクトに投資し、これにより吸収されるCO2で自社の排出を相殺する「森林プロジェクト」や企業が再生可能エネルギー発電プロジェクトに投資し、その電力をカーボンオフセットクレジットとして使用する取り組みが行われています。

カーボンキャプチャー・ストレージ(CCS)

CO2排出を完全にゼロにすることが難しい産業では、CCS技術が重要です。CCS技術とは、排出されたCO2を捕捉し、地下などに安全に貯蔵する技術です。

例えば、製鉄所や化学工場でCCS技術が導入され、排出されるCO2を回収して地中に貯蔵する取り組みが進んでいます。

2024年最新!企業による脱炭素の取り組み

企業による脱炭素の取り組みは、持続可能な経済活動を実現するために重要な役割を果たしています。以下に、いくつかの企業が実施している具体的な脱炭素の取り組み事例を紹介します。

トヨタ自動車

トヨタは、2050年までに自動車製造から廃棄に至るまでの全ライフサイクルでカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

トヨタは、ハイブリッド車(HV)、電動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの環境負荷が少ない車両を積極的に開発・普及させています。特に、燃料電池車「ミライ」は水素エネルギーを活用し、走行中にCO2を排出しない点で注目されています。

また、製造工程でのエネルギー使用を最適化するために、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上を進めています。また、工場全体でのCO2排出削減に向けた取り組みも推進しています。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイグループは、「GREEN CHALLENGE 2050」という環境宣言を掲げており、2050年までに店舗運営に伴うCO2排出量を80%削減する目標を持っています。

資源を有効に活用する循環経済社会を目指すべき社会の姿と考え、お客様・お取引先様と連携して、廃棄物の削減、資源の店頭回収・リサイクルの推進、再生素材の活用などに取り組んでいます。

また、オリジナル商品の容器に環境配慮型素材を100%使用し、食品廃棄物のリサイクル率を100%にすることを目指しています。

東芝

「環境未来ビジョン2050」を策定し、2030年までに2019年度比で温室効果ガス排出量を70%削減、2050年までには、温室効果ガス削減に貢献する商品やサービスの創出など、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する予定です。

⽔⼒・地熱・太陽光・⾵⼒などの再⽣可能エネルギー、直流送電などを始めとした系統技術開発や、再生エネルギーの割合が増えた際に電力の需給バランスを取る必要がありますが、このバランスを取る上で欠かせないVPPによる制御技術、⽔素・CO2分離回収技術の適⽤などを進めています。発電時にCO2を「排出しない・抑制する」「回収・活⽤する」、エネルギーを「調整する」ことを⽬的に、エネルギーに関するあらゆる分野で幅広く製品・技術サービスを提供しています。

三井不動産

2030年度までに40%、2050年度までには温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を設定しています。これを達成するために、新築・既存物件の環境性能向上や再生可能エネルギー活用・電力グリーン化、メガソーラーの拡大、建築時の排出量削減などに取り組んでいます。

東京ガス

東京ガスは、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための長期ビジョン「カーボンニュートラルビジョン2050」を発表しています。

天然ガスに代わる低炭素エネルギーとして、水素とバイオガスの利用を推進しており、これにより、ガス供給におけるCO2排出の削減を目指しています。

また、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー事業を強化しており、これにより供給エネルギー全体のカーボンフットプリントを削減しています。

味の素グループ

味の素は、サプライチェーン全体で2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を持っています。RE100への参画や、川崎市の産業エリアのカーボンニュートラルプロジェクトへの参画など、天然ガスやバイオマスなど、温室効果ガス(GHG)排出係数が低い燃料への転換や再生可能エネルギー(電力)の調達、イノベーションによる新技術・新製法の導入を積極的に進めています。

今後は国内外の拠点でさらに加速させ、2030年に「環境負荷50%削減」というアウトカムを実現し、2050年度までにサプライチェーン排出量全体でのカーボンニュートラルを目指していきます。

Apple

アップルは、2030年までにサプライチェーンと製品ライフサイクル全体でカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

アップルは、自社のサプライチェーン全体で再生可能エネルギーの使用を拡大しており、同社の製造パートナーの約70%が、アップル製品の生産に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーから調達しています。これによりサプライチェーンの脱炭素化を目指しています。

また、同社は、リサイクル材料の使用を拡大し、iPhoneやMacBookなどの製品に使用される素材の多くをリサイクル可能にしています。また、再生アルミニウムやリサイクルレアメタルの使用も推進しています。

Amazon

アマゾンは、「Climate Pledge」を立ち上げ、2040年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

アマゾンは、電動配送車の導入を進めており、2022年には電動車両100,000台を発注しました。また、サプライチェーン全体でのエネルギー効率の向上と、再生可能エネルギーの導入を推進し、輸送と物流の脱炭素化を目指しています。

また、太陽光発電や風力発電プロジェクトに積極的に投資しており、2025年までに事業全体で使用するエネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄う計画です。

個人ができる脱炭素アクション

地球温暖化の防止に向けて、企業だけでなく個人も積極的に脱炭素に貢献することが求められています。ここでは、一人ひとりが日常生活で実践できる脱炭素アクションをいくつか紹介します。

省エネ行動の実践

電気の使用を意識し、必要ないときは照明や電子機器の電源をオフにする。エアコンの設定温度を適切に保ち、断熱効果の高いカーテンや窓用フィルムを利用してエネルギー消費を抑えることが有効です。

公共交通の利用とカーシェアリング

自動車の使用を控え、公共交通機関を利用することで、一人当たりのCO2排出量を減らすことができます。また、カーシェアリングの利用も、所有する車の数を減らし、環境への負荷を軽減します。

再生可能エネルギーの支援

電力会社が提供する緑の電力プランに加入することで、再生可能エネルギーの普及を支援し、化石燃料に依存しない社会の構築に貢献します。

食生活の見直し

肉類の消費を減らし、地元で生産される旬の野菜や果物を積極的に選ぶことで、食品の輸送に伴うCO2排出を削減できます。また、食品廃棄を減らすことも大切です。

リサイクルとアップサイクルの推進

使用済みの製品を適切にリサイクルすることで、新たな資源の採掘や加工に必要なエネルギー消費を減らすことができます。また、不要になった物を新しい用途に活用するアップサイクルも、資源の有効利用につながります。

 

これらのアクションは、一見小さなものかもしれませんが、多くの人々が実践することで大きな効果を発揮します。個人の行動一つ一つが、地球環境へのポジティブな影響をもたらし、持続可能な未来への大きな一歩となるのです。

脱炭素のメリットと課題

脱炭素への取り組みは、企業にとって多くのメリットをもたらす一方で、いくつかの課題も伴います。これらの要素を理解することは、効果的な環境戦略の策定に不可欠です。

企業の脱炭素化のメリット

ブランド価値の向上

環境意識が高い消費者にとって、持続可能な活動を行う企業は魅力的です。脱炭素を進めることで、企業の社会的責任(CSR)が強化され、ブランドの信頼性が増します。

また、投資家からの評価も上がる可能性があります。脱炭素はESG(環境・社会・ガバナンス)投資の重要な要素です。環境に配慮した企業は、持続可能な成長を目指す投資家からの評価が高くなり、資金調達がしやすくなります。

運用コストの削減

再生可能エネルギーへの転換やエネルギー効率の改善は、長期的には運用コストを削減することができます。初期投資の回収後は、低コストでエネルギーを供給できるようになります。

イノベーションの促進

脱炭素を目指す過程で、新しいエネルギー効率技術や製造プロセスが開発され、イノベーションが促進されます。これにより、企業は新たな市場機会を獲得することができます。

企業の脱炭素化の課題

高額な初期投資

脱炭素技術への切り替えには、しばしば高額な初期投資が必要です。特に小規模な企業にとっては、これが大きな障壁となることがあります。

技術的なハードル

最新の脱炭素技術は、導入や運用に高度な技術を要求する場合があります。適切な技術力を有する人材の確保や育成が必要となります。

技術力にも限界があり、現在利用可能な技術では、すべての産業や業務プロセスで脱炭素を完全に達成することは難しいと言われています。例えば、重工業や航空業界などでは、代替燃料や効率的な技術の開発がまだ進んでおらず、完全な脱炭素が難しいとされています。

サプライチェーンの対応

脱炭素には、企業自身だけでなく、サプライチェーン全体での協力が必要です。しかし、サプライヤーやパートナー企業が同じレベルで取り組みを進めていない場合、全体としての脱炭素が進まない可能性があります。

規制と政策の不確実性

環境政策や規制は国や地域によって大きく異なり、しばしば変更されます。この不確実性は、長期的な投資計画を立てる上でのリスクとなり得ます。

企業が脱炭素に取り組むことで、ブランドイメージの向上やコスト削減、イノベーションの促進などの多くのメリットがありますが、同時に初期投資の負担や技術的な制約、サプライチェーン全体での対応などの課題も存在します。これらの課題に対処しながら、持続可能な成長を目指すことが、今後の企業の重要な戦略となるでしょう。

新しいビジネスチャンスと市場の創出

脱炭素化は環境保護の一環としてのみならず、企業にとって新たなビジネスチャンスと市場の創出の機会ともなっています。これにより、企業は持続可能な成長を遂げると共に、新しい顧客層を開拓することが可能になります。

低炭素技術と新製品の開発

企業が脱炭素化を目指す中で、低炭素技術の開発や新製品の創出が加速しています。

例えば、自動車業界では、脱炭素を推進するため、電動車や燃料電池車の開発が進んでいます。これに伴い、バッテリー技術や水素インフラの市場が急速に拡大しています。

また、建設業界では、カーボンニュートラルな建築物の需要が高まっており、これに応じて、低炭素コンクリートやリサイクル材の市場が拡大し、サプライチェーン全体でのCO2排出削減が促進されています。

循環型経済とリサイクル市場の発展

脱炭素化に向けた取り組みの一環として、製品ライフサイクル全体を見直し、循環型経済の実現を目指す動きが広がっています。

使用済み製品の部品を再利用したり、リサイクル素材を新たな製品に使用することで、企業は資源効率を高めつつ、CO2排出を削減できます。パナソニックやトヨタなどの大手企業も、リサイクル技術の開発に注力しています。

また、自動車のカーシェアリングやオフィススペースのシェアリングなど、モノの所有から共有へとシフトする動きが、脱炭素戦略と相まって進んでおり、リソースの有効活用とCO2排出削減を両立させる新しいビジネスモデルとして注目されています。

サプライチェーンの脱炭素化による新市場の開拓

CO2排出を追跡・削減するためのサービスやツールの市場が成長しており、これにより、サプライチェーン全体の透明性が向上し、企業はより持続可能な調達や製造プロセスを採用することができるでしょう。

また、製品やサービスのカーボンフットプリントを計測し、削減するためのソリューションを提供する企業も増加しています。これらのツールは、企業が脱炭素目標を達成するために必要なデータを提供し、新しい市場を形成しています。

グリーンファイナンスとESG投資の拡大

金融機関や投資家は、環境に配慮したプロジェクトや企業に資金を提供することで、グリーンファイナンス市場を形成しています。

再生可能エネルギーやエネルギー効率化プロジェクトの資金調達に使われるグリーンボンドは、投資家にとって魅力的な投資対象となっており、金融機関も、環境・社会的に持続可能なプロジェクトへの融資を拡大しています。このようなファイナンス商品は、企業が脱炭素化プロジェクトを進める際の重要な資金源となります。

 

企業の脱炭素戦略は、単なる環境対策にとどまらず、新しいビジネスチャンスや市場を創出する大きな原動力となっています。再生可能エネルギーの導入、低炭素技術の開発、循環型経済の促進、そしてサプライチェーン全体での脱炭素化は、これからのビジネス環境を大きく変革し、持続可能な成長を可能にする新たな機会を提供しています。企業がこれらのチャンスをいかに活用するかが、今後の競争力の鍵となるでしょう。

まとめ

2024年度の企業による脱炭素取り組みは、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の最適化、持続可能なサプライチェーンの構築などを通じて進められています。

これらのアクションは、企業の運用コスト削減、ブランド価値の向上、新市場の開拓に寄与するとともに、脱炭素化に必要な技術的・財政的な課題にも直面しています。

持続可能なビジネスモデルへの移行を促し、環境への影響を最小化することを目指します。

 

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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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