気候変動対策に有効な脱炭素についてわかりやすく解説

気候変動対策に有効な脱炭素についてわかりやすく解説

現在、気候変動による災害が世界中で多発しています。災害による危機を食い止めるために有効なのは脱炭素化に向けての取り組みです。今回は、気候変動対策に有効な脱炭素についてわかりやすく解説していきます。

 

脱炭素とは?

世界中が目指している脱炭素と脱炭素社会とはどういうものでしょうか。ここからは脱炭素の意味と脱炭素社会の概念について説明します。

脱炭素の意味

脱炭素とは、温室効果ガスの排出量をゼロにすることです。実際に温室効果ガスをまったく排出しないという意味ではありません。化石燃料を燃やす時に出る温室効果ガスの排出量を減らして、森林管理などによる温室効果ガスの吸収量と同量にすることで、排出量を実質ゼロにするという定義です。脱炭素はカーボンニュートラルとも呼ばれています。

脱炭素社会を解説

脱炭素社会とは、脱炭素化を目指して取り組んでいる社会のことです。2015年12月のパリ協定で、温暖化対策のために世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑える努力を追求することに決定しました。気温上昇を1.5℃に抑えるためには2050年までに世界中で脱炭素化する必要があります。そのため、現在120以上の国と地域が2050年までの脱炭素社会を実現する目標を立てています。

 

世界中でなぜ脱炭素化するのか?

世界中で脱炭素化を目指しているのは、なぜでしょうか?2つの主な理由について説明します。

地球温暖化からくる気候変動対策

世界中で脱炭素化を目指している理由の1つは、気候変動対策が必要だからです。地球全体で海面上昇、酸性化、干ばつ、森林火災などの大規模な自然災害が起こっています。自然災害を引き起こしている原因は温室効果ガスの増加による地球温暖化です。温室効果ガスが排出されて地球を覆うと、太陽から到達する熱が地球の中に閉じ込められます。温室効果ガスは石炭・石油・天然ガスの化石燃料を燃やすと排出されるので、地球温暖化を防ぐためには化石燃料ではなく再生可能エネルギーを利用して脱炭素化する必要があるのです。太陽光・風力などの再生可能エネルギーは、温室効果ガスや汚染物質を排出しません。環境にやさしいエネルギーの利用は、地球と地球に住む私たち人間にとって必要なことです。

化石燃料が有限なため

脱炭素化を目指す2つめの理由は、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料は有限だからです。化石燃料が今後採掘可能と予想される期間を可採年数といいます。2019年末時点の化石燃料の可採年数は、石炭は132年、石油は50年、天然ガスは49.8年といわれています。

世界のエネルギー需要量は増加しているので、現状のままでは世界で利用する分のエネルギー量を化石燃料だけでまかなうことは困難です。
脱炭素化で利用する再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱などの非化石エネルギーです。再生可能エネルギーは枯渇せず永続的に利用できるので、世界中で脱炭素化への取り組みが進んでいます。

 

日本が掲げる脱炭素化目標

世界が脱炭素化について動き出している今、日本では脱炭素化に向けてどのような目標を立てているのでしょうか。

日本では、2050年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指す「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。2030年までに、温室効果ガスの排出量を2013年度に比べて46%削減することが目標です。さらに削減率50%に向けて挑戦し続けることを表明しています。

国は2025年までに政策を総動員して、脱炭素化への集中期間と定めています。全国で100箇所以上の脱炭素先行地域を設定し、2030年までに全国へ取り組みを広げて温室効果ガスの排出量ゼロを実現する目標です。

 

日本の気候変動対策

気候変動に対する日本の主な対策として、国は地球温暖化対策・エネルギー政策の見直しと、グリーン社会の実現を目指しています。それぞれの概要とポイントについて解説します。

地球温暖化対策・エネルギー政策の見直し

地球温暖化対策の計画見直しと同時に、エネルギー政策の見直しも検討されています。気候変動対策に対して脱炭素化の内容を盛り込んだ法律と、3つのポイントについて説明します。

地球温暖化対策推進法とは

地球温暖化対策推進法は、1999年に成立した法律です。脱炭素社会実現に向けた内容を織り込んだものが2021年3月に閣議決定されました。

日本では、2050年までの脱炭素社会実現を目指す「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。地球温暖化対策推進法に脱炭素化の項目を明記するのは、政策の継続性と予見性を高める目的です。地域の再生可能エネルギーを活用した取り組みや、企業の脱炭素経営の促進を図っています。

2021年に追加された項目として、企業の温室効果ガス排出量のデジタル化・オープンデータ化を推進する仕組みがあります。

3つのポイント

地球温暖化対策推進法の3つのポイントは下記の通りです。

パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言を踏まえた基本理念の新設
地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設
脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等

引用元:環境省「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」2021年3月2日

地球温暖化対策推進法は、2050年カーボンニュートラル宣言を基本理念として位置付けています。国民、地方公共団体、事業者の取り組みを促進するためです。

また、地方公共団体の実行計画に脱炭素化事業の目標を追加しました。地方公共団体が脱炭素化の促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針を定める努力をするように記載されています。地方公共団体の地域脱炭素促進事業実行計画に記載された事業は、関係する法令の手続きがワンストップ化できる特例を受けられます。

また、企業の温室効果ガス排出量に関する算定・報告・公表制度を電子システムで報告することを原則化しました。事業所ごとの温室効果ガス排出量情報についても、開示請求なしで公表される仕組みになりました。

 

グリーン社会の実現

国は地球温暖化対策としてグリーン社会の実現を目指しています。ここからはグリーン社会の概要について解説します。

グリーン社会とは

グリーン社会とは、従来の化石燃料に頼った社会ではなく、グリーンエネルギーにシフトして脱炭素化を目指す社会のことです。グリーンエネルギーには、太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーと、蓄電池などを利用した省エネルギーの2つがあります。

国は2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を実施しています。グリーン成長戦略では、地球温暖化対策と経済の好循環を作っていく産業政策のことです。

今までは地球温暖化対策を行うと経済成長に制約がかかる、コストがかかるという考え方でした。従来の発想を転換し、地球温暖化対策は経済成長の機会と捉えています。再生可能エネルギーを最大限導入して、洋上風力・蓄電池産業を成長分野にすることを目標としています。水素発電のコストも低減し、水素産業を創出する計画です。また、火力発電では排出された二酸化炭素を地中に貯めるCO2回収という方法が推進されています。

まとめ

今回は、気候変動対策に有効な脱炭素についてわかりやすく解説しました。地球温暖化対策のため、世界中で2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。日本でも、脱炭素の内容を地球温暖化対策推進法に織り込み、積極的に活動しています。地球温暖化の仕組みや脱炭素について知り、私たちが個人でできることにも目を向けてみましょう。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

脱炭素・カーボンニュートラルカテゴリの最新記事