機械学習とは、機械にさまざまなデータを読み込ませ何度も学習することで特定のパターンを発見し、分類や予測が可能なアルゴリズムを自動的に作るテクノロジーのことです。入力データは多種多様で、画像・音声・言語などが代表的です。
機械学習を有効活用することで、さまざまな課題が解決します。たとえば企業が来店客の数や動向を予測して売上を伸ばしたり、人がしていた作業をaiに置き換えてコスト削減を図ったりなどです。他にも精度の高い検品の実現によって出荷する製品の質を高めたり、監視や管理に機械学習を役立てているケースもあります。このようにさまざまな課題の解決を見込めるため、今とても注目を集めているテクノロジーです。
機械学習搭載アプリに用いられているテクノロジー
機械学習搭載アプリには、用途ごとにさまざまなテクノロジーが用いられています。たとえば音声認識・言語処理・画像処理などが代表的です。どのようなテクノロジーなのかを、それぞれ簡単に紹介します。
音声を認識する
音声の認識は、すでにおなじみの機能だといえます。音声データを認識して処理を実行し、さまざまな出力結果を出します。音声はマイクなどの集音機器を通して認識するのが一般的ですが、ノイズキャンセリングや音波の解析などで認識するケースもあります。
音声認識の正確性は音声認識辞書次第ですが、機械学習の質が向上したことで音声認識辞書の質も向上しました。ディスカッションやインタビューの会話内容をオートで文字起こしするなど、有効活用されるシーンが多くなってきています。
言語を処理する
音声認識と同様に言語処理機能も、機械学習搭載アプリですでに定着した機能だといえるでしょう。人の話す言語を正確に処理する機能です。高度なアプリなら、実際に人と話している感覚とほぼ変わらない精度のコミュニケーションも可能です。
言語処理のキーポイントは、膨大な言語データを事前に機械学習させることです。言語データが多ければ多いほど、言語解析の精度も向上します。人が話す言葉はあいまいさを含むため、正確に処理するには膨大な言語データの機械学習が必要不可欠です。
画像を認識する
入力画像のパターンを解析し、いったい何が映っているのかを認識する機能です。これまでもバーコードの読み取りをはじめとした構造が単純な画像認識はおこなわれてきましたが、今では人の顔に代表される複雑な構造の画像認識も問題なくできるようになりました。
この点にも質の高い機械学習が活用されています。人の顔の場合、膨大な顔写真データを学習させます。学習で人の顔のさまざまな法則を発見することで、正しい出力結果を導き出します。
機械学習搭載アプリの成功事例7選
それでは実際にどんな機械学習搭載アプリが成功しているのかを紹介します。数あるアプリの中から7つを厳選しました。どれも機械学習が有効的に活用されています。SNOWのように大ブームを巻き起こしたアプリも、実は機械学習が深く関係しています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
SNOW
スマホのカメラで撮影した画像を自動的に認識し、選択されたフィルターによって加工や合成などがおこなえる画像認識機能が搭載されたアプリです。いとも簡単に加工や合成ができるとあり、若い世代の女性を中心に大ブームを巻き起こしました。また、運営元はSNOW以外にも機械学習搭載アプリを提供しており、業界をリードする存在となっています。
SELF
機械学習を搭載したaiとコミュニケーションを取ることで、メンタルケアや自己分析ができる画期的なアプリです。情報検索aiなど実務的なaiがある一方で、イケメン・美少女・猫などといったエンタメ性に富んだaiもあるのが特徴です。また、企業向けサービスのSELFTALKも提供しています。コミュニケーションに特化した機械学習搭載アプリです。
SANTA TOEIC
TOEICの名称から推測できる通り、英語学習をサポートするアプリです。50万を超える学習データを読み込んだアプリが、個人に合ったカリキュラムを構築します。最適なカリキュラム通りに学習を進めることで、それほど時間を費やすことなくTOEICのスコア上昇を期待できます。
利用したユーザーの平均スコアがアップしているので、その効果は十分実証されているといえるでしょう。しかも、本試験の点数を想定してくれるのであとどれぐらい学習すれば良いのかわかりやすいですし、TOEICのスコアを伸ばしたい人から注目されています。
ロープレAI
営業スタッフの業務効率化が図れるアプリです。営業の様子をaiが評価し、至らない点があれば指導が入ります。その指導を参考に営業を改善させることで、より質の高い営業が可能になります。
評価の対象は、営業スタッフの表情、身振り手振り、話すスピード、わかりやすさなどです。aiがサポートしてくれるので苦手な点を修正しやすいですし、繰り返し練習することで営業スキルが自然と身につきます。このアプリを搭載したスマホ5万台が、営業スタッフ向けに支給されました。営業にaiを本格的に取り入れた代表的な例です。
emol
人の感情や心理をコントロールするのに役立つアプリです。どの瞬間にどんな感情を抱いたのかが記録されます。記録されることで、自身の感情の変化や揺れ動きが客観的にわかります。
フリートークができるチャットモードはもちろんのこと、合計6種類ものさまざまな会話パターンが用意されています。目的や用途ごとに、会話パターンを切り替えられます。人の心にフォーカスした画期的なアプリです。
conomeal
冷凍食品で有名なニチレイが開発した、ユーザーの好みに合う献立を提案するアプリです。食への考え方や嗜好などさまざまなファクターをもとに、最適な献立を知らせます。どんな食材を購入したのかの履歴だけに限らず、心理的なファクターも献立に取り入れているのが斬新な点です。
MOV
DeNAが提供するタクシー配車アプリです。タクシーに対する需要を予測し、利用者が多くいる場所へとドライバーを誘導します。利用者を誰も乗車させていない空車の時間を短くできますし、必然的に売上アップにもつながります。
今後の機械学習搭載アプリに期待できること
今後リリースされる機械学習搭載アプリには、いろいろなことが期待できます。漫画作品の翻訳のスピードアップ、VR環境の有効活用、文章の画像化などが見込まれています。いったいどう期待できるのかを、それぞれ確認していきましょう。
翻訳作業のスピードアップ
日本の漫画は国内のみならず海外でも絶大な人気を誇りますが、これまでは翻訳作業に時間がかかっていました。海外市場に流通するまでが遅いため、海賊版が流通してしまうのを許していました。ですが、ai搭載の自動翻訳サービスの登場で、翻訳作業のスピードがアップしました。海外でも関係なく作品がすぐに流通しますし、海賊版の拡大抑止効果も見込まれています。
VR環境での試着が充実する
ディープフェイクの技術が向上すれば、VR環境での試着が充実します。ユーザーが実際に服を試着しなくても、どんな着こなしになるかをチェックできます。着せ替える時間を短縮できますし、試着の手間も省けます。
文章を自動で画像化
文章を音声化する技術は着実に進んでいますが、さらに一歩先を行くのが文章の画像化です。文章からイラストを生成したり写真を加工した画像を生成したりなど、さまざまな可能性を期待されています。
まとめ
今急速に普及している、機械学習搭載アプリに関する情報を紹介しました。SNOWをはじめすでにさまざまな成功事例がありますし、今後にももちろん期待できます。機械学習搭載アプリは、音声認識・言語処理・画像処理などが得意です。社会課題を解決したり人を楽しませたりなど、今後さらにサービスは拡大する見込みです。新たにリリースされる機械学習搭載アプリに注目していきましょう。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。