ディープラーニングによるシステム開発とは?開発工程やメリットも紹介!

ディープラーニングによるシステム開発とは?開発工程やメリットも紹介!

人に限りなく近い学習方法を繰り返して進化するディープラーニング。

今やシステム開発にも取り入れられ、専門性の高いディープラーニング技術を有するシステム開発会社も多く設立されています。しかし、ディープラーニングがどのようにシステム開発に関わっているのかを知る方は、少ないのではないでしょうか。

今回は、ディープラーニングによるシステム開発を解説します。また、開発工程やメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは、ディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習方法であり、AIの進化を支える技術のことです。人の脳神経回路を参考にして作られたニューラルネットワークの中間層(※)を、何百と多層構造にして、情報に含まれる特徴をより深く探ることを可能にしています。

(※)ニューラルネットワークは「入力層・中間層・出力層」から構成されています。

ディープラーニングの重要性

ディープラーニングが重要視されているのは、主に以下の2点です。この点において、従来の機械学習と区別されます。

・十分なデータがあれば、今までは不可能だった複雑なデータの処理が可能
・人の力を必要とせず、AI自身が試行錯誤して学習を深めていく

ディープラーニングは、従来の機械学習では不可能だった分野での活用が期待されています。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングの能力を引き出す代表的な仕組みには、「CNN」と「RNN」があります。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

CNNとは、何百とある中間層を利用して、入力された画像・物体データからより詳細な特徴を「自動的に」抽出する仕組みのことです。主に画像や物体の認識に活用されます。

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)

RNNとは、時系列データ(時間の経過とともに値が変化していくデータ)を解析し、双方向に信号を伝播させる特徴をもつ仕組みです。主に音声認識、動画認識、自然言語処理に活用されます。

ディープラーニングの活用例

ここでは、ディープラーニングの活用例を紹介します。ディープラーニングの能力を最大限に活用するには、大量のデータ(ビッグデータ)と高性能なGPU(計算処理に特化したチップ)が必須です。

自動運転分野

自動運転の開発では、信号や標識の認識、歩行者や衝突回避対象の検知などにおいて、ディープラーニングの画像・物体認識の技術が活用されています。AIの機能を搭載したカメラやセンサーにより、人の目では見逃してしまったり、危険と判断できなかったりする情報の的確な処理が期待されています。

安全な交通手段を一刻も早く実用化するためにも、「不完全知覚問題」「切り替え問題」「トロッコ問題」など、自動運転におけるAIの課題の早期解決が求められています。

医療分野

近年の医療分野における人手不足は、過労による医療ミスや医師自身の健康被害など、多くの問題を発生させています。

参照:医師の過重労働とその背景並びに医療体制に及ぼす影響

この問題を解決する手段の1つとして、ディープラーニングによるAIが多くの医療現場で活用されています。

以下に示すものが、医療へのディープラーニングの主な活用例です。

・画像認識によるがん細胞など病床の早期発見:人間の医師では見逃しがちな小さな病変を発見
・ゲノム解析による疾病診断:悪性遺伝子情報を検出し、治療法を提案
・医療機器への組み込みによる自動診断システム:「AI聴診器」「採血ロボット」など
・既存の薬の分子構造を分析した新薬発見のプロセスの短縮化
・AIロボットによる手術支援

ディープラーニングの活用は、医師・患者ともに大きなメリットをもたらします。しかしAIの急激な進歩に法制度が追いついていないという問題点も存在します。そのためAIは、いまだに医師の補助としての活用事例しかありません。医療分野へのAIの本格的な活用のためにも、迅速な法制度の整備が望まれています。

 

システム開発工程を紹介

ここではシステムの開発工程を紹介します。ディープラーニングを活用したシステム開発でも、従来の開発工程と特に変わりはありません。では、見ていきましょう。

要件定義

要件定義とは、どのようなシステムをどんな手法を用いて作っていくのかを決めていく過程のことです。要件定義があやふやなままでは、システム開発はうまくいきません。システム開発会社に依頼している場合でも、クライアントは明確なイメージを伝える必要があります。

開発方針の決定

開発方針として決定するものには、「開発の目的」「開発手法」「開発予算や納期」があります。予算や納期によるトラブルは、システム開発を失敗させる大きな原因になりやすいので、特に注意が必要です。

開発メリットの検討

開発方針が決まったら、次は「システムを自社で開発するか、外部に発注するか」や「どの開発方式を採用するか(パッケージ開発、スクラッチ開発など)」など、開発におけるメリットやデメリットを検討します。

設計

設計は「外部設計」と「内部設計」から成り立ちます。

外部設計

外部設計とは、要件定義をもとにシステムの仕様を決定することです。

ハードウェアの構成やソフトウェアの機能、プラットフォームや開発言語の選択など、システム全体の構造を設計していきます。モジュール単位でのレイアウトやインターフェースの仕様もこの段階で設計されます。

システムの使い勝手やユーザー満足度に直接影響する大切な設計であり、通常はエンジニアが作成した設計書をクライアントが確認し、検討します。

内部設計

内部設計とは、外部設計の内容をもとに、搭載する機能を設計することです。搭載する機能はモジュールごとに分割され、各モジュールの機能を明確化するために「機能仕様書」「データフロー図」などの資料が作成されます。

クライアントからは見えない部分となるため、通常は開発担当者の判断で設計されていきます。

開発(プログラミング)

開発とは、エンジニアやプログラマーが、内部設計に基づいてプログラミングを実行していくことです。数多く存在するプログラミング言語から、設定した内部設計に最適なものを選択し、プログラムが実行されます。

運用前テスト

運用前テストには、「ユニットテスト」と「運用テスト」があります。どのような違いがあるのか、それぞれを見ていきましょう。

ユニットテスト

ユニットテストとは、不具合の発見と修正を繰り返してプログラムを完成させていくことです。モジュール単位のテストから複数のモジュールを組み合わせたテストへ、そしてシステム全体のテストへと進みます。

運用テスト

運用テストとは、実際の業務を想定しながら行われるテストのことであり、リリースする前の最終工程です。

主に以下のような内容を確認します。

・全ての機能が正常に稼働するか
・クライアントの要望は満たしているか
・ユーザーが誤操作しそうな仕様になっていないか

リリース

リリースとは、開発が外注されている場合において、完成したシステムをクライアントに納品することです。リリースする際に注意しなければならないのは、旧システムが存在する場合です。この場合は、システム移行によって発生するトラブルを予想した「移行手順書」を作成します。

運用・メンテナンス

運用・メンテナンスとは、システムが安定・継続して稼働できるように、不具合や障害などの原因を取り除き、必要なアップデートなどを行うことです。
作業内容としては、主に以下のようなものがあてはまります。

・稼働状況の監視
・データの定期的なバックアップ
・ソフトウェアのアップデート、パッチの適用
・脆弱性に対するセキュリティ対応
・定期的なメンテナンス

ディープラーニングによるシステム開発のメリット

ディープラーニングによるシステム開発には、その特性を活かしたいくつかのメリットがあります。

さまざまなビジネスアイデアを実現可能にする

ディープラーニングは、さまざまなビジネスアイデアを実現するシステムの構築を可能にします。従来のシステムに比べて、主に以下のようなことが可能です。

・需要と供給をマッチングする
・中間業者を通さずに消費者と直接取り引きする
・自動化や無人化を実現する
・個人の好みに合わせた製品・サービスを提供する
・あらゆるもののシェアを可能にする
・オンライン化を進展させる
・異業種とのデータの共有を可能にする

ディープラーニングを活用してシステムを開発する際には、以上のようなことをビジネスアイデアとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

学習や認識処理の時間・手間を短縮する

ディープラーニングは、膨大な画像や動画、IoT機器から収集したビッグデータなどをAIテクノロジーを活用して迅速に分析し、システム開発における学習や認識処理の時間・手間を短縮してくれます。

要件定義に特化したプログラム開発を実現する

さまざまな分野への応用が可能なディープラーニングは、要件定義に特化したプログラム開発を可能にし、クライアントが思い描くシステムの構築を実現します。

 

ディープラーニングによるシステム開発に必要なもの

ここではディープラーニングによるシステム開発に必要なものを紹介します。その多くが、専門のエンジニアを必要とすることを理解していただけるでしょう。

ビッグデータ

ビッグデータとは、量(Volume)、速度(Velocity)、多様性(Variety)の要素を満たしたデータのことを指します。ディープラーニングによるシステム開発には大量のビッグデータが必要です。たとえば、自動運転技術には、数百万枚の静止画、数千時間の動画が必要とされています。

また、ビッグデータの活用には、準備段階としてデータの欠損部分の補填や形式の統一など、専門家によるデータ加工が必須です。

開発環境

ディープラーニングによるシステムの開発環境には、ビッグデータ保存用ストレージや高い計算能力をもつGPUを備えた開発用コンピュータなどが必要です。現在では、開発環境の一部としてクラウドサービスも利用されています。

プログラミング言語

ディープラーニングによるシステム開発には、「Python」「SQL」のプログラミング言語が特に重要です。「Python」は、ディープラーニングによるシステム開発に必要な多くの機能が使用できます。また、使い勝手を考えて開発されているため、プログラミング初心者でも扱いやすいのが特徴です。

「SQL」は、データベースを必要とする現代のシステム構築には必須のプログラム言語です。SQLによってデータベースの操作が可能となるため、開発の効率が上がります。

ライブラリとフレームワーク

ライブラリとフレームワークは、システム開発の効率化を目的として使用されます。AIに関する基本的な機能が備わっているため、システム構築にそのまま活用可能です。開発担当者やエンジニアと話し合い、構築するシステムに最適なライブラリ・フレームワークを選択します。

 

AIによるシステム開発・運用ならAidiotにお任せ!

Aidiotは、データを軸とした最先端技術で、AIによるシステム開発・運用を実現します。

さまざまな業界での多くの実績が、技術の信頼性を証明しています。興味のある方は、ぜひアイディオットの活用をご検討ください。

https://aidiot.jp/

まとめ

今回は、ディープラーニングによるシステム開発と、開発に必要なものを紹介しました。

ディープラーニングによるシステム開発には、従来の開発方法にはないメリットが存在しており、多くの可能性が秘められていると分かっていただけたことでしょう。

ディープラーニングによるシステム開発には、専門の知識をもったエンジニアの存在が必須です。開発を効率よく進めていくためにも、実績と信頼のあるシステム開発会社のサポートを検討してみてはいかがでしょうか。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

AI・人工知能カテゴリの最新記事