社会全体のデジタル化は、個人や企業だけでなく国も推進する一大プロジェクトです。2021年9月には、満を持してデジタル庁が発足しました。国が推進しているので、今後デジタル化の波を避けては通れないでしょう。そこで、デジタル化のメリットや課題について解説します。
デジタル化のメリットとは?
デジタル庁を発足させてまで国が大々的に推進するぐらいですから、社会全体のデジタル化にはもちろんメリットがあります。たとえば製造業は、デジタル化によって生産の効率化が期待できます。製造業のデジタル化は、経産省が推奨しています。
官民が協力体制を築いてまでデジタル化を推進するのは、生産を効率化するメリットが非常に大きいからです。製造業は看過できないほど深刻な人手不足なので、マンパワーだけですべての業務をこなすのは難しくなってきました。そこで、ロボットを積極的に導入し、業務の省力化を図ろうとしています。これまでは業務のすべてが最適化されているとはいえなかったので、デジタル化は非常に効果的です。
また、業務の属人化を改善できるのも大きなメリットです。これまでの製造業は、経験豊富な職人に依存する傾向がありました。ベテラン職人にしかできない業務が多かったことは否めません。ですが、デジタル化を推進することで、職人の技術が次々とデータ化されています。技術を目で見える数値にすることで、ベテラン職人の技術を若いスタッフが継承しやすくなっています。製造業において若いスタッフは今後の将来を担う貴重な戦力なので、しっかりと育成しなければなりません。デジタル化により、十分な人材育成が可能になりました。
デジタル化における課題とは?
メリットばかりが目立つデジタル化ですが、課題が何もないわけではありません。なぜならデジタル化を推進するには、莫大な資金と時間を費やす必要があるからです。現場のデジタル化は、一朝一夕ではできないことです。
また、事前に投資効果を測定しにくいのも、デジタル化における課題です。しかも、デジタル化の投資効果は、長期間で測定しないといけません。そうなると「失敗したくない」と思う気持ちが強くなり、なかなかデジタル化に踏み切れないのです。デジタル化してさまざまなデータを収集できても、活用できなければ宝の持ち腐れです。生産の効率化につながらなければ、費やした資金と時間がすべて無駄になりかねません。
さらに、企業が全体的なデジタル化を図るには、各部署の意思疎通が不可欠です。大企業は担当者がバラバラで、十分に意思疎通できないケースがめずらしくありません。デジタル化に対して担当者の足並みが揃わなければ、失敗する可能性が高いのは明白です。他にも情報漏洩のリスクが高まるなど、セキュリティ対策もデジタル化の課題です。
企業がデジタル化を推進する際は、これらの課題と真正面から向き合う必要があります。
デジタルツインが今後の鍵に
デジタルツインは、製造業などがデジタル化を実現するための鍵になるといわれています。デジタルツインとは、現実にある製品や機器などの詳細な情報を、ほとんどタイムラグなくバーチャル空間に再現させる技術のことを指します。ともに相似しているため、双子を意味するツインという言葉が使われています。現実にある情報をバーチャル空間に送信し、反映させる仕組みです。状況の確認やシミュレーションなど、デジタルツインを導入するメリットは多々あります。
デジタルツインのメリットとは?
各業界から注目を浴びているだけあり、デジタルツインにはさまざまなメリットがあります。具体的には、時間短縮や課題の共有などのメリットがあります。いくつかあるメリットについて詳しく見ていきましょう。
生産までの時間短縮
デジタルツインを導入することで、生産までの時間短縮に期待できます。特にプロセスの時間短縮に効果的です。製品を生産するには設計・開発・試作・生産といった工程を経るのが一般的ですが、デジタルツインなら試作を省けます。デジタルツインは実際に試作しなくても、バーチャル空間に試作できます。お試しの設計や開発もすべてバーチャル空間でできるため、生産までの時間を短縮可能です。また、斬新で奇抜なアイデアを気軽に試せるのも、デジタルツインのメリットです。
製品の製造スピードの向上
デジタルツインはさまざまなデータを収集できるため、製品の製造スピードが向上します。製造工程の不具合や稼働状況がすべて記録されるので、そのデータを活用すれば効率的に製造できます。事前に問題点を洗い出せるため、不具合が起こる前に対処することが可能です。仮にユーザーからクレームが入った場合も、適切な処置を迅速におこなえます。余計な時間を一切取られないため、製造スピードの飛躍的な向上を見込めます。
アフターフォローの向上
ユーザーのもとで稼働している製品のデータも蓄積できるので、アフターフォローの質も向上します。たとえば故障やメンテナンスのタイミングを事前に予測し、早めにアフターフォローをおこないます。ユーザーからの不満が噴出する前に対応できるため、大きなクレームになりにくいです。信頼度も高まりますし、ユーザーへのサービスという観点においてもメリットがあります。
課題の共有が可能
データがたくさん蓄積されるので、ユーザーが抱えている課題の共有ができます。ユーザーが使用した製品のどこに負荷がかかっているのかをすぐに見極められます。
このデータを活用すれば、ユーザーの課題を解決した商品の開発が可能です。ユーザーのニーズに応えている商品を開発することで、売上アップに期待できます。
デジタルツインの事例を紹介
デジタルツインがどのように活用されているのか、米GE社と都市計画を例に挙げて紹介します。どちらもこれまでにはなかった画期的な事例です。デジタルツインの可能性を感じるケースだといえるでしょう。
米GE社
米GE社は、航空機エンジンのメンテナンス作業にデジタルツインを導入しています。まず、エンジンに約200個のセンサーを取り付け、情報をリアルタイムで収集します。エンジンの稼働状況とともに飛行時の気象状況情報なども収集し、バーチャル空間に投影します。エンジンの状態をaiが分析し、適切なサイクルでメンテナンスをおこないます。メンテナンス全般のコストカットに成功した事例です。
都市計画
シンガポールは、都市計画にデジタルツインを導入しています。この都市計画は「バーチャル・シンガポール」と呼ばれ、シンガポールをすべてバーチャル空間に投影させる壮大なプロジェクトです。シンガポールは人口密度が高い国なので、交通渋滞や騒音問題が絶えません。この問題の解決に、デジタルツインが役立っています。現実では簡単にシミュレーションできないようなことも、バーチャル空間なら可能です。今後他の都市計画でも、デジタルツインが活用される可能性は高いといえるでしょう。
デジタルツインならアイディオットが徹底サポート!
アイディオットは、デジタルツインのサービスのADTを提供しています。ADTは膨大なデータを活用して未来予測をおこなう、画期的なシミュレーターです。社会課題の解決やSDGsの達成に貢献しています。
ADTはクラウドに対応していて、ネット上でリアルタイムのシミュレーションが可能です。安全な状態を確保した上でサービスが提供されます。もちろんデジタルツインと関連性が深いaiを搭載することも可能ですし、カーボンニュートラルの実現に欠かせないカーボンシミュレーターも提供しています。
まとめ
製造業をはじめさまざまな現場の課題を解決するデジタルツインについて解説しました。記事で紹介した通り、デジタルツインには時間短縮やアフターフォローの向上など、さまざまなメリットがあります。また、すでに航空機エンジンのメンテナンスや都市計画で活用されている事例からわかりますが、今後さらに活用されていく見込みです。
また、デジタルツインを徹底的にサポートしてくれる、アイディオットのサービスについても紹介しました。デジタルツインの導入に前向きな方は、まず1度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆・監修者
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。