DXやデジタルツイン、メタバースなど、最近様々なデジタル用語を聞くようになりました。大元であるDXとは、デジタル技術を活用し、仕事や生活を変革させる概念です。DX、デジタルツイン、メタバースなどの解説をしていきます。
DXとは？
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を活用し、仕事や生活を変革させる概念です。Digital Transformationの頭文字を合わせた言葉になります。Digitaはデジタル、Transformationは変化という意味です。
DXの定義とは
DXの定義は、デジタル技術が浸透することで、人々の生活を良い方向に変化させることです。
似たような意味にIT化があります。IT化は技術の名称であり、DXはIT技術を使い、生活や仕事を変化させる概念のことです。根本的な意味合いが違います。
DXは、単なるIT化やデジタル技術の導入を超え、企業全体の運営や戦略にまで及ぶ変革を意味します。具体的には、以下のような変化を伴います。
業務プロセスの効率化と自動化
デジタル技術を活用して、従来の手作業や紙ベースのプロセスを効率化し、自動化することです。これにより、業務のスピードが向上し、コスト削減が可能になります。
ビジネスモデルの革新
デジタル技術を活用して、新しいビジネスモデルを創出することです。例えば、製品の販売だけでなく、サービスとして提供する「サブスクリプションモデル」などが典型的です。
顧客体験の向上
顧客との接点をデジタル化し、個々のニーズに応じたパーソナライズドな体験を提供することが可能になります。これにより、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことが期待できます。
デジタルツインとは？
デジタルツインとは、現実の情報をデジタル上で表現し、分析やシミュレーションなどを行うことです。リアルのデータをデジタル上でそっくりに表現するので、デジタルツインと言われています。業務の効率化、コスト削減など様々なメリットがあります。
製造業で商品を開発するとき、リアルタイムで製造工程のデータを収集するので、欠陥部分があれば見過ごさずに見つけることが可能です。人間の目で確認しても、気づかず見過ごしてしまう恐れがあります。
車の試作試験では、デジタル上の仮想空間で車の出来を確認できることです。現実で行うと、人員やコストがある程度掛かるが、デジタルツインならコストを削減し効率的に作業が進められます。リアルのデータをデジタル上でシミュレーションすることで、作業の効率化など様々なメリットがあります。
シミュレーションとの違いは？
シミュレーションと意味が似ていますが、違いはデジタル上だけで行うか、それを含む全てかの違いです。デジタルツインはデジタル上だけで行い、シミュレーションはデジタル問わず全ての空間で行います。デジタルツインはデジタル上なので、人員や場所が必要なく、コスト削減などが可能です。
メタバースとは？
メタバースは、仮想空間内で実現する人間社会のことです。専用のゴーグルを装着してアバターと呼ばれるキャラクターを操作し、目に移る3D上の仮想空間を移動して他の人とコミュニケーションがとれます。
イメージの例としては、マインクラフトというゲームがあります。3D空間内で冒険をし、ブロック状の物体を組み立てたりする内容です。他の人たちと通信して同じ空間内で出会うことができ、まさしくメタバースを表現しています。
メタバースでどんな世界に？
メタバースは、SNSに空間を合わせたような世界ができます。SNSでは文字だけのコミュニケーションだが、メタバースは実際に対面しているような状況を味わえるのが特徴です。空間内の世界観は特に決まりはなく、現実のような街並み、部屋の中、ファンタジー世界など様々です。
そこではアバターと呼ばれるキャラクターを介して会話できます。アバターのデザインも決まりはなく、人、犬、猫などがあります。現実で対話しているような体験ができ、そこに人間社会が築かれているのがメタバースです。
メタバースの利用例
【会議】
会社の会議に活用できます。今はリモートで会議をする場面が増えましたが、画面だけのリモートよりも立体的で伝わりやすいです。会議室のような仮想空間内に、自分と社員たちのアバターが存在し、動くときも自分の動きと連動するので、現実のような声と動きで説明できます。
リモートだと、声だけで伝わりづらい場合があります。サービスによっては、空間内にパソコンのディスプレイを移したり、ホワイトボードを使い説明するという、実際の会議のようなことが実現できます。わざわざ会社で集まって行う必要はなく、自宅で済ませることができます。
【ライブ】
アイドルや歌手のライブにも活用できます。アバターとして仮想空間内で歌や踊りを披露することが可能です。見る側は自宅でゴーグルを装着し、ライブ会場にいる雰囲気を味わうことができます。直接行く必要がなく、人数制限も特にないので集客率を上げれる可能性があります。
デジタルツインとメタバースの違いは？
デジタルツインは、現実の情報をデジタル上で表現し、分析やシミュレーションを行う技術です。メタバースは、デジタル上の仮想空間内で、人間社会が存在する概念です。仮想空間を作成する点では共通するが、行う目的が違います。
目的の違い
デジタルツインは、主に製造業、建設業、エネルギー、航空宇宙などの分野で、リアルタイムのデータを基に物理世界のオブジェクトやプロセスをシミュレートし、効率化や予測分析、メンテナンスの最適化を行うことが目的です。
メタバースは、エンターテインメント、ソーシャルインタラクション、教育、ショッピングなど、ユーザーが仮想世界でリアルに近い体験をすることを目的としています。
用途と応用領域の違い
デジタルツインは、物理的な設備や製品の設計、製造、運用、保守に使用され、製造業、建設業、都市計画、エネルギー管理、ヘルスケアなど、主に産業分野での利用が進んでいます。
メタバースは、ソーシャルメディア、オンラインゲーム、仮想イベント、教育、仮想オフィスなど、主にエンターテインメントやコミュニケーションに使用され、ユーザーが仮想空間内でショッピングを楽しんだり、バーチャル会議に参加したりすることが可能です。
エンターテインメント業界、教育、ビジネス、ファッション、アートなど、広範な分野での利用が進んでいます。
技術的アプローチの違い
デジタルツインは、デジタルツインは、物理的な世界のリアルタイムデータを取得し、それを仮想モデルに反映させ、物理的オブジェクトとデジタルモデルが相互に影響を与え合うことが特徴です。物理的なデータに基づいて仮想モデルが更新されるため、データの正確性とリアルタイム性が重要です。
メタバースは、インターネットを介してアクセスできる3D仮想空間を構築し、その中でユーザーが自由に活動できるようにするもので、仮想空間内のオブジェクトやシナリオは、必ずしも現実のデータに基づくものではありません。ユーザーが自分でコンテンツを作成し、他のユーザーと共有することが一般的です。
両者は、デジタル技術を活用して現実世界と仮想世界を結びつけますが、その目的やアプローチには大きな違いがあります。
デジタルツインに必要な技術とは？
デジタルツインを行うのに様々な技術が必要です。ここではいくつかの技術を説明します。
データ分析とAI
デジタルツインの中で収集された膨大なデータを分析し、予測、最適化、異常検知などを行うのがデータ分析やAI技術です。
AIを使用して、機械の動作データを分析し、故障の予兆を検出してメンテナンスのタイミングを最適化したり、デジタルツイン上で、様々なシナリオをシミュレーションし、その結果をもとに現実の運用を最適化したりすることができます。
IoT
IoTは、パソコンやスマホのようなコンピューターだけではなく、家電や工場の機械など、様々なモノをネットに接続する仕組みです。スマホと監視カメラを接続したら、自分のスマホで家の監視カメラを確認することができます。医療では、スマホと患者につけた機器を接続すれば、患者の血圧や脈拍などの状態を瞬時に確認できます。IoTとは、コンピューターと様々なモノを接続することです。
クラウドコンピューティング
大規模なデータ処理やAIモデルのトレーニング、デジタルツインのリアルタイム更新には、高い計算能力が必要です。クラウドコンピューティングは、デジタルツインの運用において必要な計算リソースやデータストレージを提供します。
大量のIoTデバイスから送られてくるデータを保存し、分析するためのクラウドストレージが利用され、デジタルツインに必要なリアルタイムの処理を分散して行うことで、効率的にシミュレーションや分析を実施することができます。
3Dモデリングとシミュレーション
3Dモデリング技術は、物理的なオブジェクトや環境の詳細なデジタル表現を作成するために使用されます。これにより、デジタルツインが視覚的に正確で、かつリアルタイムのデータに基づいて動的に更新されます。
機械部品や建物などの詳細な3Dモデルを作成し、それをデジタルツインとして使用したり、物理的な動作や環境変化をリアルタイムでシミュレートし、設計や運用の最適化を行います。
ブロックチェーン
ブロックチェーン技術は、データの透明性とセキュリティを確保するために使用されます。特に、デジタルツインが複数の企業や組織間で共有される場合、ブロックチェーンはデータの信頼性を保証します。
デジタルツイン内で共有される重要なデータが改ざんされないよう、ブロックチェーンを使用してデータの不変性を保証したり、サプライチェーン全体でデジタルツインを利用する際に、各ステップのトランザクションをブロックチェーンに記録し、透明性を確保したりします。
リアルタイムデータ処理
デジタルツインはリアルタイムで物理世界を反映するため、データの迅速な処理が必要です。
工場や製造現場で発生するデータをその場で処理し、即座にデジタルツインに反映したり、異常検知や安全対策のために、リアルタイムでデータを処理して、即座にアラートを発したりします。
デジタルツインを実現するためには、IoT、データ分析とAI、クラウドコンピューティング、3Dモデリング、ブロックチェーン、リアルタイムデータ処理といった多岐にわたる技術が必要です。これらの技術が連携して動作することで、物理世界とデジタル世界がリアルタイムで連動し、効率的で高度なシミュレーションや最適化が可能になります。
デジタルツインの今後
デジタルツインの活用は様々なメリットがあるので、本格的に取り入れられると考えられます。ですが、まだ発展途上ではあるので、色んな課題をクリアする必要があります。製造業を中心に取り入れられているが、今後は様々な業界にも活用できる技術になることが期待できます。
デジタルツインならアイディオットが徹底サポート！
株式会社アイディオットでは、デジタルツインに使われるデータの作成、収集、提供を行っています。独自でデジタルツインを取り入れるとなると、何かと手間がかかります。
アイディオットのような専門の企業とマッチングすることにより、デジタルツインを取り入れるのが効率的と考えられます。
この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。
