社内システムをクラウド化するメリット・手順を紹介

  • 2022.07.12
  • DX
社内システムをクラウド化するメリット・手順を紹介

クラウドとは

クラウドとは、インターネットを介してサーバが提供しているサービスを利用するシステムです。

サーバはクラウドの提供者側に設置され、インターネット環境さえあればどこでもアクセスし利用できる特徴があります。

従来は企業が社内にサーバを設置する「オンプレミス型」が主流でした。サーバは高価で、機器の保守にも費用がかかるため、手軽には導入できない特徴があります。しかし、近年普及しているクラウドサービスを利用することにより、初期投資を抑え、かつ素早い導入ができるようになりました。

クラウドは、サービスが共用か、専用かという点で次の2つのタイプに分けることができます。

パブリッククラウド

あらゆる企業や個人など、不特定多数のユーザーで「共用」するクラウドです。publicが「広く一般に開かれた」を意味するように、使用者の範囲は限定されることなくオープンな形式です。

非常に多くのユーザーで1つのシステムやリソースを共有するため、導入しやすく低コストな特徴があります。多くは初期費用が無料で、利用した分にあわせて料金が変わる従量課金制です。アクセスが少ない時にはそれに応じたコストカットができます。

ネットで申し込みさえすればすぐ使用できることも大きなメリットです。アカウント作成後、すでに完成されたシステムを利用できるため、即日利用可能なものが多くなっています。保守や管理を意識的に操作することは出来ませんが、自らが行わなくてよいという点で負担を軽減できます。

ただし、システムやリソースを共有していることから、ユーザーに適したカスタマイズをすることはできません。また、他者との分離が完全に行われることは難しく、セキュリティーには不安が残ります。

パブリッククラウドには、Amazon Web Service(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがあげられます。

プライベートクラウド

限られたユーザーのみがアクセスできる専初期費用が高額になりやすく、導入にも時間がかかりやすくなります。

しかし、カスタマイズ性が高く最適なセキュリティを選択できるメリットがあります。セキュリティを守りながら、柔軟なシステム設計に対応が可能です。

インフラは社内所有する場合と、クラウド利用する場合があります。そのため、初期費用やランニングコスト、管理の負担が変わってきます。

近年は大手企業だけでなく中小企業でもプライベートクラウドが採用されています。

社内システムをクラウド化するメリット

次のような5つのメリットがあげられます。

・システムの延命
・リソースの増減
・コスト適正化
・被災時のリスクケア
・物理メンテナンスフリー

詳しくご紹介していきます。

システムの延命

古くなったシステムの延命措置として、クラウドの活用は有効です。

長年にわたり企業を支えてきたシステムは、度重なるカスタマイズによって複雑に肥大しています。将来的に問題となるのがハードウェアの寿命です。しかし、この古いシステムは独自性や依存性が高く、簡単には変更できません。最新のハードウェアに交換しても、古いシステムに対応できず、企業にとって重要なデータの消失や動作不良を起こす可能性があります。

古いシステムを延命するために活用できるのがクラウドです。古いシステムに適応できるインフラ環境をクラウド上に用意することで、ハードウェアの寿命からシステムを守り延命の手段となります。

リソースの増減

クラウドはリソースの増減を自由に行うことができます。

旧来のオンプレミスでは、新しいシステムを構築する際に、サーバを追加で調達する必要がありました。また、劣化やバックアップに備えて、買い替えや追加購入が発生します。しかし、そのつどのサーバ数の調整は現実的に難しく、余剰なサーバを備えるケースが多くなりがちで費用も高額になっていました。

クラウドなら必要に応じてリソースを増やすだけでなく、減らすことも可能です。最短数分で反映される特徴を活かして、必要以上のリソースが生じることなく最大限に有効活用できます。

コスト適正化

クラウドは費用対効果が高く、コストの適正化が可能です。

サービスの選択によってはサーバなどの高額な機器の購入が不要であり、システムの構築にかかる費用も大幅な削減が可能です。

先述したリソースの増減が必要に応じて自由に行えることも、余計なコスト負担を減らすことにつながります。また、クラウドは基本的に従量課金制であるため、使用量が少ないときはコストも抑えられます。

クラウドを利用すれば、サーバの管理はクラウド業者が行います。保守管理費用は、クラウドの月額利用料に含まれているため、ランニングコストの大幅な削減が可能です。

クラウドはさまざまな点で高い費用効果をもっており、コストが適正化されます。

被災時のリスクケア

あらゆる災害に備えることで、被害を最小限に抑え、事業を継続する対策が企業に求められています。クラウドはこのような災害対策においても有効です。

オンプレミスでは被災に伴う通電障害が発生すると、機器が使用できなくなるため、事業はやむを得ず停止し、データ損失などのリスクもあります。

クラウドなら、データは外部のデータセンターに保管され、企業が被災してもデータを保護することができます。インターネット環境さえあれば利用も可能です。

クラウドのサーバは、被災時の対策が徹底されています。例えば免震構造、副電源、自家発電装置を設け、複数のバックアップをとっています。

これらの対策を自社で行うとすれば膨大な業務量とコストが必要です。クラウドは被災時の対策においても大きなメリットがあるといえます。

物理メンテナンスフリー

クラウド上のサーバを利用することで物理的なメンテナンスが不要です。

システムダウンが発生するリスクを避けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。サーバの運用や保守の業務は多くの点検項目があります。多忙で責任も重く、知識や経験が求められ、担当者の負担が大きくなりがちです。

クラウドを利用することにより、管理者の負担を軽減できます。目まぐるしく変わり続ける業界において積極的な開発と投資ができるメリットがあります。

社内システムをクラウド化するデメリット

以下のような3つのデメリットがあります。

・カスタマイズ性の低下
・セキュリティリスク
・サービス停止リスク

カスタマイズ性の低下

クラウドの仕様の範囲でシステム開発をするため、柔軟なカスタマイズができない場合があります。

オンプレミスでは、サーバやインフラのスペックの範囲内で自由なカスタマイズが可能です。

ただし、クラウドサービスによってはある程度カスタマイズできるプランも用意されていることがあります。企業が求めるカスタマイズ性に合わせたクラウドサービスの選択が必要です。

セキュリティリスク

インターネットを利用したサービスであるため、外部からの不正アクセスや情報漏洩の可能性があり、セキュリティのリスクが懸念されます。

しかし、近年のクラウド業者は顧客のデータを守るため、十分な対策を行ってサービスを提供しています。利用するクラウド業者がセキュリティの対策をどのように行っているか確認することが大切です。

自社の業務に適合したセキュリティを選択することで、リスクを下げることができます。

サービス停止リスク

クラウド業者は災害やセキュリティに対策を行っています。しかし、災害やサイバー攻撃、ウィルス感染や機器の故障などによってサービス停止する可能性はゼロではありません。

万が一の停止に備えて定期的にバックアップを取り、直近のデータの復元をすることで業務への影響を軽減することができます。

社内システムをクラウド化する手順

オンプレミスのシステムが複雑であるほど問題になるのが、クラウド移行後の動作不良のリスクです。スムーズな移行を行うため、プライベートクラウドからパブリッククラウドへと段階的に進める方法が普及しています。その手順は次の通りです。

①計画・準備
②テスト
③運用

①計画・準備

移行期間の業務に支障がないよう、スムーズなクラウド化をおこなうためには事前の計画が大切です。

スケジュールを作成し、セキュリティの適合性、データ移行方法の決定、予算の確認を行います。

②テスト

プライベートクラウドにデータを移行し、アプリケーションやO.Sの動作チェックを行います。移行作業の手順を確認し、パブリッククラウドへの移行をスムーズに行えるようにします。

例えば、古いシステムがクラウド上で正常に動作するか確認します。動作しない場合はシステムの改修が必要です。

プライベートクラウドでテストを行うことにより、自社のサービスを停止せずにクラウド移行にかかる問題点を洗い出すことができます。

③運用

パブリッククラウドに移行し、実際のサービスに影響がないかなどの動作確認を行います。

まとめ

ここまで、社内システムをクラウド化することによるメリットと、クラウド化の手順をご紹介しました。

社内システムのクラウド化は拡大してきています。その豊富なメリットを最大限に生かすためには、自社システムに適合するサービスの選択と、計画的な手順を踏んだ上でのクラウド移行が大切になってきます。

 

この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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