デジタルサプライチェーンの推進ポイントは?課題や事例をご紹介!

デジタルサプライチェーンの推進ポイントは?課題や事例をご紹介!

普段の生活で目にする商品や製品の多くは、多くの原材料や部品を組み合わせて製造され、物流を通して最終消費者の手元に届きます。この調達・製造・在庫管理・配送・販売・消費という一連の流れを「サプライチェーン」と言い、最近目にすることの多い経済用語です。

近年のサプライチェーンはグローバル化の進展にともない複雑となり、それによる課題が浮き彫りになっています。問題の解決策として注目されているのが、サプライチェーンを構成する企業間協調をデジタル技術で強化する「デジタルサプライチェーン」です。

この記事ではデジタルサプライチェーンの基本的な考え方をとおして、様々な問題点や取り組み事例を解説します。

 

現代のサプライチェーンの課題とは?

最近サプライチェーンに関して話題になることは、コロナ禍や紛争などに関係した原料や部品の供給不足が多かったのですが、それらは目立つためニュースとして取り上げられやすい側面があります。

現実にはそれ以外にもサプライチェーンには課題が多く、企業はつねにそれと向かい合って克服し続けなければなりません。まずは現代のサプライチェーンにおける課題や問題点について考えてみましょう。

事業環境の変化

サプライチェーンには多くの課題が存在しますが、これまでの取引形態は閉鎖的なものが多く、選択肢が少ないが故に事業環境の変化に対応が困難なことが多いという問題がありました。これは裏を返せば変化が少ない市場のときには強みだったわけです。

とくに最近話題になっているサプライチェーンの混乱は、調達先を絞っているために発生しており、コロナなどの非常時にはそれがウィークポイントとして顕在化しています。さらに言えることはニーズの多様化に対応できないという点も明らかになっていて、消費者の需要変動の把握が遅れやすくなっています。

また近年は企業として循環型経済への対応も避けられない問題で、カーボンニュートラルへの実現など、社会貢献の必要もあります。

労働力不足

サプライチェーンは川の流れのように一部分を堰き止めると止まってしまうものです。近年の労働力不足はサプライチェーンの中で配送が顕著に影響を受けています。

これは世界的な傾向で、人手不足は運送費の高騰を招き、サプライチェーンのコスト上昇の大きな一因となっています。日本においても運送分野の慢性的な労働力不足に加え、労働者人口の減少が続くことから、現状の取り組みでは解決が難しい状況と言えるでしょう。

 

デジタルサプライチェーンの活用が必須に

サプライチェーンの課題に対して従来通りのアプローチでは解決が困難なことは明らかになっています。その解決策として近年注目を集めているのが、サプライチェーンを構成する企業間協調をデジタル技術で強化する「デジタルサプライチェーン」という取り組みです。

ここからはデジタルサプライチェーンがどのようなものかと、それを取り入れるためのポイントについて見ていきます。

デジタルサプライチェーンの必要性

世の中のあらゆる分野がデジタル化するなか、ビジネス全体がこれまでにない速さで変化し続けています。サプライチェーンに携わる企業もデジタル化と無縁ではいられず、変化にリアルタイムで対応できなければ、事前に設計していたサプライチェーンのプランが動かない可能性もあります。

これらの問題解決はデジタルサプライチェーンの構築によって多くを解決でき、なにより刻々と変化する状況の把握・可視化、そして問題点への迅速な対応によりリスクマネジメントになるでしょう。

デジタルサプライチェーンでできること

これまでの一般的なサプライチェーンでは、長年続く商取引が多く、結果として消費者よりサプライヤーとの結びつきが強くなり、市場のニーズから遅れがちになりました。また想定外のリスク対応が難しく、また部門間の連携もスピード感にかけることから、生産計画の修正などに時間を要し、ラインストップや欠品などのトラブルも多く見られました。

しかしデジタル化することで、近年特に重視される消費者の志向・動向の把握が迅速に行われるようなります。これによって生産計画の見直しに伴うサプライチェーンの計画変更も柔軟に対応できるでしょう。

商品の安定供給やリードタイムの短縮を実現するために必要な部門間の調整も、デジタルサプライチェーンによって連携と状況把握がスムーズになり、トラブル発生前の速い対応が可能になります。

 

デジタルサプライチェーン推進の上でのポイントは?

デジタルサプライチェーンを推進するにあたって考えるべき点は、自社内で完結するものなのか、他のサプライヤーを含めてするものなのかです。自社内のサプライチェーンだけの改革であれば、調整も社内だけでおわるのですが、サプライヤーを含めるとデジタルサプライチェーンへの巻き込み方を検討する必要があります。

成功させるためにはサプライヤーの理解と協力が不可欠となるので、入念な計画とシミュレーションをしなければなりません。

さらにどのようなシステムなのかも重要な点です。自動化のレベルを上げるほどシステムは複雑になりますが、自社だけの都合では上手くいかないので、サプライヤーの状況に合わせたシステムを考えなければなりません。このあたりの擦り合わせが取引の長い古参のサプライヤー相手だと苦労するでしょう。

デジタルサプライチェーンの取り組み事例

最近注目を集めるサプライチェーンの混乱ですが、コロナ以外でもカントリーリスクなど以前から指摘されていて、企業のリスクヘッジの一環として取り組んでいるケースも多くなりました。
ここではデジタルサプライチェーンに取り組んでいる企業の導入事例について見てみます。

沖電気工業株式会社

沖電気工業のデジタルサプライチェーンの取り組みは、自社の工場をバーチャルで統合する試みで「バーチャル・ワンファクトリー」といいます。これは工場ごとに別々に出されていた各種設計情報を共有化することにより、これまで同じ部品であっても共通の仕様による生産ができないというロスを回避する試みです。

結果として2工場の生産規模を維持したまま効率化を進め、コスト削減だけではなく、工場間の人材や技術の交流も活発化しました。また多品種少量生産のニーズの取り込みなども、それまでより容易になり外部環境の変化に強くなったといえます。

富士通株式会社

富士通では開発プロセスに革新を加える新しいデジタル基盤としてFTCP(Flexible Technical Computing Platform)を活用しています。

FTCPはバーチャル空間上で設計部門、製造部門、品質保証部門が一同に会して、データ共有やデザインレビューを行うことができるシステムです。この取り組みにより製品開発プロセスの品質向上、納期短縮を達成し、製造技術部門の業務がデジタル化され、負荷が軽減されました。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車の「工場IoT」は3D CADデータなど、既存のデジタルデータを一元管理できる、工場と各現場などの部署間をまたがる情報共有基盤です。
トヨタ自動車では

「工場IoT」の考え方をエンジニアリングチェーンやサプライチェーンに広げ、「開発」「市場」「工場」をデジタル化で連携することを目的として情報共有基盤を構築しています。

システム化により市場の動向を踏まえた開発までのサイクル短縮が図られ、品質向上や商品力向上に結び付いています。

 

デジタルサプライチェーンの実現ならアイディオットが徹底サポート!

サプライチェーンの課題は見えていても、従来型からデジタルサプライチェーンへ変えていくことは容易ではありません。なによりゼロからデジタルサプライチェーンを構築するとなるとコストも心配です。

そんなとき、まずはアイディオットに相談することをオススメします。

Aidiot(アイディオット)は「BtoB領域の脳と心臓になる」というミッションを掲げるIT企業で、AIやデータといったテクノロジーを駆使して、時代の最先端を行くサステイナブルな形でのデジタル戦略をクライアントに提案しています。

サプライチェーンの効率化のためシステム導入を検討するとき、どのように問題解決を考えるべきか、そのスタートで躓きがちですが、自社の解決すべきポイントから戦略を立て、実際に現場に落とし込み運用するまで任せられる信頼性が何より重要となります。

デジタルサプライチェーンを任せられるのがアイディオットなのです。

データから未来を予測するサービス「ADT」でサプライチェーンの最適化

ADT (aidiot digital twin)とはデータを用いて未来を予測するシミュレーターで、サプライチェーンで重要になる需要の見込みについてデジタルツイン技術により、現実に近いシミュレーションを実現し、AIが運送の最適化を提案してくれるのです。

デジタルサプライチェーンによって生産や在庫を適正化し、急激な市場変化にも迅速に対応できるようになるでしょう。

 

まとめ

サプライチェーンの混乱はけっして1つの原因ではなく、複数の要因が重なって起こるものです。時として天災やパンデミックなど予測不能な事態が原因となることもありますが、デジタルサプライチェーンの構築によって軌道修正が容易となり、結果として損失を最小限に止めることができるのです。

これからのシステム導入は自社のスケールメリットだけではなく、今後増え続ける多品種少量生産への対応のため、必要不可欠な取組みとなるでしょう。

 

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この記事の執筆・監修者
Aidiot編集部
「BtoB領域の脳と心臓になる」をビジョンに、データを活用したアルゴリズムやソフトウェアの提供を行う株式会社アイディオットの編集部。AI・データを扱うエンジニアや日本を代表する大手企業担当者をカウンターパートにするビジネスサイドのスタッフが記事を執筆・監修。近年、活用が進んでいるAIやDX、カーボンニュートラルなどのトピックを分かりやすく解説します。

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